どんなゲームでもそうだが、半日くらいかけて長々とプレイしていくと、「アレ?」というものが出てきてしまうものだ。最初こそ「類い希な黄金だ!(使いたくない言葉で表せば「神ゲー」)」と思っても、少し後では、もう幾ばくかのほころびを感じ始めている。メッキが剥げてくるのである。
これは単に、ゲームの含有する趣向がこちらの趣味と合致しなくなってきた、という合図なのかもしれない。それとも、単に、ユーザーインターフェイスに使いづらさを覚え始めただけなのかもしれない。
いずれにせよ、自分というバイアスがかかってゲームの評価に方向性が出てくるわけなんである。端的に言えば、好みの問題とも言えるだろう。
※以下ネタバレ注意。
試練(The Proving)最終段階での襲撃イベントの辺りから、物語とアクションにこれまでとは打って変わって馴染みにくさを覚えてしまった。
映画的な演出も相まって、ストーリー展開にはハリウッドの娯楽映画並みの独創性(つまり、驚き)を期待していた。ところが、このゲームの起承転結の「承」が残念なことに極めて凡庸に映る。
仲間になるかと思われたValaとBastが命を落とす。ここは後の同僚として活かしてもらわないといけなかったのではないか。
それに、プレイヤーが対人戦闘を体験するのは、この場面が初めて。にもかかわらず、機械獣相手とは少々異なる立ち回りでもって対応しないといけない。私だって弓と槍には充分習熟していたつもりだったが、立ち止まっていると命中する火矢や、すばしっこい剣使い複数人を一度に任されて、さすがにパニクってしまった。Bastの「もう、持ちこたえられない」の繰り返しもウザい。
実際には、さほど難易度が高いわけでもないのだろう。冷静になってリプレイしてみれば、きっとなんてことはない。
でも、プレイヤーが一人でほとんどの相手を捌く中、仲間は近づいてくる敵と近接戦闘で交戦する風でもない。いささかゲーム的な、主人公任せの舞台仕立てがあからさまだ。だから、プレイヤーが無様だと、どうにも締まりが悪く映ってしまうのである。
かようなわけで、物語の急変とプレイヤーへの要求が一度に高じたせいか、私は白けてしまった。更に悪いことに、多くの人が予想したであろう通りに、Rostが絶命してしまう。王道な展開と言うべきか、ありきたりと言うべきか。
この後、プレイヤーキャラクターはクリアするべき究極の課題を知り、特務を帯びた「使い」に仕立てあげられて、世界を旅する権利を得る。ゲーム的なお約束展開である。ここは特段、悪くはない。類型で言えば、貴種漂流譚である。
とはいえ、遊ぶ側として「おっ!?」という部分が……足りない。若き女性主人公の成長物語よりも、俺にはゲラルト・オブ・リビアを動かしている方がしっくりきた。男性だしね。サイドクエストもワイルドハントの方が面白かったな。
ところで、私は日本語吹き替え音声に英語字幕でプレイしている。それで気が付くのだが、儀式Provingが単に「試練」になってしまっていることを筆頭に、一部の役職名、NPC名の扱いがちょっと気になった。原文でわざわざ普通っぽくない語を当てて固有名詞化しているのに、翻訳で平易な語に直してしまっていて、雰囲気が出ないのだ。
一番おかしいのがSun-King。翻訳の「サン王」ってどうなのよ? 太陽王じゃないのか? 先王は勝手に「狂王」を冠されてしまっているし。ゲーム・オブ・スローンズじゃないぞ。
Outcastは異端者。これ、訳語当てるのは難しい部類だよね。「はみ出し者」じゃイマイチだし。
A Braveが義勇兵。War Partyは――襲撃者を追いかけたと言われているので部族の戦闘専門職だろうに、これも訳語は「義勇兵団」。
主人公が任命されたSeekerが、なんだっけ、神絡みの、なんとかの「使者」。
また会話中、ところどころ固有名詞を省いてしまっている箇所が目に付いた。例えば、義勇兵団の団長はソナで、Embrace Gateの見張りをVarlに言いつけた母親その人なのだが、この場面、Varlの口から主格が「団長」で説明されていたのに、いきなり「ソナ」に変わる。原文ではWar-Chief Sonaと併記されているところ。日本語だけ聞いていて、果たして意味が十二分に伝わるのか。
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