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ペリフェラル~接続された未来~(アマプラ)

※以下ネタバレあり

第3話

冒頭の少年が、バートンの台詞によって、コーベル・ピケットの甥ジャスパーだと分かる。

ありがちなことに今エピソードは過去のカットバック集になる。その人物(ウィルフ・ネザートン)の過去を明らかにする目的で。これは直の背景説明になってしまい、物語としての進行がややもすると変化・遅滞する。理想は登場人物の行動によって、彼らの過去の経験が連想されることが好ましい。

独自の固有名詞
Neoprims ネオプリム
どんな存在・団体のことか、まだ謎。ウィルフと因縁があるようだ。

里親に気に入られるため、8歳のウルフ(ウォルフガング)はウィルフ(ウィルフレッド)になった。そして、隣にいた10歳の女の子はアリータ。二人は孤児で養子だった。未来のロンドンは病原菌で人口減に見舞われたらしい。

“Where snow last fell in London.”「ロンドンで最後に雪を見た場所」
養子斡旋所の相談室の前では、壁一面のガラス窓に降灰のようなものが映っていた。
※後になって分かるが、fellは降ったではないようだ。だから「見た」と吹き替え翻訳したのだろう。これには(吹き替え版の)訳者グッジョブである。字幕は「降った」になっているので。

――これは上手いね。情感が揺さぶられる。気分は赤毛のアンだ。

コイドという名詞が吹き替えでだけ登場する。メイドの造語なんだろう。
「どうして、アリータのコイドなんだ?」
しかし、原語では「ジェネリックモデルで足りるじゃないか」という台詞。日本語字幕は原語に忠実。吹き替えだけ、造語を先取りしているのか?

Semper Fi(海兵隊の標語=ラテン語)
“You know what semper means?”「忠誠を誓った」
字幕「“常(semper)”にそうさ」
“I do. I also know what fidelis means.”「ええ、センパーファイでしょ」
字幕「“常に忠実であれ(semper fidelis)”でしょ」
“So I think you got to ask yourself... loyal to what?”「忠誠を誓うって言うなら、何に対して?」
字幕「大事なのは――何に忠実かよ」

原語に忠実に翻訳すると:
センパー分かるか?
知ってる。フィデイリスの意味も知ってる。
だったら、よく考えてよ。何に忠誠を誓うの?

吹き替えは(標語を知らない人にも)自然に意味を受け取って貰えるように順序を入れ替えて頑張ってはいる。吹き替えと字幕で処理の違いが面白いところ。

――口やかましい妹。マウントの取り合いにも似た、それぞれの自信と、技量がもし足りない場合の不安、さらには魂や純粋さ(崇高さ、良き者たる意味)を簡潔に表していて巧み。

この対比として、コーベル・ピケットは根っからの極悪人でなければいけない。だから冒頭のカットバックになる。安っぽいけれども必要なヒール(敵役)。

よくできたドラマは、自ずと必要な構成を満たしてる。さすが。

Assemblers アセンブラ
“Assemblers can work miracles.”「医療の発展はめざましい。大丈夫だ」
字幕「アセンブラが何とかしてるさ」
“She appears to have vanished.”「消されたようなんだ」
字幕「消されたかも」
“Assemblers can do that, too.”「たぶん、アセンブラに」
字幕「アセンブラにね」

またしてもPC語源の固有名詞。アセンブラとはどんな存在か?


“It turns out if you prick us, we bleed.”
「こういうことだね、刺されれば血を流すのだ」――シェイクスピア?
シェイクスピアのベニスの商人はこちら:
“If you prick us, do we not bleed?”
「刺されたら、血が出ないとでも?」

組織対組織の抗争は、政治的思想の闘いであるのかもしれない。まだ明かされないが。ネオプリムが敵対勢力かな? 作者にとって、思想の闘いを描くことが主題であったなら、巻き込まれた兄妹は読者を案内する乗り物でしかない。だから、そのように状況が折りたたまれていかないことを切に願う。

「こうすると、調節できる」
五感の共有。面白よね。こういった皮膚感はドラマの中ではかなり重要なギミックになるはず。

「週20万ドルでいいな?」
しかし、コーベル・ピケットは「俺が弱腰に見える」の男だ。伏線が生きてる! 上手い脚本だねぇ。さらに、コーベルとバートンの握手を不可思議に見るトミー。

koid コイド
出てきた。アンド「ロイド」からの造語かな。ペリフェラルに違法性が認められるとして呼び止められるフリンとウィルフ。ウィルフの説明から、ペリフェラルを使えば、MR的に旅行できることが判明。2100年では活用されている技術だった。乗り手のことをポルター(ポルターガイストの略)と呼ぶ。

この局面を利用して、ウィルフはフリンへの気持ちを告白してしまう。それは本心かそれとも嘘か。フリンはお姫様だから……

the Jackpot ジャックポット
2100年の世界で過去に起きたある種の災害のことかな? リサーチ研究所ではスタブからの情報で失われたものの再現を図っているらしい。

ネオプリムはノーランド博士の派閥なのか?

田舎町の小さな変事はメインストーリーを補佐する以上に時間稼ぎの場合があるので、シーズンものドラマの場合は要注意。いたずらに状況をかき回すための役でしかないこともままある。

しかも、メインストーリーの方は行方知れずのアリータを見つけるという、これまた時間稼ぎオプションだ。アリータが見つかってから本筋スタートでは、かなり問題がある。そうならないように、上手く事件を進めて欲しいものだ。

「繋がるってどんな感じ?」
「最初は愛情と勘違いするんだよ。ハプティックドリフトとみんな呼んでる」
……オチも秀逸。

ジョン・スノー
おい! GOTかよ! 海外ドラマファンならこう叫んじゃうだろ。いやまぁ、向こうでは意味のある命名規則かもしれないし。
なんだ、コレラの原因を突き止めた歴史上の人物だって。

アマプラにしては珍しくよくできてる筋運びに思われる。今後もこの調子で続くといいなぁ。
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[ 2023/08/08 14:09 ] 映画、ドラマ感想 | TB(-) | CM(0)
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