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宇宙戦艦ヤマト2199―第1話

映画館でもブルーレイでも見ていないので初視聴。冒頭カットのパンからはじまって、ガミラス、地球側とも宇宙船の飛び方が気持ち悪い。鈍重な描かれ方でもなく、さりとて戦闘機の類として捉えるにしてもマニューバの説得力が無いような。リメイク版Battlestar Galacticaのサイロン戦闘機の飛行カットを真似たのかな、とも思えるが……。

量感としての大きさがまず出ていない。戦闘艦として納得できる動きでもない。動きを捉えている最中のフレーミングやパースが中途半端に見えて、旧作の船体ナメつつトラックに相当するインチキカメラのメリハリもない。誰かが溜めという表現を使っていたが、確かに溜めが無い。2199にはケレン味のようなものが薄いね。

タキオン管理区域の管理人氏のカットでよく見かけた望遠で艦隊を正面から写すカット(遠近が無いゆえに船がべったり重なっている面白い画)も採用されていたが……。氏の手書きイラストの方が魅力的だ。原因の一つはライティングだと思う。なまじCGのオブジェクトだというリアリティに頼りすぎて、画を格好良く成立させる人為的な仕掛けまで手が回っていない。レンブラントライトによるエッジの輪郭やハイライトの強さが必要だろうし、背景をもっと沈んだ暗さにしなくては。カット自体の長さも中途半端(短か過ぎ)に感じる。

旧作止め画の前後に連続性をつけた、ニヤリとできる動きは分かったが、踏襲しているならもう少し工夫が欲しい。その連続性があんまり引き立ってない気がするんだ。もうちょっと、どうにかできるんじゃないか。ガイナックスだったら、もっと思い入れたっぷりで微に入り細に入ったフレーミングとモーションをつけるのじゃないか。そんな風に残念に思った。

ドラマについて。古代守は地球艦隊最後の壁になるという決断をする。それは若さゆえの意地かもしれないし、キリシマを逃がすという理屈だったかもしれない。ユキカゼ乗員の心情は守の決断と一心同体で、ただの犬死にとは異なった武士道や高貴な行い、旧作でいえばそれが男であったはずだ。見る側としては、そんな場面だと汲み取るわけなんだが、このリメイクでは、うーむ、弱いね。かなり淡々としている。若い兵士と老兵とを際立たせる情感に根ざしたセリフが巧みだった旧作の方が素直で良かったかもしれない。比べると、納谷悟朗さんの沖田艦長は上手かったなぁ、とつくづく感じる。

「わしは決して絶望しない」沖田提督の決意に満ちた重い言葉が、なぜか不安定構図(画面が傾いだ状態)で語られる。これでは沖田の決意が揺らぐか、不可能だという暗示であるかのようにも受け取れる。構図の意味からすると、ここは安定構図でどっしりと、際どい明暗の中に佇む沖田でなければならないように思うのだが。このコマの演出家に疑問が湧く。

佐渡酒造のキャラデザが気に入らない。ジジイ過ぎる。高齢者のジジイ臭とは無縁なキャラクターが松本零士氏の描く三頭身キャラだった。だからハキハキとした“波平”の演技がハマっていたのだ。リメイクの絵柄は生々し過ぎていけない。目の下のヨボヨボとか。御髪のヨレヨレとか。

リメイクはとても楽しく鑑賞したのだけれども、旧作世代の人間にはいろいろと文句の付け所が湧いてしまうもんなんだ。まぁ大目に見て頂ければありがたい。
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[ 2013/04/12 00:21 ] 映画、ドラマ感想 | TB(-) | CM(0)
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