Mass Effect 2に対する評価を考えてみる。RPG寄りのアクションゲームとは表現できそうだが、いわゆる”美少女ゲーム”的な側面もある。というのは、選択肢による分岐を試していくと、少なからずフラグ立ての作業に似てくるからだ。
筆者が現在挑戦しているのは、Morinthという異星人(Asari)を部下にするフラグなのだが・・・、主人公にRenegadeという悪人ポイントが足りない為に、選択肢がグレーアウトしたままで選べない。Renegadeスコアは、およそ五分の四まで貯まっているのだが、どうやら100%に近い値でないとダメらしい。もしかすると、二週目を遊ぶ時の”変化球”として想定されているのかもしれない。
ところで、Mass Effect 2をRPGとして評価するのは難しい。一般的なRPGを構成する要素のいくつかが欠けているからだ。例えばインベントリが無い。ヒーリング・ポーションの役割は、Medi-Gelを割り当てたキーを押す事で済まされてしまい、アイテムの受け渡しや、そもそも誰が所持しているのか、といった問題が省略されてしまっている。
レア・アイテムの収集といった要素も消滅して、むしろリサーチがそれに近い感覚になっている。希少な鉱物とアップグレードユニットを揃えないとアンロックできないからだ。
パーティプレイは主人公含めて三名までと限定的で、各自の能力に頼らねばクリアできないという構成ではなく、各自の能力を有効活用すると銃撃戦の難易度が下がるというものになっている。
死の概念も消滅してしまっている。戦闘中に倒れた仲間は、主人公が生き残ってさえいれば、その場の戦闘が終了した時点で立ち上がる仕様となっている。これは、倒れた仲間を介抱して戦闘が可能な状態まで回復させる手順を、便宜上、省略したに過ぎないが、有ると無いとでは、意味合いが異なってくる性質のものだ。
仲間の犠牲を払う事無く、問題に対処するのがプレイヤーの役割、ひいてはパーティ制RPGの主要目的である。たとえ世界観的に蘇生が可能であったにしても、通例として、仲間の死はそれ相応のペナルティとして扱われていなければならないだろう。仲間が戦闘中に倒れる事が死ではなくて気絶扱いとなっていると、そのゲームの重みや緊張感はとたんに矮小化してしまう。
尤も、Mass Effect 2ではスイサイド・ミッションで仲間が永久的に死んでしまう可能性が残されている。ただし、これはプレイヤーが積極的に介入した結果とは言い難く、それ以前の経緯によるフラグ立てで運命づけられている。美少女ゲーム系のアドベンチャーに近いような作りだ。したがって、RPG的とは言えない。
カジュアル化の波による影響は大きく、ゲーム専用機向けに擦り合わされた仕様はまだしばらく続くだろう。パーティ制RPGには、受難が続く事が予想される。
(この日記は
名 作 R P G を 遊 ぶ3月10日投稿分を再構成したものです)
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