アナログ・ボードゲームのプレタポルテをようやく購入できました。まごうことなき経済ゲームで、自転車操業的とでも形容出来そうなシビアな展開が楽しめます。
即興でプレイしてみますと、このゲームに限ったことではありませんが、解釈をミスリードしかねない記述のおかげで惑わされてしまいました。このルールブックの編集はあまり優れているとは言えないでしょうね。ポーランド語からの直訳で英語がおかしいと評しているレビュワーもいます。
そうしたルール上の疑問点は、お馴染みBGGのForumをざっと見ると解決します。例えば、素材を調達した時に付いてくる品質トークンはいつファッションに割り当てたらいいのでしょう?
答えは、割り当てる必要はありません。プレイヤーがその時点で有する全てのトークン(品質、トレンド、PR)が発表したデザインに寄与するのでした。そして、ファッションショー月間の終了と同時にそれらはディスカードされてしまいます。
これに関連した疑問で、ファッションショーでの発表の順番をどうしようか? というものもありました。つまり、Featuresで拮抗し合うプレイヤーは相手を出し抜くために発表順を活用したい、というわけです。前述のように、トークンの割当数を任意にすることは出来ませんし、ショーの終了時に片付けられてしまいますから、発表順にこだわっても無意味となります。
さらにルール以外でも初心者をまごつかせる箇所があります。このゲームは1st Editionでテキスト依存が指摘されていて、エッセン2011の出展時には、文字情報をアイコンに変換することで改善した2nd Editionを発表しました。この経緯があるためか、基本情報としてアイコンが何を指し示すのかという説明が脱落している箇所が若干目に付きます。
セットアップの説明で、profitが無く、且つ、スタイルが被らないデザインカードが初回に配布されるように書かれています(下図)。

しかし、「スタイル」を説明する字句が「BohoやSports等」となっているだけで、肝心のカード上にはアイコンしか載っていません(1st Edition時のこの部分は、“BOHO”といったテキスト表示でした)。これではどのアイコンがBohoやSportsを指しているのかが伝わりません。すぐ隣にはブラウスやスカートを模した「デザインタイプ」のアイコンもありますから、初心者はスタイルとデザインタイプの見分けが付かずに混乱してしまうでしょう。

スタイルの種類について、デザインカードには専らアイコンだけが印刷されています。アイコンのサマリーは、ルールブックとは別に付属する4枚のハガキ大の紙片に載っています。ところが、スタイルアイコンのどれが文字で言うところの何であるかという情報が存在しません(5枚ある建物カード“DESIGN BUREAU”の片面を見て、ようやく理解できるほどです)。例えば、上図の白い花はBOHO(ボヘミアン・スタイル)です。プレイしていてこの認識が必要となることは少ないでしょうが、ルールブックの例示がきちんと結びつかないのはやはり困りものです。
一方、デザインタイプを示すアイコンの種類についても参照出来るページやサマリーはありませんが、こちらは最初に目にするであろうプレイヤーボード(5枚)を見ることで理解は促せるでしょう。
契約、建物、従業員の各カードについても、アイコンが指し示す意味に馴染むには少々の反復が必要です。テキスト依存をアイコンに置き換えたことはいいのですが、カードの内容を理解する最初のハードルがやや高くなってしまいました。ルールブックにはテキストによる解説が全カードの分だけ載っていて、なんとも奇異に映ります。アイコンを理解さえしてしまえば、プレイの円滑さはかなり保証されるのですが。

1st Editionと2nd Editionの契約カードの比較。テキスト依存とアイコン依存。1st Editionはポーランド語です。
引用元はBGGの投稿画像、この画像はそれとの合成で作成しました。このカードの内容は左右が同一ではないかもしれません。
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