今頃、第1シーズンを視聴中。言うべきは、とにかく構成が優れていない点。第8話で登場人物達が合流し、第1話冒頭から引っ張っていたジュリー・マオの顛末が判明する。
何が悪いって、第9話でジュリーの行動を振り返って見せてくれてしまう。第8話で追い詰めたものの、視聴者はおろか、登場人物も何が起きたか分からないだろうという有様。だから、第9話でまとめて見せる必要があった。でないと、意味不明のまま。
作家がスタートレック――TOSの世界観を借用してエピソードを練ったが、採用されなかったので、自分なりに拡張した物語として発表した……かのような雰囲気だ。ステルス船てのが、いかにも。TOSでいえばクローキングで、おなじみ過ぎる。
火星、地球、小惑星帯という三つ巴の勢力図はまぁまぁ。見せ所はあるけれども、メインストーリーと焦点が合わない。どちらかというと、スペースノイド・地球連邦軍・第三勢力のガンダム世界の縮図に近い。
火星と地球を争わせて漁夫の利を得るという陰謀が分かったようでいて、問題のガンシップのリアクターに巣くった謎の物質を巡る物語が進行中で延々引っ張られる。フェーベの研究所で作られたものとは何か?
スタートレックで喩えるなら、ジェネシス研究所と難破船ペガサスを合わせたような感じ。そして、トリブルじゃないけどある種のパンデミックかな? それだけで10話作ってしまう……冗長過ぎるだろ!
作家はハードボイルドの探偵モノがお好きらしい。コーヒーとモルモン教徒という突出した芸風も。
ハードSF物理オタクが喜びそうな反転して逆推進、推進力による重力発生、無重力空間を利用した反作用、などなど、細部にはそれっぽい演出がチラホラある。ただし、マグネット・ブーツだけはあまり捻りがないし、デブリを遮るデフレクターすらも存在しない世界。ビーム転送装置なんかもちろんない。そのくせ、ステルス船って? 現代のステルス戦闘機の伝?
ガンダムだと無重力を利用しての船内移動ガジェットもあったけれど、ここにはない。なにげに富野ガンダム(初代)すげぇーってのが分かる。
ガンダムのノーマルスーツや、隔壁損傷の際の応急処置を連想させる場面があり、まさにアニメからインスピレーションを得ているのでは? と勘ぐれるくらいの演出も見られた。
ドラマはグダグダ系。ゲーム・オブ・スローンズは登場人物が語り合うところ(とくに吹き替え脚色)が素晴らしく、進展の乏しいスタイルがたまに生じても、魅せる場面が明快に分かったものだ。ところが、このエクスパンスにはそういったものがない。視聴していてかなり辛い。何のために用意された場面なのか、はなはだ見当が付かず、無用に長い。人物掘り下げの妙が乏しい。
セットは低予算を感じさせてややチープ。CGはハードSFを優先するあまりか、質実剛健が顕著でデザインセンスにこれといったものを感じさせない。
生活感やガジェットは、さほど未来的ではない。今の延長上で容易に理解できるものばかり。価値観の違いは全く生じない。
ちょっと面白かったのは、軍船が隠密行動をする場合の符号を利用して、敵対者の臨検を防いだくだり。
物語の大筋は何も始まっていないし、意外とつまらない。
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