リセットと繰り返しは必然か?目の肥えた贅沢なプレイヤーの1人として、Dark Soulsの内容に関して理想を言ってみたい。筋道を形作る膨大な狩り場を(それこそSkyrim並みの規模で)リセットの仕掛けなし(※)に用意して頂けたならば、毎回のモンスターとの戦闘もさぞかし新鮮味があったろう。
例えば、Bell Gargoylesに勝つためにUndead Burgを10回通過したのであれば、Undead Burgの全長を10倍に伸ばした上で相応の密度で10倍の数のモンスターを配置すれば良いのではないだろうか。これなら、1回通過しただけでBell Gargoylesに勝てるはずだ。冗長であるかどうかはまた別の問題となろうが、プレイ・イクスペリエンスの新鮮味は確保される。それとも、繰り返し行為を前にしても、熱心なプレイヤーは飽きないものなのだろうか。そうした人々の反復に対する許容回数は、常人の感覚より多いのか?
※このゲームの主人公らは決して死ぬことができず、生者と亡者を行ったり来たりする存在であるがゆえに、その度に世界がリセットされることになっている。
装備もプレイヤースキルも相応しい状態となった「状態持ち越し」の二周目が、雑魚を狩るだけの繰り返しを取り除いたプレイフィールだと言えるだろう。ゲームのコアで最も美味しいところだけを味わうことになる。すると、初回プレイでは苦心した物量が、時間にしてどのくらいの短さへと変貌してしまうのか? ボスが強く、反復のルーチンワークが強いられたプレイは、結果として水増しでしかないのだろうか? 前述したような、膨大な狩り場をほぼ1回通るだけでボスと対決して勝てるというバランスが本来あるべき姿ではなかったのか。
ならばSkyrimに、このDark Souls式戦闘が導入されたと想像してみるとどうだろうか。う~む。戦闘アクションのバランスと、ごっこ遊びのさじ加減というものは、根本的で扱いの難しい問題なのだと気がつく。
反復とやり直しの違い私はCapra daemon(ボス)を倒そうと何度もトライした。手応えはあるので作戦と運次第で充分勝てそうだった。扉をくぐって霞が開け次第、まず第一歩と同時にクレイモアの片手持ち強攻撃で突く。ネズ公も同時か二の手で屠る。敵の繰り出す反撃は盾でしっかと受けとめる。次に背後を取るようにローリングし、ターゲットロックをしてから両手に持ち替えて数回水平方向に斬りつける…。これで勝った。ここに至るまでに一体何回トライしただろう。7、8回か。Capra daemonの居るところまで、Firelink Shrineから下水道の抜け道を通って、盗賊とネズミを二体ずつ、毎回排除して通(かよ)った。このルートは他に比べれば随分短い方だし、安全で雑魚に負ける心配がなかった。とはいえ、面倒でなかったわけではない。
ついこの前まで、私はSleeping Dogsをプレイしていた。初見でクリア出来なかったミッションやレースはその場でリトライした。公道レースは用意ドンからやり直しだが、ミッションの方はチェックポイントで細分化されている。GTA IV本編のように車でセーフハウスから向かう段からやり直さなくて済んだ。Sleeping Dogsは、Saints Row The Thirdよりも親切でヌルいくらいだ。例えば、Wei Shenが足で走りながら壁をいくつも這い上がって悪漢に追いすがる場面で失敗したら、もう一度、悪漢が走り出す瞬間からやり直しが利く。失敗した理由は、壁のそばにある障害物にひっかかってしまったり、タイミング良くAボタンを押せずにWeiが壁を素早く這い上がれなかったりしたため。よし、今度はボタンを押すタイミングに気をつけよう。こうやって改善点を把握してやり直せる。失敗した場面だけをピンポイントで反復できるチェックポイントの設け方は、時間を無為にしたくない向きにはありがたい。
一方、Bonfire(チェックポイント)に辿り着けずに3体のモンスターにドつかれたあげく絶命したDark Soulsのキャラクターは、絶命する直前からではなく、以前に休んだBonfireからやり直しとなる。ペナルティは絶命時に携えていたソウル(経験点)が失われるかもしれないこと。絶命した場所に戻れば回収できるが、もし途中で再び絶命するようなことがあれば、件の経験点は全部チャラになってしまう。道中は長く、手強い雑魚がいることが分かっている。なぜなら、このルートは随分前から開拓しており、よく往来していたからだ…。
さて、これらのやり直しの違いは何か?
1) Capra daemonの場合、ボスを倒すための試行錯誤は楽しい。勝算があるものの、失敗もまたありうるからだ。しかし、ボスのところへ行くまでの道中は短いながらも毎度毎度で飽きてしまう。なぜなら、負ける心配が無いほど簡単だからだ。
2) Sleeping Dogsは失敗の直前からやり直せる。悪漢の追跡は、進行方向を調整する左スティックのコントロールとAボタンのタイミングだけなので、さほど難しくはない。失敗したことの方がむしろ珍しい。
3) 三番目の例は直前のBonfireから、絶命した場所までを再び辿らなければならない。リスクと道中の雑魚を考えると、かなり厳しいことが予想される。既に何度も通ったことのあるルートだが、操作に意識を集中しないと失敗してしまうだろう。失敗すると経験点をまた稼ぎ直さねばならず、余計な時間がまたもやかかってしまう。
私の場合、娯楽として許容できる順番は1)、2)、3)の順である。しかし1)であっても、飽きた行程はやり直したいとは思わない。2)は単なるケアレスミスなので、やり直すことは苦痛ではない。3)はやりごたえがあるものの、失敗時のリスクが高くて、度を超えている印象を持つ。ルートは何度も通っていることから、既に飽きが来ていて、集中力の持続も危うい。
飽きのきた反復作業はやはり利点にはならないだろうと、私は思う。
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