
ゲストモード(傅きプレイ)での小悪魔ちゃんは、勝間克馬(かつま・かつま)という名前を冠せられた中年男性でのみプレイできる。
ゲストモードというのは、お客さん目線でエンパイアクラブを体験できるモード……ということになっているが、これまでのVIPと同じ紙芝居形式である。あんまり期待してくれるな、というモードなのかもしれない。
エロゲーで言うところのアドベンチャー形式であるからして、ライターの書いたとおりにしか物事が進まない。何が哀しいって、この勝間克馬、他人事じゃねーからだよ。
(俺が婿養子という意味じゃないよ)
マスオさん(婿養子)として結婚したはいいものの、妻も娘からも相手にされず、義理の家族に遠慮して窒息しそうな毎日をひたすら繰り返しているサラリーマン、それが克馬。
風俗には行ったことも無いくせに、自暴自棄な気休めで足を向けてしまったのが、我らがエンパイアクラブ。
中年の悲哀……学生時分に恋した女の子を、小悪魔ちゃんに見立てて、苗字が変わっていない“あの頃”へと思いを馳せる。すると、小悪魔ちゃんが絶妙にそれを受け止めてくれちゃうわけだ。
なんというかさ、生々しすぎて、ゲームの話で終われない。滑稽な中年男性の心ときめく一夜の体験として描けばいいものを、妙な視点のせいで至近距離から私小説化していく。
おまえ、こんなもの俺に読ませるなんて、なんか恨みであるのか! みたいなベタさで、痛々しいオジサンが描かれる。
笑えばいいさ! さぁ、笑えよ! 笑え……よ
若い人なら「ぷぷっ」で済むかもしれないが、おっさんには藁えない話。こんなのエロゲーに仕込む開発者は、負け犬をなんと思ってらっしゃる!
「克馬ァ!」
涙は出ないけどな。何がこんなオジサンを作った? 社会のせい? オジサンは犠牲者か! 的な。若いお前らもあと20年経てばこうなるんだぞ。このライター、マジで天才だな。
ブラック企業に派遣行ってる30代が主役で描かれてると想像してみろ。な、わかるだろ? 容赦ないんだよ、ネタにできない。
わぁ、小悪魔ちゃん、まじドS天使 ……なんてところにオチると思うなよ。夢を与えられるどころか、現実を突きつけられたわ! 小悪魔という材料を免罪符に、イタイ人を茶化しちゃアカン。
このライター、30代だった頃の庵野カントク並みにトガってるんだろう。優しい目線がねーんだよ。皮肉って鼻ホジしてんじゃねーか。
……とかまぁ、負け犬目線の物語が大好きな俺には、これは昇華が足りなくて消化不良だった。こうした主役達なら、もっとそれなりの輝きがでてこなくてはいかん。「ツンデレの子に本番して貰った、もしかして本心は?」じゃオチねーよ、ばーか、ばーか。
克馬がもっともっと本気になっちゃったよ! な4番目のエピソードまで書いてくれないと。
そこまで出来た克馬には、もうなんでもできる力が蘇っていたのダ! で、オチだろ。中年をナメるな! アメリカン・ビューティーを1000回見てこい!
ちなみに、ゲストモードでの進展を見るには、7回以上、15回以上、同じものを体験しなければならない。つまり3パターンしかない。それしかないクセに、同じものをヘビーローテーションさせられるとは! 手抜き感、パない。開発、ちゃんと仕事しろ。
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