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アナログゲーム紹介 ― Star Trek: Fleet Captains

以前やったようなルールのまるごと紹介ではなくて、どんな感じかを伝えるべく書いてみよう。ただ、私は既存のゲームと比較して、似ている似ていないを言えるほど各種アナログゲームに通じていないのでその辺はご勘弁を。

・まず、「買い物をして云々」のドミニオン系に代表される「カードだけのゲーム」とは違う。
・ボードを使うのでボードゲームの一種だが、マス目はゲームセッション毎に構成され、ランダム。
・ユニットと呼べる代物――スターシップ――が存在するのでシミュレーション系ウォーゲームっぽいが、そこまで専門的ではない。
・組んだデッキ(カードの束)から手札をドローしていくので、遊び方はカードゲームにも近い。
・更に、場に関連するデッキからドローするカードがある(ランダム・エンカウンター)。
・勝利条件は勝利点獲得方式で、その獲得の方法が何通りか用意されている。
・相手との戦闘、盤面の探索、陣取り、の三つの軸が含まれている。
・ダイスを用いた成否判定があり、ウォーゲームやRPGのそれに似た感覚がある。

以上のことから、斬新で多面的な要素を備えたゲームだと言えると思う。何よりスタートレックの世界観が醸し出されるように出来ている点がファンには喜ばしい。とはいえ、この「醸し出されている」部分は原作ドラマでの出来事をきっちり再現しているわけではなくて、「原作由来の材料を用いて表面をかすめた程度」に抑えられている。ゆえに原作をちょっとだけしか知らなくてもプレイに支障はなく、原作を詳しく知っていればなお一層楽しめる。

大きな特徴は2つあり、ひとつ目はウォーゲーム的な要素が挙げられる。

ユニットの武装
スターシップには武器、センサー、エンジン、シールドという4種類のシステムがあり、それらの出力配分を選び直すことで成否判定に成功しやすくなる。

例えば「レベル12のセンサー判定に成功すれば勝利点1」という状況であれば、センサーの出力値が最大になるように配分を変更した上でダイスを振って結果を出せる(出力+出目が12以上で成功)。もちろん出力配分の変更はターン毎に1回と定められているので、どういうタイミングで変更するかはプレイヤーの裁量に委ねられている。ここに先読みの勘や戦略性があるわけで、たいへん面白い。

戦闘は前述と同様な「武器対シールド」の対抗判定をして武器の結果がシールドを勝ると防御側にダメージを負わせることが出来る。

また、クリンゴン船にはクローク(ステルス機)のルールが用意されており、いわゆる「潜水艦ゲーム」の真似事もできる。

ミッション
ミッションを達成することで勝利点が加算され、この味付けもウォーゲーム的。ミッションの内容は対戦相手も知ることができるので、達成を阻むといった駆け引きが生まれる。ミッションカード自体もデッキであり、ドローする度に内容が異なる。

陣取り
ボードのマス目(タイル)を制圧してトークンを積み上げていくことで要塞を設営でき、最終的にスターベースを建設すると勝利点に繋がる。

特徴の二つ目はカードゲームのランダム性が取り入れられていること。

・ボードを構成するマス目(タイルと呼ぶ)自体もカードであり、あらかじめゲーム開始前にドローして作る。
・タイルを初めて訪れたユニットは探検を行い、エンカウンターカードをドローする可能性がある。
・10枚×10種のサブデッキから、あらかじめ4種を選んでシャッフルしたものがプレイヤーのデッキ(コマンドデッキ)になる。
・コマンドデッキから4枚ドローしたものが、プレイヤーの手札になる。
・ミッションカードも前述のようにデッキであり、3枚ドローする。

おまけの特徴として、原作ドラマの登場人物がカードになっている(惑星連邦側とクリンゴン側、各30枚)。手札に来た場合には、スターシップ一隻につき4人まで乗艦させることができる。これによりRPG的な雰囲気も楽しむことが可能だ。E型エンタープライズにピカードやデータを乗せてみてもいいし、プロメテウスにカークやスポックを乗せることも夢ではない(クロスオーバーのゲーム世界なので)。

まとめ

カードゲームの有するランダム性と、プレイヤーに裁量権を持たせたウォーゲームのシステムがFleet Captainsをかつてない野心的なゲームに押し上げている。これはたいへん面白い試みであるので、是非買ってお手元で確かめてみて欲しい。トレッキーな貴方は2個買って1個をお友達にプレゼントして布教しよう。

まだ食指が動かない人の為にだめ押し。ゲームデザイナーの一人はあのMike Elliott。マジック:ザ・ギャザリングのデザインに参加し、サンダーストーン、クォーリアーズ!など、自由度が高めのゲームを作ってきた人物。有名どころではデュエル・マスターズも彼のデザイン。日本ではバンダイのトレーディングカードゲーム「バトルスピリッツ」の監修もしている。どうだろう、これでStar Trek: Fleet Captainsがポッと出のただの版権ゲームでないことが分かって貰えると思う。面白くなるべく作られた下地のしっかりしたゲームなのだ。
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記事読みました。
Star Trek: Fleet Captainsのとても良い紹介記事ですね。
このゲームは未所持ですが分かる限りのことをTwitterに書き込みました。
http://bit.ly/oxo3Ov
製品不良が多いので日本での販売は無いと思ってますが、斬新なアイデアがふんだんに盛り込まれていて注目作には違いないですね。

記事の続きを楽しみにしています。
[ 2011/12/15 13:58 ] [ 編集 ]
Re: 記事読みました。
Hirotmanさん、はじめまして。Tweet拝見しました。
実はFleet Captainsのことを検索している時に既に拝見してまして、おぉリンクして頂いてる!と感謝しておりました。

ウォーゲームの洗礼を受けた世代とスタートレックを見ていた世代とは比較的重なると思いますので、日本でももうちょっと盛り上がって欲しいなぁと思います。アー○ライトさんとか、日本語版を出して頂けないかなぁ。せめて輸入してくれるだけでもお求めやすくなっていいのですが。
[ 2011/12/16 05:41 ] [ 編集 ]
No title
Fleet CaptainsはVassalのモジュールが公開されているようです。
http://www.vassalengine.org/wiki/Module:Star_Trek:_Fleet_Captains
メールプレイはこれを実装して行うのが良いのではないでしょうか?

Vassalはアナログゲームをオンラインでセミリアルタイムで遊ぶためのツールです。やや古い記事ですが以下を参照。
http://www.4gamer.net/games/000/G000000/20090203036/
[ 2011/12/16 15:04 ] [ 編集 ]
Re: No title
有用な情報をありがとうございます。ざっと弄ってみました。

プレイ途上の記録を残せるのはありがたいですね。ですが、若干使いにくいところがあり、やや難点を感じます。

・CLIX表示を合わせるのがちょっと手間
・エンカウンターカードが無い(?)

後者は2プレイヤーが居合わせて初めて出てくるのかな? どうもよく分かりませんでした。
[ 2011/12/16 20:31 ] [ 編集 ]
私のロートルPCでは
メモリー不足でまともに動かないので確認できないのすが、箱絵のサムネをクリックしたところにあるGame Boxを開いた画面にエンカウンターカードのデッキがありませんでしょうか?

あるいは処理が自動化されているモジュールであるなら、艦船をロケーションカード上に移動させ(ダイスロールした時点で)カードを引く指示が現れるのかも知れません。
[ 2011/12/16 21:16 ] [ 編集 ]
Re: 私のロートルPCでは
素早いお返事ありがとうございます。

管理者権限で起動するようにしたおかげか、FileからNEWを選ぶようにしたからか、このどちらかだと思いますが(たぶん前者)、星空が背景になっている盤と各種デッキ類が表示され、正しく機能するようになりました。

あと分からないのは、オフラインで2人プレイ(PBM)にする場合、どうやってプレイヤー2を作成するのか、といった辺りです。本来はオンラインで部屋を作ってやるのだと思いますが。
[ 2011/12/16 21:31 ] [ 編集 ]
No title
VASSALの接続に関しては日本語でまともな解説記事がないように思います。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm16082218
ニコニコ動画のアカウントが必要ですが、おそらくこの動画に接続に関する情報があげられています。
実はこういう動画を見るのが激しく苦痛なので確認していません。同様の解説動画は他にもあるみたいです。ご参考までに。
[ 2011/12/16 21:51 ] [ 編集 ]
Re: No title
ありがとうございます。
私の返事を誤読されていると思いますので一応。

OFFLINE(“オン”ラインではなく)で2プレイヤーする場合の方法が分からないのです。PlyaByE-Mailでは必要条件かと思います。こうした使い方が出来るのか否かは存じませんが。

1プレイヤーで両陣営をプレイすることは可能ですが(セーブファイルをメールで送る等)、それでは手の内が丸見えかと。

本来はP2Pか、さもなくばサーバー接続して部屋を作るはずです。その作り方は問題ないと思います(教わらずとも分かりそうです)。この場合は部屋に入った人がプレイヤー2として開始できるのでしょう。
[ 2011/12/16 22:45 ] [ 編集 ]
ああ、勘違いしていました。
私も詳しくないのですが、分かる範囲で。

ご覧になっているとは思いますが、http://www.vassalengine.org/wiki/Faq_generalの「メール対戦のやり方」を見るかぎりでは、ログファイルをやりとりすることで、陣営毎にプレイできるみたいです。

このファイルにはマップの内容とか相手のカードの状況などの見えてはならない情報は添付されない(はず)なのでターンごとのファイルをやりとりしながら2台のPCでプレイを進めることができると思われます。

この説明でよろしいでしょうか?

問題は恐らくマップの内容は各自が容易にめくって確認できると思われるので、相手に黙ってこっそり覗き見る不正をやろうと思えばできるということかと…この辺は紳士的行動が必要でしょう。
[ 2011/12/16 23:26 ] [ 編集 ]
Re: ああ、勘違いしていました。
ありがとうございます。丁度同じページに辿り着いたところでした。
で、自分で試してみたのですが、ログインネームが同じ為なのか、ログの再生までは問題ありませんが、第二プレイヤーとして参加するところが試せませんでした。
別のPCで確認する必要がありそうです。この件は後日あらためて。
今日はどうもありがとうございました。
[ 2011/12/16 23:57 ] [ 編集 ]
すみませんリンク間違えました。
http://dsssm.yukihotaru.com/index.htm こちらの「メール対戦のやり方」の部分です。申し訳ない。記事が古くてバージョンがずいぶん前のものみたいですが、基本は同じかと。
[ 2011/12/17 00:00 ] [ 編集 ]
Re: すみませんリンク間違えました。
タイトルを見て参照先が同じだとわかりました。問題ないです。

わざわざすみませんでした。
本来なら、自分で調べるべきで、返信しつつ調べていたのですが、ついHirotmanさんがご存じかと、頼って聞き込んでしまいました。

あれから仮想XP環境で試してみたところ、logの再生で2プレイヤー側参加が上手く行えました。
[ 2011/12/17 00:56 ] [ 編集 ]
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