RUSHというパズルゲームがリリースされた。すこしプレイしてみると、SpaceChemをより一般的に親しみやすくした内容に映る。
立方体をごろんごろんと転がしていくという手法は既に似たものが多くある。I.Q ~Intelligent Qube、クオンパ、Bloxorz、XI[sai]…。いずれもパズルで、a)転がすと異なる面が向くという性質を利用しているもの、b)そうではないもの、のふたつに大別できる。例えば、I.Q ~Intelligent Qubeはbで、残りはaだ。私が思うに、この中ではBloxorzが面の向きとパズル性をシンプルに活用していて非常に洗練されている。
一方RUSHは転がる立方体としての特質をあまり利用しておらず、同色のキューブを同色の穴に落ちるように
交通整理することがパズルになっている。確かに目新しいが、ある種のフローチャートを作るという作業から、SpaceChemが連想されてしまう。要はプログラム的思考を求めるパズルである。
このタイプの先達ではIsoballがある。転がる立方体こそ登場しないが、ボールを穴に落とす最適なベルトコンベアの繋げ方を考えなければならない点でRUSHに近い。更に複雑さとユーモアを加味したものならThe Incredible Machineが挙げられるだろう。
こうした歴代の秀逸なパズルゲームを前にすると、RUSHの立ち位置は非常に危うい。シンプルすぎる交通整理には魅力が乏しく、面クリアの達成感がない。立方体はただ決まった法則(ぶつかると右に曲がる)で動くだけであり、等しいサイズの立方体であることの意義は
複数を同期させる際の単位になるというだけだ。これでは理系の脳ミソをくすぐるまで行かないだろう。
SpaceChemの難易度が高いながらも支持されうる理由は、複数の解が許容される点、複雑な化学式がモチーフである点、それに加えてプログラム的思考と、三拍子揃っているからだと分析する。RUSHの簡便さはこのアピールに届かない。
また、プレイしていて楽しいかというプレイフィールの観点からすると、似たギミックを使いながらもパズル性の異なる(前作の)EDGEに軍配が上がると思う。EDGEには立方体の行方をプレイヤーがコントロールできるというアクションがあるが、RUSHにはそうしたアクション性が無い。The Incredible Machineのようなユーモアも期待できない。RUSHはいささか地味なのだ。
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