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ホグワーツ・レガシーその1

想像ほど面白くない。Bethesdaのオープンワールドゲームをさんざんプレイしてきたため、結局のところ、強制的なお使いで占められるゲーム体験は既知だった。新味に欠ける。

Skyrim同様に、お使いを取捨選択する自由があることがせめてもの救いなのだが、序盤はとにかく(主プロットの)お使いを進行させないと好き勝手できる範囲が拡がらない。それゆえ不満が募る。

またアクションの細部に触れれば、パリーしてからの攻撃はクイックタイムイベント(QTE)の一種になっている。どのボタンでパリーするかを、画面のヒントを見てから反応しないといけない。好き勝手に攻撃ボタンを押しているだけ、とはいかないわけだ。アクションのルールに縛られるわけなので、QTEがそもそも好きでない輩には好まれまい。

生徒に話しかけた時の演出も少々残念に思う。不気味の谷に近い。
※どうしてこの部分がひっかかるのか……Dead Spaceの演出が秀逸だったから、だと気がついた。Dead Spaceでは主人公アイザックの左腕にポップする映像にNPCの表情が投影される。NPCは画面のこちらを意識しているわけではないのだが、アイザックであるプレイヤーキャラクターはこの手法のNPCとならば、不思議としゃべっている雰囲気がする。その理由のひとつは、対話する二者ともが画面内にあるからだろう。さらに、小さな投影スクリーン内の低い解像度の相手に、むしろ豊かな表情が見て取れるからだ。特にケンドラの無言の表情はとてもよくできている。

まず、カメラの問題。映画的な被写体の撮り方である。
conversation1.jpg
一般的な映画は上図のように、話者と対話者とを交互にカットで見せる。ところが、TPS(サードパーソンシューター)の画面はこうした映画ではない。

下図がホグワーツ・レガシーで想定されているカットの模式図である。
conversation2.jpg

TPSの構図なので、画面は①が基本だ。そして、ホグワーツ・レガシーでは往々の場合、対話すると③の絵になる。ここに違和感を覚えるのは、②がないこと。②は「越し」といわれ、話し手(赤い髪の娘)が映っていることがポイントなのである。③の画面は④ととても似ている。④の画面は「主観」や「見た目」といわれる。③と④の違いはわずかひとつ。被写体の目線である。つまり、③に違和感を感じる理由は、主観に近いはずなのに、目線がこちらを向いておらず、話し手も画面内に映っていないことだ。
※補足しておくと、無数のクエストにおいて②が皆無というわけではなかった。しかし、正対というよりは斜めのカメラで捉えたまま、②が省略されがちなクエストはあるようだ。

ホグワーツのNPC(非プレイヤーキャラクターたち)は絶対にカメラに視線を合わせない。カメラが主人公=プレイヤーの“見た目”になることはほぼない。SkyrimやFallout4のFPSと違う、どこか冷めた印象になるのはこのためだ。

プレイヤーはあくまで、第三者的な視点から物事を注視させられる――いわゆるイベントムービー的な箇所で顕著だが、そういう設立画像的な意味合いではなく、上図に説明した通り、あくまで話しかけた側との対話としてのカットが、プレイヤー=話者の映らない「見返し」カットであるという問題だ。これは、プレイヤーキャラクターのアバターを常に画面外に意識せざるを得ない三人称視点となる。従って、この制約により、NPCがプレイヤー(画面のこちら側)を見て話しかけてくるという没入感はなくなってしまう――一方で、店の主人のインターフェースに限っては……統一のない逆演出といったところか、主観である。
※映画的なカットの文法に則るなら、③から④に切り替えるには、視点変更に納得のいく“きっかけ”を与えてやればいい。例えば、両者が映っている設立画像を挟む、ということでも一応可能ではある。

加えて、ホグワーツの生徒たちは表情が乏しい。今日では顔面サーフェスのデフォームによって、人間らしい表情を出す技術(俳優の表情をスキャンして再現する技術)が存在するわけなのだが、生徒には若干しか採用されてはいないようだ。カメラのレンズを見ないNPCのしゃべりが口パクとまばたきに終始しており、非常に冴えない。にもかかわらず、リップシンクは各言語によって変化する――台詞と同一の口の開き方をする(そういう技術は採用している)。

さらに、グラフィックのイマイチ感。当方はRTX 3050で、nVidiaドライバー528.49の最適化設定だとまるでダメであった。レイトレーシングがすべてオフにされてしまい、夢幻の美しさがすべて損なわれてしまう。またこれらをオンにしたところで、まだ何かが足りないように見える。

大人味のホグワーツなら、ウィッチャー3ワイルドハントでもう十分かもしれない。
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[ 2023/02/12 10:52 ] アクション | TB(-) | CM(0)
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