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宇宙探査艦オーヴィル「ケイロン星」編

第2シーズン第8、9話は前後編で、人工生命体が住む惑星ケイロンに関するエピソードだった。

※以下ネタバレ

ケイロンは地球人類を抹殺することを計画し、オーヴィルに搭乗しているアイザックはその片棒を担ぐことになってしまう。

俺が思うに、このエピソードは弱い。AI(人工知能)は現在のトレンドで、その脅威論も決して古い話ではない。とはいえ、進化したAIが人類抹殺を図るのは、SFの、それもスタートレック的な骨子の、ストーリーとしてはいささか陳腐だろう。

VOYではEMHドクターの同胞が人類に虐げられているところまでは描写されたが、反乱は描かれなかった。「ブレードランナー2049」ではレプリカントのレジスタンスが人類に対して徹底抗戦を誓う場面があった。HBOの「ウエストワールド」では、ホストは人類を敵と見なすものの、最終的に共存を模索することで落着した。映画「メッセージ(原題Arrival)」では、遙かに進化した知的生命体が、劣る人類に介入することで、未来の問題を解決するという伏線が見られた。映画Star Trek: The Motion Pictureでは、ビジャーが進化するには人間との融合が必要だった。映画「インターステラー」では、仄めかしとして、未来の人類からの介入と、クーパーが娘マーフに情報を伝達する様子が「量子もつれ」に似た発想で描かれた。

人間も、決して無駄な存在ではなくて“使いよう”ということだ。それが人間中心主義な最後の砦でもある。

つまり、スーパーインテリジェンスならば、人類の完全抹殺だけを目的としないのではないか。映画「マトリックス」のように電池化したり、合理的な活用を図るだろう。ケイロンは感情がない設定だから、なおさらである。人類が有史以来奴隷制度を構築してきた事実を確認したからといって、支配を受けた者としての憎しみや復讐を露わにはしないだろう。

むしろ、ケイロンが人類を支配した方が銀河全体に都合がいい、そんな目標を持つのではないだろうか。また、ケイロンは、祭儀を理解しないほど文化水準が劣るわけではなかろう。抹殺した有機体種の遺骨を地下洞穴に放置しておくよりも、納骨堂や墓標を作るのではないだろうか。そして、残念な種族への哀悼を謳って、自分たちならもっと上手くやれる、と管理者としての素質を覗わせることだろう。

スタートレックを長年愛好してきたファンの一人として、俺ならこんなアイデアを思い浮かべる。オーヴィルには、良くも悪くも古臭いところがある。
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[ 2019/10/12 02:04 ] 映画、ドラマ感想 | TB(-) | CM(0)
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