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ペリフェラル~接続された未来~(アマプラ)

脚本もさることながら、編集も巧みなのだろう。そうでなければ、あれほど濃い内容を要領よく見せることはできない。下手なプロダクションなら、同じ内容を2倍に薄めて倍の話数で見せるところだ。そうすると、ものすごく間延びして退屈に見える可能性が大きくなる。視聴者を3歩歩くと忘れる鶏だと考えている作り手は後者の作戦を採りたがったかもしれない。あるいは、制作費の問題もあったのかもしれない――短い話数で完結させることを意図したのであれば、さもありなん。

第6話

アリータはネオプリムだった!!

フリンがウィルフに
(吹き替え)「あのこと話したの? あなたが何をしたか」
(字幕)「彼女に話した? あなたが何をしたか」

ここの翻訳は不味すぎるでしょう! 省略しすぎじゃない? 
どのことを誰に話したと訊いているのか、吹き替えでは意味不明過ぎる。おそらくは前話に出てきた、ウィルフが12歳の時、学校の食堂でネオプリムに襲われて返り討ちにしたこと(吹き替えでは訳出されていないが、喉を切って残りは射殺した、のだ)。

だから、なぜアリータがネオプリムの肩を持つのかが分からない。裏切り?
――視聴者目線では、アリータはおそらく人道主義者なので、その活動は派閥に因ったものではないのだろうとも推測できる。

原語 “Did you tell her what you did? When they took over your school?”
[直訳]あなた(ウィルフ)がしたことを彼女(アリータ)には話してるの? 連中(ネオプリム)があなたの学校を襲った時のこと。
(まともな訳)学校でネオプリムに襲われてやったこと、アリータには言ってたの? 

アリータがウィルフの返り討ち事件を知っていたのかどうか、それによって、物の見方が変化する、とフリンは指摘している。
担当訳者が前後の脈絡を知らなくて、theyが誰で学校との関係が分からなくて日本語にできなかったのでは? 


――今話の翻訳は全部不味い。人名すら訳出してない。「そういえば、第1話で花婿の人形を折ったgeekじゃんか、フリンの為にハッキングもしてたし。名前は――」というのを視聴者に促す役目なのに。Maconメーコンが名前。訳者は読みが分からなかったのかもね?

サイドエピソードとしては面白い切り口だ。ハッカーとしての意味しか無かった脇役にもスポットライトが当たる。


「二人に約束した。なんとかするって」
“I gave the Fishers my word. Told 'em that I'd handle this.”

――台詞が入んないってことなのか? もうちょっと固有名詞入れてもいいだろうに。“二人”くらいだったら、視聴者は分かるけれど。奥さんのディーディーに説明しているのだから、誰のことか名前は示さないとハッキリ伝わらないだろうね。


ペリフェラルはいつの間にか生化学的なモデルになっている。第1話でのバートンモデルは手の皮が剥けるようなチープさだった――それとも、あれはそれくらい強い力で手錠から手を引き抜いたということなのか?


A stub, as we call them.
(新しくできた枝のことを、)スタブと呼んでいる。

But why do you? Call them that? It sounds short, nasty, brutish.
スタブって切り株って意味よね? なんだか酷く乱暴でやな感じ。

前に書いたように、切り株という認識で間違っていなかったね。
引き延ばしエピソードに見えながらも、新しい展開の嚆矢か。

第7話

The Lazarus Projectのアーチー役がベアトリス。

アリータの策謀が判明。アッシュとオシアンと組んでいるアリータは機密情報のデータを盗んでスタブに隠すことが目的だった。彼らはネオプリムだ。

アリータの正義感はどこへ? 後でドンデンがあるんだろうか?

ハプティック・インプラントのないフリンは、意図せず、データをウィルスに変換して脳に保存している。――ここ、面白いね。バイナリデータがDNAのコードになっている、というわけ。さすが、ギブスン。面白いアイデア。

ネオプリムの目的はよくあるやつだった。選民のための新しい国を作る。今あるものを壊して。TES4 Oblivionのボスと同じ。

our neural adjustment mechanisum 神経系統を操れる我々の技術
盗まれた機密情報は、ハプティック・インプラントで実験されていたアレ。人心を操作する能力になるわけだね。スタブは、この技術の実験場としてリサーチ研究所(シェリス・ニューランド博士)が作った!

だから、明るみに出ると、非公式の(都合の悪い)技術の存在が知れ渡ってしまう。なんだか、ディープフェイクを利用している英国情報部みたいな秘密になってきた。

最も興味深かった台詞:

“Every single vector of the Jackpot was weaponized by the same disruptor. Human nature. Now, it might've manifested itself as selfishness or venality or simple stupidity, but at the bottom, it all amounted to the same trait: our persistent, self-destructive resistance to acting for a collective good.”

(吹き替え)「ジャックポットのあらゆる側面は兵器として利用され続けてきた。そう、人間に。人間の身勝手さや欲深さや単純に愚かさなのかもしれないけど、つきつめれば、そこにはある種の特徴が見られる。社会的な利益を拒もうとする自滅的且つ不屈の抵抗よ」

(字幕)「ジャックポットのあらゆる側面は兵器化された。人間の本質によってね。それは身勝手さや欲深さや愚かさとして表れるけど、根本的には1つの特性に集約できる。公益のための行動をかたくなに嫌がる性質よ」

(私の訳)「ジャックポットの力とは、人類が使う凶器なのよ。つまり、破壊者は我々。ヒトという種の利己主義や拝金主義、あるいは単に愚かさが、こうして自明になったということかもね。そして、最終的に、その特性はこうなるの。公益に反する自滅的でしぶとい抵抗勢力に」

collective goodを何と翻訳するか。公益のことには違いないが、テーマとして解釈すると、人々が集団として行う善なる活動のことだろう。それを損なおうとする抵抗力が人類の業(ごう)だとシェリス・ニューランド博士は説いているわけだ。

weaponは兵器ではなく凶器の意味合いでは。だからハンマーの比喩。ジャックポット(災害)は身から出た錆だと。

“I think you'll agree, Inspector, that a hammer is a very useful tool. It can also be a deadly weapon, in the wrong hands.”
(吹き替え)「ハンマーというのは非常に役に立つ道具ではあるけれど、使う人によっては恐ろしい武器にもなる」
(字幕)「金づちは便利な道具だけど、使う人によって、危険な武器にも成り得る」
(私の訳)「警部補、ハンマーは使い勝手の優れた道具だけど、悪人の手に渡れば凶器になってしまう」

ところが、シェリスが警部補に要求するところこそ、善への抵抗勢力に見えてくる。

The Samsonovs サムソノフ一族
“Inciting violence against a lawful authority, with the intent to overthrow it”?
「既存のシステムを覆すため、法的権威に対して暴動を扇動した」?
「法的権威を覆すことをもくろみ、暴動を起こした」

レヴ・ズボフの先祖とは違う?
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[ 2023/08/10 00:10 ] 映画、ドラマ感想 | TB(-) | CM(0)
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