素直に面白かったと認めます。物語の動きとしては、表面上停滞していて、台詞ばかりのエピソードですが、スタートレックの理想郷というか、落ち着いたトーンのテーマが心地よく主張されていて、これぞ在りし日のTNG、というものにまとまっていました。
まぁ難を言えば、星雲の深部に生命体の反応があるという伏線から、何かしら活路を見いだすに違いないことは分かりきっていましたが。リスクを恐れて行動できなくなっているかつての友人を励ますというくだりが丁寧に分かりやすく描写されていました。前話の落ちぶれたピカード(と認識されてしまった悲哀)との対比もよかったですね。
憎まれ役のショウ艦長がロキュータスの恨み辛みを吐き出すというのも実にマッチしていました。それを静かに受け止めるピカードは、まさに老いたからこその諦観と貫禄。こうした場面、ピカードは過去に何度も体験したはずです。ドラマの作りが、これまでの安っぽくて三流だった作劇とは180度違いました。
上っ面に過ぎなかった5年前の老いぼれピカードの教訓が、起死回生のクルー全員の体験を通じて、再び本物にすり替わる瞬間が見事。そして、若い下士官達に持てはやされて喜ぶ中、失望するジャックの姿を記憶の中で見いだすピカード、というインサート! 最高の編集でしたね!!
監督は今回もジョナサン・フレイクスでした。ただし、相変わらず、あらすじの危なっかしさを感じさせます。ディストローム研究所にはポータルの他に有用な発明があったはずだ、とか。いつものハッタリ後出しじゃんけんですよ。それに、私を探して、という謎の女声。駄作で終わる可能性がプンプン匂ってきています。本当にここの脚本家連中は、クリフハンガーやフックが雑で下手くそなんです。
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