デモをプレイした時点ではあまりピンと来なかったんですよねぇ。デュアルショック4を下敷きで仰ぐように動かしてどこが面白いのか。ミクさんの2次元プロポーションも“その場で見てる”感を大きく損なっちゃうし。手足のひょろ長い宇宙人グレイのプリンセスか、アリが進化したアフターマン?みたいな。頭が大きいことと目が大きいことに、けっこうな違和感を受けちゃうようです。
解像感の方も他のVRゲームと一緒で高くありませんでした。ミクさんに最接近してようやっとまともなピクセルで“見えてる”感じ。手足と胴体が針金のように細長いので、まともな質量を感じとるには近づかないと駄目です。肌表現のシェーダも昨今のリッチなもの(例えばFuture Tone)ではなくて平板です。
ところが、です。
MOVEモーションコントローラーを右手に持って改めて最初からやってみると、あら不思議。没入感が全然違うのでした。
観客MOBの皆さんが一糸乱れぬ有様でサイリウムを振っておられるところ、新参のボクは…… 左隣に居る、埼玉から来たという観客MOB一号(仮称)さんをお手本に振り方を真似ることに夢中(笑)
冷めた心のどこかに、
「これはプレイヤーの為だけにあつらえたお一人様専用ステージで、寂しいキミに幻の一体感を与えるべくでっちあげられた偽りのハコだよ」と主張する頭でっかちがいるのですが……うるせー、そんなもんカンケーねぇ!
ミクさんが「こんにちわ~」って聞いてくれますぞ。ボクのために! こっちの返事が小さいと「もう一度いくよ~」って!!
うわー、部屋ン中で一人リアルに声を出してる姿は他人に見せられねぇ~(笑)「どっちの歌がいいかなぁ~?」
もちろん、恋愛裁判ですヨ、字面的に! ぶんぶんモーコンを振っちゃいますぜ~。にわかなんで歌聞いた事ありませんけれど。
「こっちだね、いくよ~」
うぉおお~。ミクさ~ん!!!
ところで、チュートリアルで教わるようにモーコンのトリガーボタンを引いたまま前(または後)に振ると、自分がいる座席位置を前(または後)に切り替えできます。同じく左(または右)に振ると、左(右)に。この切り替え操作、デュアルショック4を持った場合なら、方向ボタンで済んでました。臨場感と引き替えの一長一短ですね。

ステージに上ったかのようなVIPポジションがあります(↑画像)。この近さだとミクさんとのアイコンタクトもよく見えます。とはいえ、ボクはがぶり寄りのアリーナ席最前列が好み。がぶり寄りを左か右のどちらか一杯まで切り替えれば、ステージを斜め背中側から見る席にもできます。ここも普段と違って新鮮。
「そんなに良い席は取れない」とするリアル指向の貴方なら、アリーナ後方に移って「アーティストが米粒」感を味わってもいいでしょう。全体が見渡せるスタンド席(↓画像)にも変えられます。
2階席に変えるには△ボタンを押します(これはデュアルショック4と共通でラク)。2階席の一番前はバルコニーとなり(オプション設定で邪魔な柵を消せます)、ミクさんが見下ろせます。ミクさんらしいライブ演出として空中を浮遊して周囲を巡る場面がありますので、2階席から見るのも楽しいはず。もちろん、1階席から見上げてもOKです。

コンサートホールの3Dモデルには、なんというか不思議空間的なものを感じました。自分のいる5メートル四方はきちんと立体物に作られているのですが、自分の居場所から離れていくほど、作りが平面になっているように見えます。ですから、ステージ際の最前列からの眺めとホール壁際の2階席からの眺めとでは、共通の立体物に見えないようなところがあります。レンズの画角や奥行き感によるトリックでないとしたら、VR特有のレベル・オブ・ディテール的な処理を設けているのかもしれませんね。
座席位置によって、観客の歓声とボーカルの音量配分が3Dオーディオでざっくりと変化します。3Dオーディオによる音像(ボーカルの定位置)はいい感じです。けれども、音場に関しては期待したほどではなく、ホールの広々とした奥行き感が足りない気がしました(もっと高級なヘッドフォンを被れば違うのかもしれません)。
さて、歌唱中のミクさんから発せられたはぁと♪エフェクトをキャッチしますと、持っているサイリウムがランダムに変化します! 光るネギになったり、ライトセーバーになったり!! マラカスやタンバリンにも! 振ると(控えめながら)きちんと音が出ます。おぉぉ、なんだか楽しぃ~。さらに、モーコンを持った(VR内ではサイリウムの)手と空いた方の手でリアル拍手すると、パチパチっとヴァーチャルな拍手音まで聞こえてきます。
最高潮(2曲目だけれどネ)のところで、ごく簡単なリズムゲームが開始。MOBの皆さんにがっかりされないよう(もっとも、そんな演出はありませんが)、パーフェクトを目指しまぁ~す!
ステージ背後の左右にボルテージを表すゲージの柱が建っていて、プレイヤーのサイリウムの振りや掛け声やリズムゲームの成否が影響を及ぼしているようです。ゲージが足りないとミクさんの衣装チェンジができなかったりするのかな。
そして、すぐに終演。MOBの皆さんがアンコールを催促するのに合わせ、こちらもモーコンを振ります振ります。するとステージ上に光の塊が大きくなっていき……
「二人だけのアンコールだよ」
とミクさんが白い光の中から電脳空間ぽく現れました!
え~と、……せっかくのVIP待遇痛みいりますが、一体感が熱かったので観客MOBの皆さんと一緒が良かったカモ……

「衣装のリクエストはある?」(↑画像)
では、角があって赤くて牛みたいな右ので。今は(たしか3周目なので)まだ衣装が3着しかありません。そうか、コンサートを一通り見終わる度に(きっと前述のゲージ条件クリアで)衣装が1着アンロックされるのですね。果たして何着まであるのかな?
目の前で踊って歌うミクさん。手を伸ばして、いっそ触ってみたい。全てが終わると、お辞儀したミクさんは「次のコンサートもよろしくネ♪」とちゃっかり宣伝をして去って行きました。
……と、そんな感じで、フルバージョン予定の1/3と短いコンサートですが、モーコンを振れるだけの没入感でけっこう満足してしまいました。
冒頭の歌唱リストを参照すると、曲目は全部で7つ。その中から4曲歌っておしまい。AかBかという選択肢が3曲。最後のアンコールが固定で1曲。なので、シチュエーションとしては半固定的で、完全にシャッフルというわけではないようです。
まったりと臨場感を堪能する意義では、VRとして充分アリでした(価格はともかく)。仕方なくリピートを強いられる家庭教師よりも、ぷちライブコンサートを体験している体(てい)の方が明らかに楽しいです。
低めの解像感や2次元プロポーションの違和感などは、モーコンを振れる没入感で全てチャラ!
仮想の視野中に自分の肉体の延長上が存在する意義はとても大きいのですな、……とボクの中の頭でっかちが独りごちております。
なお、PS4でモーコンをペアリングするには、あらかじめUSB接続して(モーコン側の)PSボタンを押して行います。しかし、モーコンを一旦電源断してしまうと、再度同じことをしないとペアリングできません。USB接続せずに、いきなりモーコンのPSボタンを押したら、同じ部屋に設置してあるPS4ではなくてPS3が起動してしまいました。やっぱり、モーコンはPS3専用周辺機器なんですね(笑)
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