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STAR WARS ジェダイ-サバイバーその2

このゲームのパズルは前作同様、けっこう意味不明なところがあって出題が的確ではなく、誘導が下手だ。

上昇気流
この辺りがとりわけ因果関係の説明不足で分かりにくかった。ビームが当たると塵が溶けるというギミックは既知なので理解できるものの、ビームを火山性の岩に付着した塵に向けると溶け、「上昇気流が発生する」という発想はかなり難しい。「溶けるものが付着しているから、(理由はわからないが)ビームを当ててみよう」はギリギリあり得る。しかし、それ以前にエネルギー源の「ボール」を取得する場面で、「的外れに発射しているビームの進路をどうにかするのでは?」というミスリードが発生して、肝心の問題の解答へ向かわなかった。

コーボーダストの噴射
これも説明下手で意図が理解できなかった。「ビームが当たると溶けるので、障害物を除去できる」という短い説明だけだった。コーボーダストが溶解性のある媒体として作用することはなんとなく伝わるにしろ、これを「導火線の如くに」目標地点まで付着させる、という肝心の理屈に気がつけなかった。ぼうっと読んでたら、まるで分からない。

パズルゲームというものは、一般的にそのゲームが是とする文法のニュアンスを伝えているかが重要だ。そのニュアンスとプレイヤーの考え方がマッチすれば、パズルの解法は比較的楽に発想できる。逆に、ニュアンスがズレていたり、斜め上を故意に伝えるような説明だと、両者の発想法が一致を見ずに、合理的な解き方に気がつくこと無く終わってしまう。ジェダイ-サバイバーのシリーズは、ニュアンスの伝え方がイマイチで的確ではない。プレイヤー側が発想のズレを調整して、次の難問を理解できるかどうかが鍵だろう。

優秀なゲームは、難しい出題へ行き着く前に、事前の練習問題があるものだ。それで、ニュアンスの機微を感じ取らせてくれるのである。STAR WARS ジェダイ-サバイバーには、そういうものがやや欠けている。

気がついた点:

●フォース・スローによるギミックが皆無。前作ではあれほど多用していたのにもかかわらず。

●翻訳が怪しい。堅い日本語と、文脈から意味不明な台詞がある。テキストだけ渡されて、実際の場面で確認できていないのではないか。

●日本文化が若干採り入れられているようだ。武器に「さすまた」を持っているレイダーがいる。固有名詞も日本語が元?と思わせるものがある。ネッコー(猫)とか。ひょっとすると、惑星コーボーも「工房」なのでは?

●実写並みに、ハンディカムの躍動感を表す「ブレる」カメラ制御で、一部のアクションイベントシーンが演じられている。

●バグっぽい挙動があった。墜落した戦艦の中で作業台を使うとセーバーの部品にLockedというものが現れる。そして、レイダーだかハンターだかの特定のドロイドにポリゴンエラー(放射状に飛び出ているポリゴン)が発生する。ゲームを一旦終了し、再度開始すると解消している。

●敵役が割とイケメン系で、裏切った筋書きとなぜ塩漬けにされていたか、に説得力のある理由付けが一応なされている。某Nier:Automataのにぃちゃん(イヴ)と良く比較して頂きたい――片や説得力のある説明を試みている体、片や感情による短絡。前者くらいはないとエンタメの敵役として不十分で納得しにくいだろう。

もうすぐクライマックス

ストーリーもよくできてる。しっかりSWしてると感じる。幕間のムービーでも主人公と取り巻きの関係性がよく描かれていた。序盤のナインスシスターといい、ボスの腹心との対決といい、王道がしっかり描かれていて好感が持てた――とある局面までは。

アクションゲームとして、スキルをかなり埋めたライトセーバーで戦うと、かなり強くなっていて、プレイヤースキルは基本的な避けにだけ気をつけていればよい。遊びやすいし、カジュアルにも優しい(難しくしたければ難易度を高にすればいい)――とある局面を除き。

9000円で売ろうというゲームだから、これくらいは遊び甲斐を感じる作りでなければいけないだろうね。ジェダイ-フォールン・オーダー後からの開発期間でよくここまでボリュームを上げたなぁと感心してしまった。昨今の大衆向きビッグネームのタイトルとして、良いお手本になるゲーム――とある場面だけは過剰演出で嫌いだけど。

惜しいところ:

●前作から進化し、マップ上でビーコンを配置できるようになったものの、実際のプレイ画面では方角表示もアイコン表示もない。目的地が把握しづらくて困る。地形を覚えて欲しいという制作者側のポリシーか、それともUnrealエンジン流用と(コンシューマ仕様による)メモリ制限や負荷のせいでTESシリーズのようなコンパス表示ができないのか。

●予想外の展開。面白いけれど、ちょっと無理矢理感が…… ヘルス回復できないことで、負けイベントだって分かってしまう。過剰にドラマチックな演出は趣味じゃないなぁ。特に、カルが現れるタイミングが、もうヤラせ。せっかくノッてたプレイに水を差されて、かなり興醒め。さらに……いみじくもNier:Automataと同じ題材になってしまった――闇落ち。プレイヤーは流れを変えられずに、主人公がそれを受け入れるボタンを押す役割。その代わり、闇落ちの段取りとしては、かなり説得力が出るようになってはいる。

●これは不公正? 操作キャラクターが変わることによって、これまで鍛えてきたスキルの効力はどうなるのか? 反映されているなら、ともかく――どうもそうではないようだ。プレイヤースキルのみだと(ネタバレなので名前は伏せるが)××卿に勝てない人もいるだろうし、下手クソなプレイヤー泣かせでは…… カジュアル勢代表の私自身がついて行けなかったから、ちょっとやり過ぎだと思う。……前作を踏襲したんだろうけど。

これはアカン

ラスボスに勝てねーよ。それ以前に、興醒めしてしまい、激しくつまらない。ラスボスはかなり強く、圧倒的な能力差をバネに、プレイヤーが対応できるタイミングをシビアにした無敵攻撃を浴びせてくる。したがって、ストーリーモード以外ではそれなりにプレイヤースキルを鍛えておく必要がある――カルのスキルをどんなに積んでおいても有効性はさほど高くなさそうだ。

つまり、「パターンを覚えて間隙に攻撃する」という、単純だけど、あまり楽しくない勝ち方になる。フツーのアクションゲームは全てこのパターンで、Dead Spaceのような「下手でも何とか勝たせてくれる」手加減はない。イージーに相当する「ジェダイ・パダワン」でも、相当に面倒くさい手数に対処しなければいけない。

ストーリーの急展開と共に、もう面倒くさくなってしまった。プレイヤーが勝利をものにしようが、結局闇落ちで推してくるのだから。私に言わせると、「終わりよければすべてよし」の逆で「枡ではかって箕でこぼす」である。ネガティブな結末ありきの前提だと、面白くない。長時間のゲーム体験に付き合ったあげくに、プレイヤー側に選ぶ自由が与えられていないのだから。

TESシリーズ系の新作(シングル)RPG、はよう出してくれ。腐れアクションゲーにはウンザリした。
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[ 2023/05/04 09:17 ] アクション | TB(-) | CM(0)
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