主人公は一匹狼ではなくて、怪力(大男)とネットオタク(女)の二人の仲間がつく。とはいえ、プロローグはそうであっても、フィクサー・デックスと組んだエピソードで最初のトレーラーみたいな事件が起きるのだろう。
「ブレインダンス:エディターモード」の解説動画
仕組みとしてはお馴染み。アーカムシリーズのバットマンで導入された「探偵ごっこ」の仕様で、Frogwaresのシャーロック・ホームズや派生作品にもある。探偵要素を取り入れていて、これと同じ仕組みのないゲームは昨今では珍しくなってしまったほど。
簡単に言うと、監視カメラの再生機能がVRになったようなものだ。
映画なら最初の「ブレードランナー」で劇中に名称は出てこないものの、パンフなどで「エスパー」と説明されている装置が似た機能を持っていた。空間を映した特別な写真の中に入り込み、あちらこちらを見て回ることができるウォーキングシミュレーターだ。
そんなわけで、実はちっとも目新しくない。初めてゲームに取り入れて先鞭を付けた開発者は偉大だなぁと思うけど。
サイバーパンク2077では、「ブレインダンス」と称して流通しているコンテンツという立ち位置。役目はまさしくゲーム的な「手掛かり発見シーン」を仰々しくもっともらしく演出したものに他ならない。
余談ながら、同様の手掛かり追跡シーンが「スタートレック:ピカード」で既に登場している。映画からゲームへとインスパイアされたとするなら、こちらは逆で、ゲームでの扱いをまんまドラマに逆輸入してしまったもの。ロミュランのタル・シアーのテクニックとされているが、スタートレック世界でのお目見えは初。いかにもゲーム的で、劇中での理屈も現代の科学技術からはほど遠いもの――つまり、チンプンカンプンで、世界観にはまるでそぐわなかった。
歴史を辿れば、1983年の映画「ブレインストーム」の遺映録画装置が、まさにブレインダンス。サイバーパンク2077ではUCLAサンタクルーズ校で21世紀初頭に開発された技術、とスタッフが語っていた。特に死ぬ瞬間が記録されているものはフラットライナーと呼ばれるそうな。ブレインストームに出てきたリリアン・レイノルズ博士の臨死記録テープとそっくりだね。
手持ちの英語版ソースブックを探してみると……(おそらくCyberpunk 1.0の頃の)サプリメントROCKERBOY(1989年)にBRAINDANCEの項目があった。カリフォルニア大学サンタクルズ校で2007年に大学院生のスジモト・ユリコによって発明された、とある。なお、ソースブックの記述は、
Fandom にある内容と全く同一だった(つまり、ソースブックからの引き写しのようだ)。
「フラットライナーズ」と言えば、やはり臨死体験を扱った、生前の罪の意識を持ち帰ってしまう(実際に死んでいないのでキリスト教的に赦されず、天国にも行かない)というキーファー・サザーランド主演の1990年の映画を思い出させる(リメークもされた)。リメーク版に出演したエレン・ペイジは、ゲーム「BEYOND: Two Souls」でゴーストの弟と共演するという難しい役どころをこなしている。とまぁ、臨死繋がりで……
ソースブックで既出のブレインダンスにビデオゲーム的な機能を載せたところは目の付け所がいいね! 当時遊ぶところまで行かなかった2020ルールブックをパラパラめくると、随所にビデオゲームの元ネタと思えるものが読める。30年前のTRPGがビデオゲームとして陽の目を見るなんて、面白いなァ。
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