論理的に思考できて本番で上がらないタイプの人なら、勝率は5割だろう。ときどきヘマをやらかしてしまうタイプの人なら3割。よい場合で5割と想定するのは、つまるところ手札次第であるから。
ここでいう手札とは、1ゲーム毎に配られる20枚のカードのこと。Spectromancerではデッキビルドの概念はない。いわゆる“デッキ”は共通に等しく、5番目のパワーをどれにするかが、プレイヤーに任された唯一のカスタマイズである。
カード20枚は、パワー毎に12枚(5番目のパワーのみ8枚)の内から配られた4枚。この4枚×5の組み合わせがキモであり、繋ぎやすいカードが揃うかどうかで勝率も変わる。対戦相手が場に出してきた意地悪なカードに対し、対処可能なカードが手札になければ、負けはほぼ確定である。対処可能なカードとは、その意地の悪いカードをできるだけ早く除去するもののことを指す。大抵はTornadoのようなスペルのことだ。だから、運要素が強いとも言える。
あとの5割は対戦相手の手札との相性や、対戦相手自らポカをやらかしてくれるかどうかである。場慣れしておらず、AI相手のソロプレイよろしく不用心に振る舞うようなら、たちまち手の内が読まれてお陀仏となりやすい。奥の手や切り札は最後の最後まで取っておくことが肝心なのだ。
さらに、5番目のパワーに相当するTIMEとCULTにはそれぞれ掟破りなカードがある。
Chrono Engineは、オーナーに毎ターン1枚余計にカードを出すことを許す。Time Stopは、対戦相手のターンを強制的にスキップさせてしまう。Monument to Rageは、オーナーの(場に出ている)クリーチャーが毎ターン1回余計に攻撃することを許す。
これらは絶対的な原則だったはずの手数の回数を増すわけだから、バランス崩しに近い。これらと前述の繋ぎやすいカードの組み合わせが相手側に揃うと、苦戦を強いられること必至である。勝率の高いプレイヤーはこの手の“壊れ”カードで暴れている可能性が高い。紳士のプレイヤーはこうしたカードの属するパワーを敢えて選ばないものなのだ。
格闘ゲームは反射神経と動体視力と記憶力の優劣だが、Spectromancerも論理と記憶力の優劣で、よく似ている。
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