第一章はやや凡庸だったのではないかとさえ思わせる。つまり、第一シーズンに比べると、とても個性的な物語になってきた。私は通俗性というキーワードで、ジョン・スノウやサムのナイツ・ウォッチでの境遇を作劇的な手法とみなしてきたわけだった。お約束を期待させるところがあったからだ(一部では確かにそうであるものの、しかし、まだはぐらかされてばかりいる)。
城主が殺される話は通俗的とは言えまいが、ネッドとその家族の立場や考えには現代人にも通用する拠り所があった。語り口にも、観客がどこかしら現実社会の何かを投影できるような手掛かりが感じられた。反面、異世界の出来事にしては、まだまだこぢんまりとして力の足りない様子も身受けられた。とりわけ、壁の向こうのゾンビもどきは、劇中で語られるほどの個性は欠いて映った(少なくとも、まだ第一章の中では)。而して“さわり”というのが相応しい。
第二章ではもっとはっきりとする。登場人物の境遇がより緻密になり、大きな流れとは別に各自の生き様が以前にも増して力強く描かれている。細部のボリュームが格段に増したのだ。大河ドラマ風であり、群像劇であり、キャラクターの成長物語でもある。さらにファンタジー世界らしい、魔性の物事や独特の設定が徐々にその頭角を現し、王達の椅子取りゲームだけではない不気味さを醸し出しつつある。まさに大人の世界となった。同チャンネルでは最高でもR15を推奨しているが、いやいやR18相当だろう。
観客が主人公として捉えることのできる人物は、前章から引き続き活躍を見せてくれる。シオン・グレイジョイは板挟みから脱して、とうとう自分の生きる道を決断した。ティリオンはその賢さを武器に、兄と姉によって歪んでしまったラニスターの立て直しを画策しているようだ。デナーリス・ターガリエンと彼女の民は苦難の末ようやく庇護を受けることに成功した。アリア・スタークとロバート前王の落とし子はすんでのところで皮肉にもラニスター家当主に救われた格好。ロブ・スタークとキャトリンは目的を同じくするも、母親という性が彼女に何かをさせてしまいそうである。サンサは依然としてジョフリーから手ひどい仕打ちを受けているが、城内には同情を寄せる向きもある。摂政太后サーセイとリトルフィンガーの掛け合いは見せ場のひとつだった。相変わらず、こうしたセリフのやり取りで素晴らしくキメる場面が上手い。
- 関連記事
-
スポンサーサイト