ZBrush 3.5R3用のUV Master v1.0プラグインをざっと試してみた。Headus UV Layout Proを購入すべきか思案していた筆者にとって福音となるだろうか。
UV Masterでは、競合プログラムとの差別化として、完全自動化されたseam判断を目玉としている。ボタンひとつ押すだけで、モデルから最適なシームを割り出してUV展開してくれるという、実に夢のようなプラグインである。
さっそく今手がけているキャラクターモデル(38,032ポリゴン)に使ってみた。マニュアルによると、100ポリゴン~15万ポリゴンのオブジェクトが推奨されている。
結果は画像の通りで、シームが口角に出来てしまった。口パクが前提のモデルは口腔まで作り込むのが一般的だと思うが、これが災いしてか、マニュアルでならまずやらないであろうUV展開になった。
これを制御する為の方法がControl Paintingと銘打たれたものだ。ポリペイントと同様に、塗るだけという簡単操作で、全自動シームを補佐するのが狙いである。
この塗りには、Protect, Attract, Densityと3種類用意されている。ボタンを押すと、そのモードになるので、とにかく塗ればよい。Protectとして塗った領域は不用意にシームが発生するのを防ぐ。Attractはその逆でシームが出来やすくなる。DensityはUV展開での面積比(※)を変えてくれる。
※roadkillでもそうなのだが、自動的に展開するとシーム周辺部よりも中央部の方が面積が狭くなる為、顔のような重要な部位が割を食ってしまう。
筆者は以下のようにして、やり直してみた。
- Densityで、額から顎・耳に近いあたりまでの顔面と耳を塗る → 何もしない場合よりも面積比で4倍になる(比率は変更可能)。
- 顔面、耳をProtectで塗る。
- 背中、二の腕の裏側、太股の内股をAttractで塗る。
これでUnwrapをすると、かなりいい具合の結果が出た。
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seamの様子(左)。Textureで市松模様のチェッカーを選んでやれば、ゆがみを確認できる(中)。UV展開の結果を見たければ、 Flattenボタンを押す。即座に”開き”を表示してくれるので、ZBrush上で結果が確認できる(右)。 |
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ただし、この例で若干気になった点は:
- SymmetryをONにしていても、左右対称な開きにならない箇所があった(頭頂部の辺り)
→ Attractを後頭部に塗ってやると改善した
- Control Paintingで塗る時に、肉厚が薄い部分(耳など)はIntensityに関わりなく色が裏移りする(これがどの程度Unwrapに影響するかわからないが)
また、UVアイランドを別々にするには、あらかじめポリグループを作っておけばよい。先ほどの口腔は、頭部と切り離したポリグループにしておくと、うまくいくだろう。既にUVを持ったモデルにも適用でき、UVアイランドの切り分け方を維持したまま、ひずみを低減する目的で、このプラグインを再展開に使う事ができる。
総括すると、面積比を変える事ができるので、roadkillよりは優れている。展開結果はゆがみが無いかごくわずかである代わりに、例えば正方形の中に(歪みアリで)収めるといった事はできないので、ゲーム用途のようにきっちりとしたリソースを作りたい場合には、別途編集の必要がある。なお、UV Masterは編集機能は提供していない。Headus UV Layout Proでは、この部分に関するツールが備わっており、手作業ながらも行うことができる点ではUV Masterよりも優位と言えそうだ。
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