Star Wars: The Force Unleashedの評価をしてみよう(もちろん、クリアしましたヨ)。楽しい部分もそれなりにあるのだが、初めてプレイした場合では、つまらない方が勝ってしまうだろう。有効なコンボを理解して、ボス毎の攻略法を知った上で再プレイすれば、ずっと楽しめる。
とにかく、初回プレイでは、(フォースポイントを割り当てた)フォースパワーが偏っていたり、そもそもパワーレベルが低かったりして、苦戦することが多く、SITHらしい強さを堪能するというお膳立てになり難い。
- 二人目のボス、KAZTAN PARATAS戦で、早くも歯ごたえがあり過ぎる印象。難所の登場が早すぎか。Junk Titanにはフォース・ライトニングが良く利くのだが、パワーレベルが低いと、何度も攻撃しなくてはならず、鉄拳を避けきれなくて失敗してしまう事が多い。
- 終盤では、スターデストロイヤーをフォースで墜落させる面が単調な上に長すぎてダレてしまう。
- 効率の良いコンボを活用しだすと単調になってしまう。
- フォースパワーを活用させる仕掛けの幅が不足気味。パズル仕立てで悩ませてくれる場面はごくわずかだった。
- 映画を見返すと、敵が投げてきた物体をフォースグリップで受け止めたりしているが、The Force Unleashedでは出来ないらしい。

画像はImpale(RT,X)が決まった瞬間。対して、ボス戦では、隙をつける場合にしかコンボが通用せず、有用性の可否が際立ちすぎている印象。
システムの作りとして、気になる問題点も目に付く。
- フォース・アップグレードに入る度にゲームが中断するのは頂けない。
- トレーニング・ステージの扱いがプレイ進行と上手く噛み合っていかない(トレーニングしたければ勝手にしてくれという案配で、トレーニングというよりも単なるオマケ)
- ステージ開始時のシネマティック(Binkビデオ)が省略できない。
- 最近のゲームにしては、とにかくロードが長い。
つまらないゲームには、共通の要素というものがありそうだ。無意味に見えてしまうポイントの獲得、アップグレードが実感に結びついてこない、あっても使い切れないコンボ(最も役に立つコンボ以外使わなくなる)、コピペを多用したマップ、などなど。
短所が多い ゲームシステムやデザイン自体に欠点がいくつか見受けられる。まず、ターゲットのレティクルが、プレイヤーの思い通りになりにくい。主人公の顔が向いている方向で、より近い物体や敵が自動的にターゲットとして選択されるようなのだが、サードパーソンビューであるが為に、主人公やカメラの向きを微調整するのが難しく、レティクルの移動が思うとおりにならない。
結果として、プレイヤーがここぞという瞬間でターゲットを指定できないもどかしさがある。ターゲットはロックが可能なものの、ロックするとカメラの動きに制約が生まれ、主人公の操作にやや不自然さが生じる。尤もロック以前に、思うとおりにターゲットできない事の方が多いのだが。
関連して、フォースグリップで浮かせた物体を標的に命中させる操作性が良くない。遠い標的に対しては、自動的に命中補正が働くようで、かなりいい加減に放り投げても、当たってくれる。一方で、物体を浮かせる際に視界内に標的が見えないような状況下では、主人公が振り返える等してから放り投げる事になるが、こうした旋回を伴う操作は、途中で狙撃される等して、成功しない確率が高くなる。
同様に近い標的へは、物体の軌道を正確に描く事が難しく、命中させづらい。最も平易な戦術は、正面にある間近な物体を浮かせて、同じく正面の、更に遠い標的へ放り投げる事である。横や後ろに向く手間が生じると、隙も生まれる上、近い標的には正確なコントロールが難しくなる。
任意に回復できないヘルス SITHはJEDIとは違って、フォースヒールのような治癒効果を持たない。ゆえに、敵を倒してフォースポイントを獲得するか、アイテム(赤い三面体 Sith Holocron)を拾うかして、ヘルスを回復しなくてはならない。ところが、アイテムの効果はランダムなので、ヘルス回復系が必ず出るかどうかは保証されない。
プログラム的には、主人公のヘルスが減っていれば、ヘルスドレイン等の効果を割り当ててくれる仕掛けにはなっているかもしれないが、実際に拾うまで判らないというのは、リスクを感じさせる。つまり、効果があらかじめ判明していないので、場当たり的でしかなく、「ここで無敵になってAT-STの相手だ」といったように、戦略的に使っていけない(特に初回プレイでは)。
ヘルスが減ったままになったとしよう。簡単に倒せる雑魚もおらず、Sith Holocronも見あたらない場所で、スナイパーのような面倒な敵が残った場合、ダメージを受けてゲームオーバーになる公算が高い。プレイヤー側にヘルスの回復をコントロールできる裁量が無いので、ボス戦の難易度はそれだけで、自然と高くなってしまう(確かに、映画に準じた一騎討ちにはなっているわけだが)。
対SITH特殊部隊化してくる雑魚 主人公は、無類のフォース使いで無敵さを誇るSITHである。したがって、徐々にステージの雑魚の構成が意地悪なものに変化してくる。フォースパワーでは 届かない遠距離からスナイプしてくる雑魚と、壁の役目をするドロイドの組み合わせが多くなるのだ。こうした敵の構成だけで、歯ごたえのあるゲームバランスを実現しつづけると、そのうち新鮮さが失われて、プレイのつまらなさが露見してくる。
捻りの乏しいマップデザインと相まって、そもそも「フォースパワーを活用する」楽しさが失せてしまう。意地悪な物量作戦の前では、フォースを備えている意義ってあるのか? という雰囲気だ。全くそっくりというわけではないが、類似のシステムで、主人公のパワーや成長をフィーチャーした、
Dark Messiah: Might and Magic(PC版)の方が、マップデザインの手法としては優れているだろう。
格闘+ボタン押しのボス戦 ボス戦は格闘ゲームに準じたプレイに近い。ライトセーバーによる剣戟で、防御とコンボによる攻撃、フォースパワーを組み合わせて戦う。クライマックスでは、「画面の指示通りにボタンを押して、フィニッシュムーブで華麗に退治」という、アクションゲームでは珍しくない演出が採用されている。
しかし、このゲームには向いていない。なぜなら、プレイヤー自らが己の技量によって敵を倒す、という達成感を根底から奪ってしまうからだ。何が起こるか明示されていないボタンの羅列を叩いて、見た事の無いような超ワザが出ても、それがお仕着せであっては、意味がない。
格闘ゲームを遊んでいて、あと一撃で倒せるという局面になったとたん、リズムゲーじみたボタン押しを強要されたら、貴方は納得できるだろうか。
ボス戦になると、カメラ位置が固定で動かせなくなる仕様も少々疑問だ。カメラが不用意に位置を変えるとプレイしにくい場合もあるが、だからといって、固定カメラのままで、十分な見通しが確保されないのは困る。主人公が画面の奥に回ってしまうと見えづらいではないか。
(この日記は
名 作 R P G を 遊 ぶ4月22日投稿分を再構成したものです)
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