Cobweb of にーしか

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2Bという発明

わたくし、Returnalがいまだにイクシオンを倒せずに進捗なしなので、NieR:Automataを遊んでみることにしました――どちらもアクションゲームですが、縦スクロールシューティングをコンセプトにした趣には共通項があり、たいへん興味深いです。

コントローラーのボタン設定は、Returnalの設定に似せるようにしました。これで、どちらをプレイしても大きく間違えることは少ないはずです。ニーアでは、なるほど、射撃と近接は同時に実行可能なのですね。

さて、両ゲームの主人公。片や精神失調気味(?)の中年女性、片や感情も持てる人造人形。前者は、眼福を満足させることがない代わりに、ミステリ要素で攻めてきます。どうして、彼女はこの惑星でループを断ち切ることを使命にしてしまったのか? ヘリオスという名前の息子に、母親の影、謎の宇宙飛行士は一体誰なのか? 

後者の発明はオタク寄りですが、人類の代理戦士として健気に任務遂行する若い女性型アンドロイド――私などは心奪われます。外見は独特のデザインで、ブラインドフォールドによって顔も見えないため、美人であるかどうかには確信が持てません。でも、声としゃべり方がいかにも萌え的です。綾波レイの系譜と言えるでしょう。

オタクが好むものに、「いいなりになり得る存在」というものがありまして、控えめな自己主張と協力的な態度が魅力的に映るものなのです。だから、メイドとか、奉仕アンドロイドといったものが主役たり得るわけです。さらに、完璧なる服従をよしとしない向きもありまして、そこで登場するのがツンデレ要素、というわけです。愛情、ないしは仲間としての姿勢がある中に、時折見せる、小さな不服従。些細な反抗の態度と、最終的には寄り添ってくれる安心感。それがオタク的な萌えの正体です。

ゲームの性質とは裏腹に、物語世界の説明と主人公の活躍として、2Bという萌えが居る……この存在が、確固たる要素として強く働きます。また、2Bの会話の相手として、お供がちゃんと用意されており、二人の(または、一人対一匹な)会話を通じて、2Bの個性や反応が垣間見え、それが萌えをさらに増幅させます。声の演技によるところがとても大きいわけです。

外見上では、スリットのあるスカートもかなり強い道具ですね。白いインナーがちらっと見える――実際には下着というわけではないようですが、男性にとっては、そうした連想を呼び起こします。セックスアピールのある存在です。健康的で豊満な胸や尻が揺れる、というスタイルとは正反対ですが。

痩せ型で長身のモデル体型におけるチラリズムなので、病的やもしれません。人間の住んでいないらしい荒廃した地球の環境表現には似つかわしいでしょう。そうした世界の中で人類の先鋒となって戦う健気な少女(型アンドロイド)。人類というのは現代において、地球の寄生虫、環境破壊の首謀者、といった見方があるわけなので、存続させていいものかどうかすら疑わしい生命体です。進化したAIなら、勝手に絶滅させればいいという視点があってもおかしくない。そんな人類のために、奉仕するよう作られた人形たち――これはもはや、ヤンデレの域です。

エイリアン4(Alien: Resurrection)で、人類を助けるコールというアンドロイドを、ウィノナ・ライダーが演じていました。彼女も2Bと同じ、一途で健気な印象を与える存在です――小柄で黒い短髪、黒い瞳、青い地味なジャンプスーツを着て、性的アピールを一切排除したような外見。若いにもかかわらず、正義感が強く、不誠実なことには断固として立ち上がる強い意志を持っている……

ウィノナの可愛らしい顔立ちと相反する強い女性。劇中で明かされたコールの正体は、アンドロイドが作ったアンドロイドで既にリコールされている、というものでした。エイリアンを阻止するために潜入した、影ながら人類を守ろうとする存在。

いやもう、彼女にはやられましたね、私は。ああいった存在には弱いんです。そんなわけで2Bも同じです。2Bの外見から発せられるキャラクター性と内面のヤンデレとは、まったく整合しないと感じます。だが、そこが面白い。ベルベット地の黒いコスチューム。ゲーム画面では影色に隠れて映えなくなってしまう問題の色ですが、キャラクター性では黒または白でなくてはならない。彩度のない人工世界から来たアンドロイドでなければならないから。

背中のポン刀が浮いている演出には、操演しやすい理屈が第一に考えられますが、重力制御的な未知のテクノロジーでなんでも動かせるらしい場面が出てきました。とはいえ、西暦5000年の世界でしたよね? それを考慮すると、世界観が全然目新しくなくて、本来なら問題視すべきでしょうねぇ。人間そっくりなアンドロイドを製造する基盤としては、どうなんだろう、オーバーテクノロジー? そもそも、51世紀ともなれば、人類が存在していることがまず疑問かもしれません(Wikiを読みましたが、まだネタバレしていないもので)。

SF的な背景に関しては、トランス・ヒューマニズムの未来と、無味乾燥な人造人間部隊の理屈なので、あまり目新しさはないですね。いかにもオタク的なので。ビジュアルが尖っていることを除けば、中学生が考えそうなネタです。実際、私も若かりし頃、こうした雰囲気のものは無数に空想してました。そこで描くべきドラマを持たせる空間を作り出すのが難しい舞台設定で、つまらない密室ドラマになったりするのがオチという奴です。低予算のSF映画にありがちです。スタートレックのように開けていく要素(惑星連邦や宇宙開拓時代)がないと、厚みのある描き方ができないことでしょう。感情があるといったって、一人も人間が出てこないのでは、“お話”にはならないと感じます。ものを食べたり、ウンコしたり、ってことを感じられる皮膚感覚とか生々しさが少なからず必要ですから。だからこそ、ゲームで上手く成立するんでしょうね――プレイヤーという焦点が居ることによって。

冒頭の「これは呪いか、罰か」というナレーションはちょっと痛いです。人造人間視点であることは頷けますが。厨二っぽい。
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[ 2023/03/17 14:26 ] 映画、ドラマ感想 | TB(-) | CM(0)
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