無駄、面倒、邪魔 クリアしての大局的な感想はこの3つ。決して出来が良いとは言えない仕上がりだった――オススメはできそうもない。
最初の2章(Lost At Seaが終わった辺り)でこのゲームの魅力はほぼ体験し尽くされていて、後は蛇足と無駄と繰り返しに終始する。
ゲーム・メカニクスがまず無駄。コンテナを漁って弾丸を集める行為がペースを悪くしている元凶だ。モンスターは倒しにくく、弾丸はすぐ底を付く。カプコンのバイオハザードのように、残弾を管理しながら、ワンショット・キルを心がけるのは、このゲームでは無理に思える。なぜなら作り込みが甘いからだ。モンスターの動きが速すぎて、サポートのある照準ですら百発百中は難しい。また、一発の威力が低く、スキルを向上させた恩恵を感じ取ることができない。銃の種類だけは豊富だが、裏を返せばそれだけの種類の弾丸(や材料)を集めねばならないということ。弾丸は望んだ種類を作成することが可能だが、これもいちいちインベントリーを開いて作成を行わなければならない。面倒この上ない。
潜水シーンでは緑の灯りがゴール。そこへ近づくように歩を進めればよい。ところが、邪魔をするために深海魚が襲ってきたり、海底から吹き出す泡(熱水?)で体力(空気)が消耗したりする。デザインが障害物ありきでしかないため、プレイは単調。体力がゼロになった場合はやり直すだけ。地上でモンスターに倒された場合も、主人公が自動的にリスポーンするのでやり直せばよいだけ。成功するまでやらされる、感心できないゲームデザインである。深海魚はほんのオマケでしかないので、相手をするだけアホらしい。潜水というFeatureが添え物に過ぎない。
モンスターを筆頭に、邪魔となる障害物しか出てこないのは、どうしたものか。そして、それを力尽くで排除するか、さもなくば振り切って逃げることしかできない。しかも、決定的な証拠を得るような肝心の場面では、力尽くの排除が前提とされる場面がほとんど。こいつは頂けない。
オープン・フィールドも手間を増やすだけの存在。the intersection of Asher road and Hubert Avenueといったように目的地が指定されるので、地図上を探して足で赴く。これはファスト・トラベルのポイント(電話ボックス)を発見しても続く。目的地までの途上では、材料が見つかる程度の出来事しか起こらない。レッドデッド・リデンプション2のような仕掛け(適当に彷徨っていて、何か面白い事にぶつかる)はまるで期待できない。確かにサイドクエストが用意されてはいるが……
探偵らしく、「過去知(Retrocognition)」という特殊能力によって事件のあらましを再現することができる。しかし、起きた順番を指定する行為が煩わしい。わざわざ離れた場所まで行って、どれが一番目か、最後や途中はどれか、をいちいち指定しなければならない。ハズレると、またもや正しい順番を指定できるまでやらされる。
忍耐強い捜査がプレイヤー自身にも課される、なかなかの体育会系なのだった。資金か開発期間の問題による、完璧にPolishされることなくリリースされたゲームということなのだろう。
ぶっちゃけてしまえば、予約特典で貰った
Sherlock Holmes: The Devil's Daughter の方が面白い。探偵のギミックに加えて多数のミニゲームやパズルでデコレートされていて(好き嫌いはあろうとも)遊びの幅が広くなっていて愉しめる。過去知やらDeductionsやらは、手法を応用したわけなのだが、The Sinking Cityのそれは、形骸化された画一的なことを只ひたすらに繰り返し求めてくる。だから、無駄が少なくて出来がいいと感じるのは、Sherlock Holmesの方なのだ。
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