The Temple of Elemental Evil: A Classic Greyhawk Adventure
2003年9月16日発売 開発元Troika Games 販売元ATARI 英語版
総評:
テーブルトークの完全なる移植版と言ってよい出来。古参のファンには感慨深い舞台。
バルダーズ・ゲートのような物語重視ではなく、ダンジョン潜りを主体とした、いささか古めかしい趣向。
ターンベースでありながら、とてもプレイし易い。ただし、少々のバグが気になる。
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数多くのDungeons&Dragonsのコンピュータ版があるけれども、本作には他では見られない以下の特徴が上げられる。
- パーティ・アライメント別に9つの序章、エンディングは主なNPC達と村々の末路が語られる(プレイヤーの活躍により細部が変化)。
- 数字ではない、具体的な評判(Reputations)が下されるキャラクター一行。
- NPCとの会話にBluff、Diplomacy、Gather Information、Intimidateを生かした選択肢。
- 豊富なFeatとSkill、高い戦術性。多様なモンスター。
- マジックアイテムの作成が出来る。
- ポーションを他人にも飲ませる事ができる(例えば気絶しているキャラクターに)。
- マジックミサイルは一本毎に標的を選べる。
バルダーズ・ゲートを念頭に置いて劣る点と言うと・・・
- 凝った筋書きがあるわけではなく、とある地方のモンスター退治に終始する。
- 舞台がやや狭い(二つの村、およそ5階層の大きなダンジョン、小さなダンジョン、クエスト関連の小エリア10前後)。
- リアルタイムでない為、戦闘に若干の時間を要する。
- 比較的、短い時間でもゲームをクリアする事が出来てしまう。
- クエストの総数が(狭い舞台にしては多いが全体としては)やや少ない。
丁寧に細部までよく作り込まれている。機能的なユーザー・インターフェイスはBGやNWNにも勝る。ヘルプのウィンドウはインベントリーや能力値の画面とも連携しており、Hキーを押した時のポインタでクリックしても開く。これが実に行き届いており、能力値の一時的減少でも慌てずに済む。NPCのダイアログは簡潔にして明瞭で、繰り返し閲覧する際にも辟易しない。キャラクターの状態を表すアイコンも実に分かりやすい(キャラの肖像画の上にあれば良い効果、下なら悪い効果)。D&Dのファンが、遊ぶ側に立って作り込んだという印象である。ゲームクリア後、異なるパーティーでまた挑戦してみたいと思ってもおかしくない。
以上のようにインターフェイス周りや作り込みは秀逸なのだが、BGシリーズを凌駕できていない部分もある。原因は既刊のモジュール(テーブルトーク用のシナリオ)を採用した事だろう。古めかしいダンジョン潜りには新味が無く、舞台の移り変わりも手狭で、大きく変化はしない(とはいっても、戦術的な要素のおかげで楽しく遊べるのであるが)。欲を言えば、よりコンピュータ向けの筋書きや、一風変わった野心的な仕掛けを用意してくれれば、更に楽しめただろう。バルダーズ・ゲートのエンジンで、アイスウィンドデイルやプレーンスケープ:トーメントが出たように、そうしたレパートリーを容れてくれれば、面白くなるに違いない。一本切りで終わらせてしまうには、あまりに惜しいタイトルだろう。次作を希望したい。
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