終わった。感慨深げな盛り上がりを見せつつも、あまり上出来なセンスとは思えない。
Fableがやろうとしていた「いくつもの選択の結果が後になって姿を現す」というコンセプトが、そっくり受け継がれているだろう事は想像できた。
Fableの場合は、選択の結果らしきものが、差という形では出ず仕舞いだったわけだが、
The Witcherでは差として実現できているのだろう。別の選択による結果は確かめていないが、できそうなシーンが用意されている。
ゲームのクライマックスを作るのは難度の高い偉業だ。小説とは違って、筋運びが良いだけでは、プレイヤーに充足感を与えるとは限らない。「大ボスと対決」といったお決まりのルートを踏襲すれば良い、というものでもないだろう。得てして陳腐になりがちだ。せいぜい、少年ジャンプか、富野アニメみたいな印象になりかねない。「おらにみんなの勇気を分けてくれ!」「僕のこの体を通して出る魂の力がおまえには分からないだろう!」・・・そういうセリフが出てこないだけThe Witcherはマシだが。
注意:以下にはネタバレを伴う内容が書かれています
エピローグのIce Plainsへの飛躍と「心象世界だから、やって来れたのよ」というShaniたちの彩りが、機動戦士Zガンダムのカミーユを取り巻く女性達を連想させた。古いアニメを引き合いに出さずとも、端的に言ってお粗末だ。段階的な説得力不足だとか、築き上げてきた世界観が危うい、という論でもなくて(もっとも、その気は多分にあるが)、一元的且つゲーム的でつまらない。しかも、どういうわけだか、最近の悪役達は選民だけが生きられる理想の新世界を作ろうとする。Oblivionの悪役も然り。その浄化は、今の世界が一度滅びた後で実現する、という理屈が多い。悪を為す筋書きは違えども、究極の目的はなぜか同一。プレイヤーは食傷気味になる。
The Witcherの場合は「恐れが元凶」という事になってはいるが、あまり違いを感じない。この手のゲームを遊び終わると、安っぽいハリウッド映画といい勝負かもな、という気がしてしまう。ごくまれに感嘆できる良品もあるはずなのだが。
他に、宿命を超越できるか的な材を扱っていたとも思うが、読後(?)感はあまりぱっとしない。人間を変異させたりと、ある種の超人思想も絡んでいたような気もするが、こちらもあまり・・・。英語の読解力が十分でないせいもあるのだろう。うん、そうに違いないな、きっと。大人向けを謳う内容がこれだけのはずが無い。ゲラルトが記憶の回復に執着しつつも、アイデンティティを得ていく段階には、プレイヤーとして共感と達成感は残る。ゲーム的な語りには、吟遊詩人Dandelionとの会話が随分と貢献していた。物語やその展開に対する好みはともかく、ゲームデザインとしてはコンセプトが体を為しており、一応の賞賛はできる。ただし、しばらくの間、ロードが多くて強制イベントばかりのRPGは遊びたくない。
The Witcherにおける、別の選択肢の結果を確かめるのは、パッチとツールセットが出揃ってからで十分だ。
最後にもうひとつ不満。5,000
Orenの鎧が買えるお金が溜まったと思ったら、買えるお店が出てこない。五章では、大金は持ち腐れだった。パーツを届けに戻るのがおっくうで、Raven's Armorクエストをパスしてしまったから、三つ揃いのポーション・スロットとは一度もお目にかかれずに終わった。もっと簡単に解放してくれてもいいんでないかい? ムービーで左胸にカラの輪っかが二つあるのにヘンだよ。不満と言えば、まだあった。Adda王女のStrigaとの戦いが、プリレンダーで流れた冒頭のムービーシーンほど格好良くなかった事。全てのロウソクが消えるまで持ちこたえる・・・という、なんともゲーム的で浅はかな解決法だった。Endingムービーの刺客には誰しもが首をひねるだろう。「あれは誰? サラマンドラの生き残り? 瞳はウィッチャーの黄色い猫目虹彩だった。ゲラルトは見知っているような顔をしていたぞ?」
- 関連記事
-
スポンサーサイト