Cobweb of にーしか

モデリング、海外ドラマ感想、洋ゲーRPG

ピカード第3シーズン第7話

このシーズンの核心なのだろうが、つまらない。ヴァーディクになんら共感できる部分がないし、ドミニオン(黒幕)らの固形種に対する恨みも説明不足。第一、ヴァーディクという役柄に魅力がひとつもない。悪役としても下卑ている。

表面上、辻褄合わせの復讐心はなんともよく分からない。

ピカードの劇中で語られるドミニオン戦争には、今ひとつ視聴記憶がなく、ぼんやりしてる。本筋から引いてきたドラマではなくて、過去の事件の顛末を悪用している印象だ。

TNG「惑星連邦“ゲリラ部隊”」はうろ覚えだが、ローとピカードを分かつ部分はドラマの見所で、そこはなんとなく覚えている。だから、二人の確執が時を超えて描かれた場面では、相当の違和感を覚えた――互いにそのスピリットを認めつつも、道が違うことを知ったはずなのに。二人の感情的な応酬がスタートレックの人格者とは大きく違っていて、まるで喧嘩別れした現代人のようだ。再会して喧嘩する以外で、わかり合う芝居は考えられなかったのか?

あのときの連邦の非人道主義な作戦が、ピカードを責める口実とされている(のだと思う)が、筋違いに感じる。筋違いであることを知っている視聴者を想定していたとしても、ドミニオン戦争の背景と可変種を登場させる口実には、なんだか十二分ではないものを感じる。それだったら、DS9のキャストと絡ませないと――ローワーデッキは平和的にそれを見せてくれてるのに。

ヴァーディクのジャック・クラッシャーに対する執着もただの作戦だけじゃないわけだろうが、固形種代表の憎まれ役としてピカードを選ぶ理由がよくわからない。どうしてああも憎しみをピカードへ向けられるのか。もう、あんな老いぼれ、放っておいて問題ないだろうに。拘る理由はなんだ? 「惑星連邦“ゲリラ部隊”」事件の因縁? ますます分からん。

私ですらこうなのだから、初見の人はなおさらポカーンでは?

ローアの劇中における役割が、いかにもご都合主義で、全く面白くない。データを何回生まれ変わらせるつもりなんだ? 人格を統合させたいスン博士の親心ってのは面白いんだが。

ジャックの赤い目の秘密もはっきりしないまま。モヤモヤだけが残るエピソード。だから、スタートレック:ピカードってシリーズはダメなんだろうね。核心を際立たせる伏線が皆無なんよ。あぁ、そうだったのか、がまるでナシ。古いネタをチラつかせて、懐かしがらせることしかできない。

唐突にヴァーディクがとうとうと過去を語っても、だからどうした。ディストローム研究所の女性研究員が悪玉にされてるけど、惑星連邦の精神に端から背いている。ああいう非人道主義がそもそも無いのが連邦。ドミニオン戦争の最中での非人道主義と、それとこれとは別じゃないのか。

主格の国における「悪感情を抱いている人種(移民や在住者含む)」という構図で現代を揶揄している、と受け取る人もいるようだが、――ゆえに誤解から生まれた感情という筋書き――ドラマの見所としてはなんだか苦し紛れで、そもそもそんな意図で、このもったいぶったエピソード構成を計画していたのか、ほとほと怪しい。ショーをランする実力が伴っていないのではないか。

さらに、過去の有名人を何人殺せば気が済むのか。ロー・ラレンに加え、トゥボックまでも殺された。スターシップのスクラップ置き場が現れたように、まさに墓場のピカード……フランチャイズの墓場。

ピカードその人が、ヴァーディクを納得させられる説得力を発揮できるのか――ビバリーとの会話で既に殺すしかないと確信したようだ――、はたまた視聴者もその行く末を納得できるのか――視聴者もぶっ殺されるのか――、見物だ。
関連記事
スポンサーサイト



[ 2023/04/02 19:38 ] 映画、ドラマ感想 | TB(-) | CM(0)
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する
カレンダー
08 | 2023/09 | 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
月別アーカイブ
全記事表示リンク