ウィリアム・フリードキン監督の『フレンチ・コネクション』が好きだった私は、
Kane and Lynch 2 - Dog Daysの即興ビデオ撮影演出を見て、忘れていた何かを思い出した。今なら、このスタイルの映像表現だって、マシニマで出来ないことはないわけだ。

モザありです。
ごみごみしたPC版上海の汚ねぇ街路は、かつてローカル線下車駅の商店街で目にしたような原風景と似たものを覚えるし、階段しか使えないような高層団地は、小学生の頃、社宅や都営住宅に住んでいた友達と遊んだ想い出だったりする。それらが外国人(舞台が上海だから、白人にはやっぱり外国だろう)の、不快で最悪の日々(Dog Days)を綴ったアクションゲームに仕立てられているのだから、こいつは非常に興味深い追体験になる。
強く引き込まれる部分はあった。最初の5章くらいまでは、思わず熱中してプレイしてしまう。三人称による発砲なので、目と鼻の先にいる相手ほど当てにくいとか、カバーアクションで視界が遮られてしまうとか、この手のスタイルにつきものの遊びにくさは相変わらずだが、なんとか付き合えた。導入部がキョーレツだから、「先は知りたい」と誰もが思うだろう。リンチの恋人シウの救出行、果たして切り刻まれたケイン達は生還できるのか?
だが、飽きを生じさせてしまうのは、始終やっている事が同じだからに他ならない。ステージは通り道があらかじめ造られている、コンソールゲームでは至って平凡な作り。自転車の列やバリケードを作っている警察車両が通せんぼとなって、その向こうへは行けない。これがフリーローミングな箱庭だったら、随分違っただろう。
ガンシューティングは、コントローラ補正が利いて、カバーから身を乗り出している敵にタイミングを合わせれば、それなりに当たる。ガソリン入りポリタンクや消化器を放り投げて、銃撃して爆破、という変わったアクションはあるものの、それ以外は極めてオーソドクスだ。スキルとか、アドバンテージを貯めるようなシステムは全くない。
揺れるカメラはSteady Camにすれば安定するが、ますます没個性となる。上海の“SWAT”的な敵や軍隊ばかりを相手にするようになったあたりで、つまらなくなってしまった。プレイフィールと潜在性が、以降の体験でピークを上書きするようには思えないからだ。
イベント演出も欠点の方に目が行ってしまう。声は俳優の肉声だから迫力が無いわけがない。しかし、デジタルアクターは別だ。彼らはコレオグラフィーとリップシンクの成否で出来が決定してしまう。どこか合わないリップシンク、感情の発露が乏しいフェイシャル・エクスプレッション。大声の演技なのに、口が大して開かず、身体全体の演技が感じられない大根役者ぶり。これではデジタルアクターのアカデミー男優賞は無理だろう。プレイヤーの操作するリンチが常時喋っている肉声も、どこか別のところで別の人物が発しているかのように聞こえてしまう。
$5なら悪くないが、フルプライス出せるタイトルではないだろうな。残念だが。

拷問による全身切り傷の満身創痍で息を吹き返したリンチ、グラサンのタコに逆襲。

相棒のケインも酷い有様だ。よく命があったな。

裸族で脱出とは思わなかった。ふつう、敵の服くらい奪うだろ?

中年裸族のタッグぶりは、バイオ5の比ではない。

理不尽なチャリンコのバリケード。不法な駐輪で迷惑しています。だって、先へ進めないんだもの。

モデルの作りや肌シェーダは素晴らしいが、動くとなると、全身の演技力が物足りない。声優の肉声をサポートできるほどには。
追記: Story Modeは二日でクリアできてしまった(正味6~8時間)。Xbox360コントローラーでは私自身照準操作がヘタレなものでそれなりの難度に感じるが、マウス+キーボードでは非常に簡単だった。最近クリアまで行ったのは久しぶりかもしれない(そういえば、Amnesiaはクリアしていたっけ)。
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