CM3D2に付属するパンツは半透明のマテリアル設定で、フチをテクスチャの輪郭(α抜き※)で表現しています。
※RGB以外にアルファチャンネルを使い、黒で塗られた部分のポリゴンが透明になる仕組み。
こうすることでレースのヒラヒラをテクスチャだけで再現することが可能になり、ポリゴン数をいたずらに増加させることなく、量産型パンツをたくさん用意してくれているわけです。
しかし、これだと物足りない気がします(パンツァーなご主人様は特に)。ウエスト周りや太もも周りの縫い代、そして股間のシームに、もっとコットンの質感が感じられるパンツが欲しくなります。

↑とりあえず完成したシームのあるパンツ
改めてパンツを作るに当たり、以下の方針を打ち立てました。
①ハイポリにする
②透過にしない
③ポリゴンの裏面は作らない
④その代わり、フチをポリゴンで作る
ハイポリにすれば、シームの凹凸表現が報われます。なので、質感のあるパンツには①が欠かせません。
②は、マテリアル設定のToony_Lighted_TransをToony_Lighted_Outlineにすることで実現します。フツーの衣装を作る場合と同じです。
デフォルトのパンツはボディと同サイズのポリゴン割りによって裏面が見えてしまうことを防いでいます。今回はポリゴンの密度を高めますので、そぐわないウェイト指定により裏面が見えてしまう可能性が出てきますが、③の「裏面を作らない」方針でいきます。その防止策を兼ねたのが④です。
④の、フチ(縫い代)を立体的に作ることでパンツ全体の輪郭がトゥーンシェーダで描画されるようにします。さらに、フチの厚みが壁となって、ポリゴンの裏面が覗けてしまわないようにします。
パンツの形は、既存の半透明パンツから不要部分――つまり、透明にされてきた部分を裁ち落として作ります。ビキニっぽくしたり、ローライズにしたり、といろいろ考えられますね(ローライズは、ももの付け根付近でのデフォームが難しそうですが)。スパッツ(pants006.model)を原型にすれば、ボクサーパンツも作れそうです。

パンツの素体ができたら、サブディバイドしてハイポリにします。このままだとカスメボディのポリゴン割を反映し過ぎていますから、リトポロジーして綺麗な格子状にします(ZBrushのZRemesherを使いました)。この時、股間とお尻のシームに沿ったエッジの流れができるようにリトポロジーします。

ハイポリパンツが出来たら、股間とお尻から横一列分のポリゴンをタグ付けし、薄く押し出します。これがシームです。押し出したポリゴンの角にベベル処理を施して柔らかさを出しておきます。

フチは、エッジをカーブに変換して作りました。blenderでは、カーブに適切な厚みを付けてから、再度メッシュに変換することができます。
- 編集モード
縁にしたいエッジをタグ付け(エッジ選択にしてAlt+クリック)
- Shift+D、カーソルを動かさずにクリックして複製
- P 選択物で分離
- オブジェクトモード
分離したエッジが選択済みの状態で
Alt+C メッシュ/テキストからカーブ

- プロパティ > データ
▼シェイプ
[フィル:] を [フル] に
▼ジオメトリ
[ベベル:深度:] と [変形:押し出し:] でカーブに形状を与え、
[変形:オフセット:] で埋まり具合を調節
[ベベル:解像度:] で断面の丸さを調節
- カーブの形状に満足したら、
Alt+C カーブ/メタ/サーフェス/からメッシュ
UV展開も済ませ、ここまででハイポリなパンツ・オブジェクトが完成しました。
次にトリッキーな行程がシェイプキーです。だいたいはConverterの「クイック・シェイプキー転送」機能でこと足りますが、今回はフチをつけたため、この部分が綺麗な形状になりません。
シェイプキーは、先述したpants006.modelから転送することにしました。お腹と太ももまでカバーされているので、ボディのデフォームに追従しやすい、比較的安全な転送が行われるだろうという判断です。

pants006.modelのオブジェクトには、あらかじめ[細分化]をかけておき、シェイプキーとウェイトができるだけ均質に転送されるようにしておきます。この際、スムーズはかけずにポリゴン分割数だけが細分化されるようにします(つまり、形状の見た目は変化せず、角張ったままです)。
regfatとregmeet、この2つのシェイプキーは「クイック・シェイプキー転送」で、まぁまぁ使えそうな形状で転送できました。しかし、haraシェイプキーはまるで使い物にならない形状になってしまいます。新設したウエスト周りのフチに相当するポリゴンがpants006.modelには無いのですから無理もありません。

そこで、ラティス・モディファイアを利用してharaシェイプキーを作ることにしました。幸いにして腹ボテは複雑な形状ではないので、ラティスで綺麗に変形させることが可能です。

また、ラティス・モディファイアには[適用]ボタンの右隣に[シェイプキーとして]ボタンがあり、目的に適っていて便利です。
そんなこんなで、叩き台となる「シームのあるパンツ」ができあがりました。
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