クラッシュが多いやら、60フレーム維持できないやら、噂だけは聞かされていましたので、自前のGTX 560 Tiで満足に描画できるかいささか不安でおりました。「ドラゴンエイジ インクイジション」などを一例に挙げますと、快適動作は厳しかったものですから。
蓋を開けてみればなんのことはない、
Godrays品質をLowにすれば必要充分な描画が得られるのでした。とはいえ、グラフィックメモリ1GB時代のボードですから、それなりに限界はあることでしょう。今やメモリ4GBのGTX 960が3万円台です。喉から手が出そうでしたが、もうしばらく、せめて次世代仕様が出そろう辺りまで、様子見したいものです。
High設定のテクスチャでは(とりわけ人物の衣装が)かなりぼやけて見えます。Distance Object Detailも関係ありそうです。Ultra設定にした方がよいでしょう。さもないと、軽快な割りに見栄えのよろしくない描画になってしまいます。
さて、序盤をプレイした印象です。
NPCの生活感ないしは自由意志といったものは旧来と同様でした。いきいきした自発的な様子はいまひとつ感じられません。自律AIは備わっているものの、出番はスクリプトに準じたまま。不用意なインタラクトには応えてくれませんし、突発的な演出といったものは無いように見受けられます。
クエストを提供した後のNPCは、Talkしても一言反応が返ってくる程度です。築き上げられたゲーム的スタイルを破るようなことはありません。主人公が喋る(音声セリフがある)以外は。かような点では新味はありませんでした。店員に話しかけたら初対面なのに家に来るように誘われた……OblivionのE3で公開された、その場でプレイして観衆に見せるデモだったかと思いますが……なんていう出来事は起きそうもありません(もっとも、このデモはいわゆる“仕込み”で、特定のNPC一個人に関わるその部分しか作られていないというシロモノでした。つまりフェイクで、ゲーム本編には存在しておりません)。
車系のゲームに見られる
ガレージ(拠点)の設置が今作の目玉と言えるでしょう。領地運営に近いマネージメントが取り入れられました。
新鮮だったのは、これによって意外にも
ボランティア気分を味わったことです。災害時派遣されてきた有志(時を超えてきた勇士)が、家のなくなったNPC達に生活を取り戻してやる、そういったロールプレイができるのです!
廃墟になった家屋を取り壊したり(労力と言えば、ワンクリックですが)、散らかった倒木やタイヤを撤去したり(これもワンクリックで済みますが)、プレハブや井戸や電気など衣食住をひととおり整備(こっちは案外面倒です)してやることで喜ばれたりするのです(大部分は数字上で、ですが)。
今日的なテーマとも呼べそうなシステムが来たな、と感じました。やっていることは、従来の
「素材集めからガレージでの所持品のカスタマイズ」を拡大したに過ぎないのですが。それが
焦土と化したディストピアからの復興支援に転化できるのは、RPGらしい側面を上手く活用できていると思います。
ガラクタを集めて武器をちょこっと改良できる程度では、単なる「やりこみ要素」や「プレイ時間の水増し」の域を超えることはできなかったでしょう。事実、素材集めの類は煩雑になる一方で、労力の割りに見合わず、素晴らしく活用できたからと言って、ゲームが内包できる物語性の幅が増えるわけではないのです。ヒーローが敵を処理しやすくなるだけに過ぎません。
ゲーム展開・オープンワールドにおけるリニア進行に関しては、ざっくりと比喩すると、
最初に「100万やるから好きに使え」と言われているような感じです。
ほどなくして主人公に最高の装備(前作で最終的に所持できるパワーアーマー)が与えられ、ごく早い段階でコンパニオン(CodsworthやDogmeat)&支援者(Preston Garvey)が登場します。あとはもう、プレイヤーの裁量で上手く活用するしかありません。
パワーアーマーは弾を喰らってもまるで平気な鎧ですが、一定のダメージを受けると鎧としての意味を無くします。その上、動力源が貴重品で、荒野を彷徨って発見しなければなりません。維持管理費が高くつくわけで、使いどころを見極めることが必要とされる装備です。
コンパニオンは冒険行を供にしてくれる頼もしい(又は邪魔な)存在で、一人ではとにかく困るような局面ではとても助けになります(シングルプレイヤーのゲームですし)。他方、コンパニオンとの意思疎通(人工無能なので)が問題で、こちらの望まない行動を(AIが)やらかしてくれる場合もあります。
支援者の立場は、前述した復興支援のキーパーソンとなります。RPGとしては興味深いのですが、AIないしはスクリプトが旧態依然なので、そこには期待できません。ごっこ遊びとして、プレイヤーの役割に
地元貢献できる要素が加わったこと、そこに大きな意義を感じます。
戦闘は、シューティング・アクションに傾きすぎに感じます。V.A.T.S.を使えば、連発の命中先をAP内で割り振れて随分お手軽とはいえ、毎度行うには手順がやや煩雑かな、と。いっそのこと、接近して短銃か近接武器でリアルタイム戦闘! とにかく先に数発ぶち当てた者の勝ち! という振る舞いになってしまいがち。この方が脳汁が出ます。命中率はプレイヤースキルではなく、能力値で補正されてしまうでしょうから。
パワーアーマーを着ていたら、主亡き地球の不条理を目一杯肌に感じました。なぜかといえば、蚊蜻蛉や蝿の類に好き放題に殺されまくるのです。
アフターマン
あの装甲は
なんのため? 嗚呼
虫どもの天下では、毒液は防げないものであるようです。放射能は遮断できるらしいのに……
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