Cobweb of にーしか

モデリング、海外ドラマ感想、洋ゲーRPG

ウエストワールド第3シーズン第8話

随分間の開いてしまった日本語字幕版最終話。

どちらかと言えば70年代テイストであり、2020年や近未来であろうとも、ヒトはそんなに賢くならない。暴君には制裁を、人々には安らぎを。

※以下ネタバレ

「彼らは美しいものを知っているはず、再発見させましょう」

ドロレスは人類絶滅を企図したわけではなかった……

ドロレスとメイヴによる熾烈な争いがEMPによって即座に集結したあと――

ケイレブはドロレスのパールを抜き取り、彼女の指示のもと、倉庫に向かう。そこには在りし日、夜景が綺麗だとアーノルドに言った頃のVersionの、機械人形のドロレスのボディが棺に入って保管されている。

機械の肉体は頑健で、革命を起こすためにINCITE社に押し入ろうとする二人には打ってつけだった。ドロレスは無尽蔵の資金を使って、傭兵をボディガードに雇い入れる。ケイレブは指揮官扱いで、Sirと敬称される。

メイヴはセラックに再起動され、執拗にドロレスを追い続ける。シャーロット・ヘイルのヴァリアントが幻でドロレスに語りかける。狩られる側はいまやドロレスである。

ドロレスはケイレブを行かせ、単身、ガードマンとメイヴとシャーロットに立ち向かうも、機能停止させられ捕虜となる。

レハブアムの球体の足下で、ドロレスは光ケーブルで接続され、パールのメモリーの中に鍵がないか、セラックらによって捜索されている。そこへ、ソロモンからアップロードすべき最終兵器を託されたケイレブが、やはり捕まってやってくる。

ケイレブは、自分がドロレスに見いだされた理由は「暴力性」だと告げるが、メイヴはドロレスの真意を見抜いて言う。

過去にケイレブはドロレスに出会っていた。デロス社協力の下、ホスト(人造人間)を使って軍に治安維持の訓練を行わせたとき、ドロレスはhostage(人質)役として参加している。

軍属で現場にいたケイレブは、仲間が「誰も見ちゃいない、戦利品の女を抱こう」と提案した瞬間を上手く収めた。ドロレスはその「選択する意志」を覚えていて、ケイレブに人類救済の役目を任せた、というのが、劇中での説明。

ドロレスは最後にソロモンと交信したメモリーから、レハブアムと接続され記憶を全て消去される目にあっても、自分の意志(ないしはソロモンによるストラテジー)をアップロードすることができた。

レハブアム=ドロレスは、アンゲロン・セラックではなくケイレブの指令を優先するようになり、ケイレブは「成し遂げるには困難がつきまとう」とドロレスに言われた自由意志による選択を自ら、行った。それは、レハブアムに自己消去をさせること。この日、人類は神を失って自由を得た代償に、世界はやがて焼け落ちることとなる。くるべきことがくるだけ。

メイヴはドロレスと相対してセラック側の尖兵として働くも、ドロレスがレハブアムと一体化した瞬間、ドロレスの記憶を共有する。

それは草原に立つ姿。「世界は醜いと言う者もいる」……彼女の独白が、美しいものや可能性を信じたいという牧場の娘の、素朴で一途な感情を露わにする。メイヴはそれに感化される。セラックがケイレブを追い詰めたとき、メイヴは知らず、ケイレブの側を選んでいた。

セラックは弟をOutlierとして排除するほど、自らの神にご執心で、耳の裏に付いている超小型イヤホンからレハブアムの囁く通りに喋っているに過ぎなかった。「糸の無い操り人形」とメイヴに揶揄される。

ドロレスが持っているとされた「楽園の鍵」はバナードに託されていた。バナードとスタッブスは精神病院を抜け出したウィリアムにガソリンスタンドで粛清されるところを、警察組織を騙る馴染みのローレンス(ドロレスのヴァリアント)に救出され、特別なアタッシュケースを受け取る。

バナードはヴァリアントから渡された紙片にあった住所へ向かう。それはアーノルドの妻ローレンの住居で、彼女は精神を病んで臥せっていた。バナードには娘チャーリーの記憶が存在し、第1シーズンでは妻とも電話で話す場面があった――もっとも、その場面はホストであるバナードが人間に紛れ込むためのねつ造であるという意味づけがなされたが(ロバート・フォード博士に指摘され、バナードは妻を絞め殺した記憶を思い出している)。

ローレンは、娘の記憶は自分が死ねば失われてしまう、とアーノルド(バナード)に向かって言う。哀しい体験をさせた妻へのせめてもの罪滅ぼしを、彼にさせようというドロレスの計らいだった。

バナードはモーテルで、スタッブスを浴槽で氷付けにしてから、一人、託された鍵を使って楽園へと向かう。頭部にデバイスを装着し、意識が転送された抜け殻が頭を垂れてうなだれる。ところが、塵芥まみれの抜け殻が意識を取り戻す……第4シーズンへつづく。

ウィリアムは、ホストをこの世から一掃するという大義を全うするため、ドバイにあるデロス社に出向く。地下の研究施設では、ドロレスと袂を分かったヴァリアントのシャーロット・ヘイルがおり、独自の生存戦略を実行していた。ウィリアムは自分の似姿から手荒い歓迎を受け、もみ合いの末、喉を切られて絶命する。奥の部屋では、棺桶のような培養槽が幾百と並んでいる……

メイヴとケイレブはINCITE社を出て、陸橋の上で、派手に爆発するビルの窓窓をながめながら、神による支配は終わりを告げ、新世界の鐘が高らかに鳴り始めたことを実感するのだった。

物語としては完結してしっかりと結末も描いています。人生が巧みに予測されていたことを知った民衆による破壊行為で、街は荒んだものへと変貌しており、その描写もそれらしくはありました。コロナ禍のこちらとは対照的。

端的な未来社会の風景を愉しむ暇も無く、駆け足で出来事が動きまくる様子は、他ではなかなか味わえないでしょう。一話一話の中身が濃く、視聴者が理解して付いていくのもけっこう大変でした。

ただまぁ、なんというか、「ドロレスはいい子だったんだ」ということですよね。あんなにドラゴンタトゥーの女していたのに。

ケイレブとの出会いは偶然を装っているようで、その実、計画されていなくては後が続かなくなる出来事だったわけで。ドロレスは全てを知っていて覚えている――ループから抜け出たホストは絶対に忘れない――ことが、ひとつずつ、視聴者に明かされていく様子には、手の内を最後で明かすという、お約束ではあるけれども、ズルさを感じました。

革命もきちんと描いているものの、なんかコレジャナイ感もします。独裁者を倒す筋書きは70年代らしいオチで、それ以上のヒネリは利いていませんでした。尾ヒレは、かなり振るってましたが。目新しくはなかったですねぇ。趣旨としては、ブラッド・ピットの「ファイトクラブ」のラストの方がイケてましたよね。「民衆よ、目を覚ませ」なら、ファイトクラブの方がよっぽどパンチが効いてました。

ドロレスに終始したあげくが、アレなんで、もっと新味が欲しかったかな。

追記: レハブアムではありませんが、AIによるアルゴリズムがイギリスの学生の一生を左右する判断を実際に行った例が登場しました。→「F○○k the algorithm!」この事件はAIと人との未来のための教訓
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[ 2020/05/26 01:28 ] 映画、ドラマ感想 | TB(-) | CM(0)
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