アークライトの邦訳版を手に入れました。英雄プレイヤー最大4人対オーバーロードプレイヤー1人のTRPG風ボードゲームです。2人プレイ(1対1)の場合は、英雄プレイヤー側が英雄を2体操作します。基本的にシナリオに則ったセッションを行う方式で、連続シナリオを用いる趣向でキャンペーンとなります。
D&D3.5版などとも共通するお馴染みの要素が使い回されており、何かしら海外産TRPGをプレイしたことのある人なら特に混乱もせず、すんなりと楽しめることでしょう。その代わり、Mage Knight Board Gameのような新味は期待できません。
英雄と能力英雄は8人用意されており、能力値はプレロールド(固定)です。能力の値を自分でカスタムする自由度はありませんが、1クラスに2系統用意された21枚のクラスカードのおよそ半分の中からビルドを体現することが可能です。クラスは戦士、治療、魔法、探索の4つ、各クラスが2系統で合わせて8系統(8人)となります。同じ系統を選ぶことは禁止されているので、戦士が2人いる場合には、自ずと別系統となります。
例えば、戦士型には「渇いたグリスバン」と「シンドラエル」の二人がおり、「狂戦士」(10枚)か「騎士」(11枚)のクラスカードのどちらかを開始時に選びます。武装は、狂戦士の場合であれば「欠けたグレートアックス」、騎士の場合であれば「鉄のロングソード」と「木のシールド」となります。どちらも残りの9枚が固有のスキルカードで、これは疲労コストと引き替えに行える特殊アクションです。基本ルールでは、この内の基本スキルカードだけがプレイヤーに渡されるので、狂戦士なら「憤怒」、騎士なら「名誉の誓い」となります。あとの8枚は上級ルールでの経験値を支払うことで獲得します。
英雄の主なパラメータ(特徴と呼ばれる)は移動力、体力、スタミナの3つ。前述のスキルの利用や、移動力の一時的な追加などを行うと疲労トークンが溜まります。その蓄積可能な量を表したものがスタミナです。准体力といった要素ですね。
体力と等しいダメージトークンを蓄積した英雄はノックアウトされ、一時的に行動に制限が課されますが死亡はしません。
四角形のマス目を1マスあたり1移動力をかけて移動できます。縦方向・斜め方向ともに1移動力です。地形によっては、移動コストの修正がかかります。壁が交わった角の出っ張りは、斜め移動を阻害しません。
D&Dでいうところのセービングスローや技能を表現するものは、ディセントでは能力値と呼ばれます。能力値は、腕力、知識、意志力、知覚力の4つ。D&D3.5版のような難易度制ではなく、キャラクター固有の能力値以下を特殊なダイス2個で出せば成功。英雄と副官(オーバーロード側)のみが、能力値を有します。モンスターには備わっていません。
成否判定とダイスダイスは6面ですが、出目は素直な1~6ではなく、タイプと色によって異なっています。丁度D&Dで4面体や8面体を使うような案配ですが、乱数の範囲に加えてボーナスを付随させたダイスもあり、全部で6種類のダイスがあります。
盾のアイコンは防御、ハートのアイコンは攻撃の出目を表します。乱数の範囲は1~3に相当しますが、期待値はダイス別に調節されています。×のアイコンが出たら攻撃失敗です(6分の1の確率)。
ボーナスとして波動の目(稲光アイコンの記された出目)があり、これによって特別な効果が許可されます。
弓などの遠距離攻撃では、数字も割り振られた攻撃用ダイスを利用します。射程を表すマス数以上の数字が出れば攻撃成功です。例えば5の出目なら5マス先の標的まで命中させられるわけですが、ダメージは(5の出目に一緒に描かれている)ハート1個となっています。
攻撃の成否は、攻撃側の出目(ハートの個数)から、防御側の出目(盾の個数)を引いた結果で求めます。D&Dをも上回るダイス偏重方式なので、勝敗はほぼ運任せとなることでしょう。乱数の範囲が限定されていることがせめてもの救いですね。英雄固有の特殊能力や必殺技、スキル、アイテムなどを活用してこれらの結果に影響を与えていくデザインコンセプトとなっています。
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