Cobweb of にーしか

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ウエストワールド 2ndシーズン第7話感想

※以下ネタバレ

電脳世界(CR4-DLのバックアップネットワーク)でなら、コピーした人間の精神が崩壊せずにやっていける。デジタル世界で唯一コピーを逃れてきたもの、それが人間の心。

ジェームズ・デロスは死に瀕して己の分身を再創造しようとしたが、そればかりではなく、他に優良投資があった。劇中で口に上る「プロジェクト」のことだ。

ロバート・フォード博士「神は7日目には休まず、自分の創造物で興じた。なぜなら、壊されることを分かっていたから」

ウエストワールドはホストではなくゲスト(客であり人間)の情報(衝動や認知)を収集するための装置だった。人類の心のデコード。だが、その試みは単にコピーするだけで留まっている。(ヘイルが欲しがっているのはコレ)

人間はホスト達のように不死になりたがっている。コード化されて生きているホストのように。その器に人間の魂(精神、心)が入れれば。

このデジタル世界では「間違い」こそ崇高。

バナード「この世界には自由意志など存在しない。その幻想だけだ」

ロバート「ドロレスはもう自由だ」

場面変わって。
娘を助けようと、ただその希望だけを抱いて馴染みの丘に来たメイヴ。ゴーストライダーから逃れるべく、あろうことか、あの廃屋に潜む。

すると、追っ手を撒こうとやってきた老ウィリアムがいつかのスクリプトのように登場。

メイヴの復讐劇が始まり、彼女の“フォース”で操られていくホスト達。今回の冒険行で老ウィリアムに従うことになったローレンスだけは覚醒しており、メイヴの思う通りにならない。

しかし、ウィリアムにされたことを思い出すように言われたローレンスは、かつてのループで自分がされた様々なことが脳裏に蘇って、とうとう老ウィリアムに銃を向ける。

そこへ騎兵隊到着。反乱ホストは鎮圧され、ローレンスもメイヴも撃たれる。リーの計らいでメイヴだけは運ばれるが……
場面戻る。

ロバート「君たちにチャンスをやると言ったからだ」

『高い城の男』を思い出しますね。この世界とは別の時空では異なる物事が起きていて、どちらがフィクショナルな存在であるかはもはや関係ない。双方を知る核となる人物が高い城の男であり、ウエストワールドではロバート・フォード博士。第一シーズンの感想として、俺は『モロー博士の島』を引き合いに出しましたが、第二シーズンはそれとは全く異なる、作者が意図したであろうテイストに巧く進行しています。

ロバート「デロスの狂ったプロジェクトはまだ君が死んだ時にはなかった。君は記憶の中に生きていた。特に彼女の」

バナード「ドロレス?!」

ここは設定の虫食い穴を突かれないように埋めている――整合性というヤツ(笑)――ようにも見えてしまいますが。

バナード「デロスと同じじゃないか!」

ロバート「有史以来最も残忍な者の自画像とは違い、君には独創性があり、正しく、気高い」

バナードはアーノルドを生き写したわけではなく、ドロレスの記憶から導かれた存在なのですね。だから、醜いジェームズ・デロスのようなFidelity(再現度)が求められてはおらず、善き者たりえる、と。

覚醒ドロレスは、これらのことを織り込み済みで、人間が不死を得んがためにピーター・アバナシーに鍵を隠したことを、シャーロット・ヘイルの前で言い当ててみせます。

ドロレスによる奴隷蜂起は単なる人類への反乱ではありませんでした。人類より高尚な存在へ進化した個体の、自己保存のための闘いだったのです!

ピーターが我に返ったことをきっかけにドロレスの冷血漢ぶりが影をひそめます。が、やることはやる。

戦士ドロレスと母メイヴが、再び、顔を合わせるという皮肉。ドロレスの革命はニューボーンVSホモサピエンスで、メイヴの愛情はドロレスに言わせれば、所詮彼らに造られたくびき。

特異な存在であるバナードは、事(彼方の谷)が終わった後では脳が重度に断片化されていてロバートの言った通りのことが起こったのかどうかまだ分からず。

バナードの『メメント』ですね。

次回はもうひとつの語られていなかった登場人物。原住民ゴーストがなぜメイヴの娘にこだわって掠っていたのか?
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[ 2018/07/07 13:21 ] 映画、ドラマ感想 | TB(-) | CM(0)
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