Cobweb of にーしか

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Witcher 2 - 1st Impression

セーブは前作の“Ice Plains”近辺のデータからImportできる。どの辺が利用されているのかわからないが、成長させたゲラルトの能力、世界情勢(ヒューマンVSノンヒューマン)、脇役の行く末、といったところだろうか。

冒頭、またぞろ追いかけられているゲラルトさん。捕まって、拷問され、経験したことを話すように諭される。どこぞのDragons Age 2のように回想シーンによる導入場面だ。

前作とはまた趣を変えている。映画的アドベンチャーになった。悪く言うと、場面展開に伴うアクションをこなしていくタイプの月並みなゲーム性である。

お楽しみの濡れ場は回想シーンでいきなり登場する。フォルティス王顧問となったトリス・マリゴールドと、“ウィッチャー”ことゲラルト・オブ・リヴィアは、テントの中のベッドの上でよろしくやっているのだ。そこへ下っ端の兵士が、王がお呼びです、と入ってくる。

周囲は戦場の最前線、テメリア軍の野営地だ。空は晴れ渡った青空。戦がなければ気持ちの良い朝だったろう。古参兵は新兵の訓練に余念がない。あちらこちらで、投石機の轟音が響き、放たれた弾がわずかに目と鼻の先の謀反者が立てこもる城の壁を壊している。

フォルティス王は自ら指揮を執り、攻城塔で敵陣に乗り込むつもりだ。ゲラルトもお供をする。

こうして謀反者の城を攻めるのが最初のパートである。ところが、いきなり躓いた…。このゲームシステム、殺陣が駄目だ。入力の処理とグラフィック描画の負荷とが、最適化されていないような印象を受ける。

いわゆる反応が“もっさり”で、敵に囲まれると、プレイヤーが動かすゲラルトは手数で負けてしまう。前作にあったはずの対集団戦のソードテクニックが無く、イグニやアードといったサインの威力も弱い。

アニメーションのブレンドがおかしい。アードという反発力(※)で倒れたはずの敵兵が、起き上がりもせずに、クロスボウからソードへ持ち替えるモーションで、何事もなかったかのように立っていた。立ち上がるアニメーションがオミットされ、敵兵が被るべき「地べたにへたり込んだ状態」がキャンセルされてしまう。剣戟中ではないモーションの敵兵にアードが当たっても無反応。あれれ?…。
 ※ ウィッチャーの超能力の一種で『サイン』と呼ぶ。スターウォーズに登場するジェダイのフォース・プッシュのようなもの。

剣戟システムに、いくつか複雑な側面を持たせようとしている事は見て取れる。例えば、鎧に身を包んだ敵兵、特に盾を構えている兵士は打たれ強く、アードで防御を崩さないと、剣の一撃が入らない。片膝をついてなお、盾でひたすら防御の構えに専念したりする。この状態では、後方からならば、攻撃が決まっても良さそうなものだが、どうも死角の判定が狭いか鈍いようで、盾が効いているものとして跳ね返される。

前作にあったウィッチャーのソードテクニックの内、通常打と強打が用意されている。グループスタイルは無いようだ。前作で自動扱いだったパリーは、Eキーを押すことによりプレイヤーが能動的に使えるようになった。ただし、反応が鈍い。一対一ではきちんと反応するのだが、一対多では、妙に反応しなくなる場合が生じる。

敵兵のAIはウィッチャーとの距離によって反応するようで、一定距離に遠ざかると深追いしてこない。ゆえに現実感がなく、間抜けなAIの一種と評せるだろう。しかし、こういう欠点でもなければ、この場面のプレイヤーは勝ち目が無いかもしれない。反応の悪い剣戟システムがシビア過ぎるのだ。

キー入力の取りこぼしが多いのではないだろうか。特に混戦時でのマウス・クリック多用中には移動キーを受け付けない。キーから一旦指を離して、二度押しする必要がある。

ウィッチャーがそっぽを向いていても、カメラ視点の正面にいる敵は自動的に標的となる。その為、サインは発動しやすい。現実的にはおかしいが。なお、ゲームは三人称視点である。

カメラがウィッチャーとお見合い状態の時、Wをキー入力しつつ、ウィッチャーを(向き直らせて)背中方向へと移動させたい場合、移動がすぐに生じない。スペースキーによる前転を多用せざるを得ないようだ。

的は自動でアサインされ、能動的に選べない。Batman: Arkham Asylumのバットマンの挙動に似ている。いきなり横っ飛びして、プレイヤーが意図しない視点外の敵兵を攻めたりする。バットマンの場合はそれで操作に不都合もなく、カジュアルにプレイできていたものだったが、このWitcher 2では、剣のスイングが隙として際立っており、尚かつ、入力に対する反応が悪い。

アードのクリティカルヒットっぽい演出が出るタイミングもよくわからない。フィニッシュムーブになると、カメラの視点がシネマティックに変わる。シネマティックから戻った直後に、間近の敵兵に斬りつけられる事も多々ありで、なさけないゲラルトさんは前作譲り。

ゲラルトによる剣の攻撃範囲が一人にしか作用していないようだ。これは序盤でレベルが低いためなのか、それとも戦闘システムがそれを認めていないのか? 範囲内の二人を一斬りで同時に攻撃できないのは、集団戦においてマズイような…。

この場面で生き残る戦法は……とにかく走り回って囲まれないようにし、一人ずつサインで崩して倒す、といった感じになった。前作の方が華麗なる剣捌き(グループスタイル)が際だっていた。ウィッチャーらしくない戦法で幻滅しそうだ…。

現時点では、ポケットにポーションを装備する事が出来ないようだ。ヘルスは自動的にリジェネレートしていく。どうも戦闘中にポーションを飲むことはできなくなったようで、事前に飲んでおく必要がある。ヘルスは一気に回復しないので、戦闘中に服用できないように仕様変更されてしまうと、遅い自動リジェネレートを待つという、間抜け戦法になってしまう。下手くそな立ち回りをやっているとヘルスが削られすぎて、何度も同じ場面をやり直す羽目に陥りそうだ。死んでは繰り返す、コンソールの通俗なアクションゲームになってしまった。RPGらしさはどうなってしまったのか…。

マウスでぐるっと周囲をすばやく一瞥したような瞬間、カメラ移動にブラーが掛かるのだが、これが激しく鬱陶しい(もっとも、オプションで切れるが)。ゲームエンジンは今回から内製品で、高パフォーマンスなグラフィックカードにも応じられる高性能設計になっているようだ。一方で、それが災いしてか、ミドルレンジ程度のグラフィックカードでは、やや扱いにくい雰囲気もチラホラ。Auto Detectさせると平気でHigh設定になるが、アクションの処理に必要なマージンは確保できていない印象。

とにかく、戦闘アクション時の反応が悪くて困りもの。序盤ですぐにもサクサク進まなくなるのは、ものすごくストレスフル。戦闘システムの仕込みにも、自動照準など、やや疑問点が残る。テスターから最初に改善要求が来るとしたら、それは戦闘だと思う。もし、このゲームがBioware製だったなら、こと戦闘に限っては、もっと調整されて、操作性が良くなっているような気がするのだが。

最初はバリスタの周囲の敵兵を排除する場面で躓き、お次はドラゴンのブレスに焼かれつつ棟に入る場面。なんというか、不条理な印象でヘルスが尽きてやり直し、となるのが苦痛だ。こんなゲーム性だと失望が大きい。果たして、戦略的にヘルスをマネージングできる余地が残されているだろうか? そうは思えない。戦闘アクションのコツを会得するまでは、「クソゲー」と毒づきそうだ。

FRAPSのFPS表示によれば、私の環境では、ゲームのConfigをLowにしても『この場面の』フレームレートは上昇せず、30前後だった(垂直同期はオフにしてある)。ここは最も負荷の高い場面のひとつに相違ない。この状態で戦闘しても印象はあまり変わらなかった。こちらの剣は空を切るばかりで、周囲の敵兵三人に斬り殺されてしまう。ドラゴンブレスに焼かれながら、いつのまにかヘルスが尽きているという感じで、どうにもつまらない。

マウスとキーボードを止めて、Xbox360コントローラで試してみたが、パリーの構えがやはりすぐに出ない時が生じる等、あまり芳しくない。スティックでは、カメラ視点変更が『マウスルック』よりも遅くなりがちであるから、戦闘時の難易度は高くなる。キーボードではショートカットが利用できて、インベントリやマップがワンキーで開ける。一方、コントローラでは、メニューのリストから、インベントリやジャーナルへアクセスする形になる。一長一短だ。

仕方がないので、難易度をEASYにした。この場面に限っては、まだ難しいくらいだろう。この次に来る「寺院潜入」になると、とたんにEASYでは簡単すぎるように思う。バランスが悪いのは前作譲りという事か。せっかくのストーリーテリングが、不必要に高難易度の戦闘場面のおかげで、切れ切れになってしまった。初めてWitcher 2をプレイする人の印象は、このせいで、あまり良くならないはずだ。前作の「ヴィジマのイヌ」といい、どうしてこうも、唐突なアッパーカットが好きなのか。これを判ってやっているとしたら、デザイナーはドSだ。

さて、失望はこれだけではなく、コンソールでお馴染みのQTE(クイックタイムイベント)がある。ゲーム内オプションにDifficult QTEとあるのを見て、嫌な予感がした。オプションからオフにすると、QTEを無くすことは出来ないものの、より易しいタイミングにできるところが救いである。純然たるコンソール仕様になっているくせに、PC専用とはこれ如何に?

初歩的な欠点の目立つゲームである。牢屋から脱出する段になった。「アイテムを拾う(lootする)」「扉を開く」「使う(松明に点火)」の二つの操作が重なると、「扉を開く」か「使う」が優先され、lootが出来なくなる。また、lootの指示が出る(loot動作が行えるようになる)タイミングがよく分からない。アイテムが足元に転がっているというのに拾えないのは滑稽だ。アイテムの上を往復しても、一瞬しか拾える表示が出ない。…と思ったら、lootした後も革袋が落ちたままなのだった。拾えないのは、既に拾ってしまったから、らしい。これは失敬。

どうにも訝しいのだが、ゲラルトの声優は二人いるのではないだろうか。時々、声が変わって聞こえる。いつものしわがれ声が、時々張りのある声に取って代わられ、追加収録の都合上、苦肉の結果なのでは?と思わせてくれる。
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[ 2011/05/17 19:48 ] RPG | TB(0) | CM(0)
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