俺がこのスタイルのCRPGに求めているのは、半分はシミュレータ。
D&D 3.5版やPathfinderを遊べる機会というのは普段全く無いから、その雰囲気を味わわせてくれるCRPGはとても貴重だ。TroikaのTemple of the Elemental Evilはこの目的に打ってつけで、ビルドを変えてはパーティを組んで試すことが楽しかった。モンクは「やっぱり打たれ弱いなぁ」などと実感できた。
その代わり、ターンベースはもの凄く時間が掛かる。エピックな物語を楽しみたい場合、Baldur's Gateのやり方でないと向かない。Icewind Daleを初めて遊んだのはEnhanced Editionでだったが、カスタムパーティで臨める上、適切な難度で遊びやすかった。
D&D 3.5e系はデータの比重が高くて、ルールの全部をとても把握できない。Featのビルドなんかは苦手で、昔のAD&D 2ndで俺は充分だ。呪文のジャンケン要素だけでお腹いっぱいなのに、Featという形で全クラスに採用するなんて、正気の沙汰ではない。
盤上戦闘が必須になったこともテーブルのロールプレイでは問題で、物語を楽しむのかシミュレーションゲームを楽しむのか、どっちかにして欲しい。だから、テーブルセッションでCall of Cthulhuを遊んだりすると、思いのほか楽しかったりする。盤上戦闘はルールになく、簡易の戦闘はあくまで脇役に徹してくれるから。
そういうガチ勢ではない俺が遊ぶので、CRPGでマンチキンみたいな作りを強要されると、軽く失望してしまう。哲学が違うんだな。楽しめることが一番だし、いろいろと試せる自由があることが理想だ。
CRPGのいいところは、複雑な仕組みを可視化してくれること。Featの段階的なアップグレードはその恩恵が最も大きいはず……なんだけれども。このCRPGでは皆目分かりにくいままなんだよなぁ。UIにそういう機能性が発揮されていないので。この辺もがっかりした。
「Doomspiderが倒せない! 助けて!」
「Pathfinder遊んだことあるなら、対処法わかるよねぇ? ニヤニヤ」
「○○の防ぎ方」なんてのは、この複雑なルールでやるんだったら、脇道でやるべきだろう。ゲームシステムがそのことを教示してくれないなら、なおさらだ。
メインクエストのメインエンカウンターで毎回、ルールを利用したパズルを解かないといけないのは勘弁して欲しい。どうせ、アンチョコみて対応するようになってしまうから。楽しみ方がスポイルされてしまう。自分で悩んで解決できることが理想だ。だから、ヒントをくれないと困るし、ガチ過ぎるのも困る。
この手のCRPGを遊ぶと時間を大量に浪費する。第二章へ進ませるだけで20時間はたっぷりかかる。ビルドをやりなおすと50時間はザラ。リスペック・オプションが欲しいと言われていることには納得できる。フルカスタム・パーティに一定の金額がかかるなんて! というリアクションも全く理解できる。
なぜ、開発者はこういう
メジャー路線から外れた妙に硬派なノリ にしてしまうのか。BGシリーズという大先輩が居てこうなんだから、哲学が違うんだろうね、厄介なことに。売り上げを気にしなくていいし(Kickstarterだから)、マニアである己を最大限アピールしなくちゃね。……かように、ゲームにも作家性が出るものなのだ。
コミュニティの要求に対して、哲学を持った開発陣がそれを曲げることは期待できない。バランス調整はしてくれるだろうが、相変わらずウィルOウィスプが大量に湧いて出てくるだろうし、Ancient Curseで毎回悩まされることだろう。
プレイを楽しみたい層が欲しい“緩い”感覚を持った人が、MODDERとして名乗りを上げてくれることに期待するしかない。Gothic IIIのように。Gothic伝統のアーマー獲得の縛りは、コミュニティパッチで早々に解除されてしまった。強い声がこう言っていた。「カネがあるんだから、アーマーを買わせろ!」と。楽しみ方の違いは人それぞれだ。
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