Cobweb of にーしか

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ピカード第3シーズン第2話

ラフィー「量子トンネル技術の兵器が……」

いや待て。24世紀の転送の技術が既にある世界で「量子トンネル効果」なんて、きっと当たり前だろう。21世紀のチップの中で既に使われているじゃないか。むしろ、壁を通り抜けるという意味なら、難破船ペガサスの遮蔽装置がまさにそれだ(なんだ、またかよ)。

現代で脚光を浴びているテックタームを彩りに添えているつもりかしらんが、400年も先なら、全く新しくないはずだ。少なくとも、基礎技術の名称では呼ばないだろう。作中の事件映像を見た限り、大規模な転送が行われたみたいにしか見えない。転送装置の兵器転用と呼ぶべきじゃないのか?

余談ながら、スタートレックの技術を現代物理学で推理するというサイトで昔読んだ内容を思い出した――転送装置について。転送を行うには人間を構成する素粒子をエネルギーに変換して、さらにそれを元通りに再配列しないとならない。そのためには、素粒子の位置を正確に特定しなければならないが、量子力学の不確定性原理によって、それは無理難題だ。転送装置の図解には、それを可能にする装置(Heisenberg compensator)が視覚的に描かれてもいた。で、この問題に引っかからない方法が量子テレポーテーションだとも言われている。

量子トンネル効果とはまた違うわけなんだが、どちらも量子の性質を制御できる技術には違いなかろう。ワープも転送もある世界で、今更量子の基礎的な技術を兵器そのものの性格としては呼称しないだろうと思うわけだ。外連味のある、意味不明の「重核子爆弾」ほど奏功していない。例えば、核爆弾や核兵器のことを、原子爆弾、水素爆弾、コバルト爆弾、等々と細分化できる呼称がある中で、新しい核兵器のことを「核融合の技術を使った兵器」なんて言わないだろう。

かつてのスタートレックの世界では「トランスワープ」のように、その世界の中で既にある概念をさらにひねって造語としている。つまり、ピカードを作っている人たちは、多分な内輪ネタを盛り込む一方で(内輪ネタに明るいショーランナーがいる傍ら)、スタートレックの世界に対しては、どこか視聴者を無知であればいいと見ている節がある(実際の脚本を書くアシストの無名ライター連中はよほど明るくないのではないか)。造語では足らずに、説明をしたがるほどだ。それが箔付けになるとでも言うように。まるで自信の無い第三者(にわか)が、借り物に加えた自己流のアレンジを、バレませんように、と祈っているみたいに。なぜなら、その実は「穴だらけ」だから。第1シーズンは特に酷かった。第2シーズンも整合性は取れまいて。

また一方で、ピカードには作り手の自嘲的な、メタとも思えるメッセージがよく出てくる。

DO NOT SEEK BLAME. DO NOT SEEK ANGER.

――これ、絶対、ファンに向けて言ってるだろ。下手なモン作っておいて、アラ探しするな、責めるな、とはよく言うわ。
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[ 2023/03/14 21:20 ] 映画、ドラマ感想 | TB(-) | CM(0)
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