第4話は設定解説編。ドラマとしては停滞中。ジャックポットがいつ始まったか? 2032年フリンの住む時代から僅か7年後。2041年、自国テロでフリンの住む一帯は核爆発で消滅。
名前だけだった2032年のgeekらしき二人が、タイムトンネルをこじ開けるために2100年組を敵に回してハッキング競争。
こちらも名前だけだったディーディー(トニーの嫁)も登場。フリンの恋敵らしい。
第5話
必然性は消えつつある。フリンはアリータのドールとして選ばれた。バートンやコナーのペリフェラルも作って貰えるので、なおさら。
ここで、なおも「どうしてフリンなのか?」が今一度問われるはず。
設定世界の解説のお次は、メインストーリーの裏で行われていた概要の解説だった。
Dr. Nuland ニューランド博士
(ノーランドじゃなかった)
the God font ゴッド・フォント
2032年をこじ開ける装置らしい。
ハプティック・インプラントは2100年から送られた人体実験装置だった。社会行動を矯正して、人類が危機に瀕する場面を救うためだという。
コナーはこの実験の犠牲者だった。敵軍のワナ=負傷した犬に同情して近づき、爆弾の餌食になった。海兵隊員らはワナを知らされていたが、インプラントが2100年からの操作により同情心に働きかけたため、犬を射殺できなかった。
アリータはこの事実を知って、ハプティックの埋め込まれたフリンの兄バートンに接触を図ったのだ。
for the greater good(という表現は出てこないけれど)
善なる者とは? というのが一つのテーマだろう。アリータはサイバーリバタリアンの功利主義を批判している側だ。おそらく、キリスト教的な人間第一主義で。また、クレプト(Klept)という団体が登場するのは、Crypto-anarchistをもじっているのではないか。
行動修正課のヒミツの世界救済方法
the hush-hush, saving-the-world shit comes from Behavioral Mod Department
警備主任マリエルに呼び止められたアリータ達。アリータは別れ際に不思議なことを言う。
“I-I just want to say you have the most extraordinary eyes. Seriously. I... I'd kill for eyes like that.”
(吹き替え)失礼だったらごめんなさい。でも貴女、とても綺麗な目をしてる。褒めてるのよ。人を惑わすくらい。
(字幕)これだけ言いたい。あなたの目とてもステキね。本当よ。手に入るなら人も殺す。
killはダブルミーニングっぽい使われ方だが、厳密には、どちらの訳もイマイチでは。調べると、ネイティブにはこういう【口語表現】がある。
I’d kill for ~ 何がなんでも(~が)欲しい
「惑わされる」では、童貞を殺すセーターの方になってしまい、ダブルミーニングが成立しない。「殺して手に入れる」は関連を促すだろうが、直訳すぎる。実際のところ、殺してはいない(殺したのはアセンブラ)。
(意訳)あなたの目、とっても珍しい。奪ってでも欲しいくらい。
台詞の場合、さらに息継ぎに合わせて4語にしないといけない。
マリエルは実際に目を取られたので、その予告というわけ。謎かけの好きなアリータ。正義感があり、好戦的。
ああ、そうそう。第4話で重要なことのひとつに、レヴ・ズボフが2032年の自分の一族を殺した告白が挙げられる。さらに、新薬の治験にスタブを使っていることも。これが将来、何を意味することになるのか。必ずしも正義の側というわけではないようだ。
今回は時間稼ぎエピソードだ。フリンがGod fontで手に入れた視覚からの情報は何だったのか? ウィルスっぽい作用を及ぼしている。詳細はまた今度?
セオリーを破って、ジャスパーは「人を傷つけない」し、ビリー・アンは頼もしい(彼女はフィッシャー兄妹に3Dプリンターの店を買い占められて、職が無くなったのでは? だから請け負いクリーニングの仕事をしてる)。コーベル・ピケットも20万ドルで静かにしている。
暗殺者ボブも早々にして決着済み。この次に何が起こるのか?
母親は慧眼だ。間抜けなドラマの場合、こうした母親は事態を理解しないで否定的に振る舞うものだが、このドラマでは素晴らしい参謀で、兄妹が敢えて考えなかった点を指摘する。
少なくとも、ウィルフとアリータは2100年での砦だ。あとの連中は、思想的な闘いに明け暮れていて、しかもそれは利己的かあるいは功利主義だ。大海に投げ入れられた小石――フリンはどうするのか。2100年からの搾取をどうにかできるとしたら、それは彼らだけ。
シェリスって誰? ヌーランド博士のファーストネーム。フリンは面と向かっては会っていないが、ウィルフやクレプトはネオプリムを知っているでしょうね。視聴者もヌーランド博士なら、よーく知っている(ネオプリムとクレプトについてはよく知らされていなくとも)。
いーや、いきなり敵対勢力の親玉に殴り込みとは面白い。予定調和やセオリー外しを狙っていて考えてる。パターン崩しのザブングルといったところだ。脚本やショーランナー優秀ですよ。
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