CM3D2の顔MODやコスチューム作成を経て、MMDに転向(?)した筆者の、現段階での意見です。
MMDはなんといっても、作りがいがあります! COM3D2ではボディの――特に魔乳の――シェイプキーが大きな制約となって、胸に近い襟元の処理に非常に苦労させられたものでした。
COM3D2は乳袋の縛りからも脱却できません。有志によって、袋状ではない乳の形が提案されてはいるものの、谷間を埋めたに過ぎない処理のようで、やはり課題として残ってしまいます。
前腕の歪み(肉痩せ)が気になることもCM3D2以来の大きな欠点でした。これは、体積を維持した曲がり方ができない仕様にもかかわらず、前腕を二骨の捩りで再現したことが原因でしょう。
つまり、COM3D2には仕様上の欠陥にまつわる、美観を追求できない――美しく作れない――制約が大きな壁となっています。一方、MMDでは標準リグといった仕組みに沿うことを求められますが、これによって制約ができてしまうと言うよりは、シンプルなリグでのウェイト塗りによる技巧の精度を問われます。精度が高いほど、綺麗に曲がる関節が作れると言えるでしょう。経験によるスキルアップができないうちは、かなり難しい問題ですが。
反面、複雑さで精度を極める方面では天井知らずで、ボーン多段化のようなことをやっていけば、綺麗な関節は作りやすくなるのだろうと思います。とはいえ、「高度化すること=複雑化」ではないはずですから、シンプルで扱いやすい構造でなお且つ高度である、というものを目指していきたいものです。
スカート物理は、COM3D2もMMDも、どちらも鬼門でした。COM3D2では、UNITYの仕様によるダイナミック・ボーンの制御をわずか一種類しか使っていないことがラッパスカートに繋がっているようです。ここを、スカートのシルエットに合わせてパラメータの違うものを持たせればいいのでは?と素人考えで思いつきますが、仕様上できるものなのか、はたまた負荷はどのくらいなのか、など気になるところです。
MMDでは、スカート物理にまつわる剛体の作り方(さらに、ジョイントの配置と設定値)が結果の出来具合に直結してきます。高度化されたWYSIWYGツールに欠けており、高度なblenderでもって出来たような作り方ができず、歯がゆい思いをせねばなりません。
MMDでのキャラクターモデルの利用のされ方にも注意しておくべきです。COM3D2では(キャラクターの)カメラを追う視線や表情の移り変わりが、プレイヤーを愉しませてくれました。MMDでは、どちらかというと振り付けモーションが巾を利かせている利用法のようです。
表情の変化を目玉にするためには、仮想カメラのフレーミング(クロースアップ)に加え、カット割り(演出技法)という、非常に高度なテクニックが要求されてきます。既存の振り付け動画で見応えのあるものが少ないのはそういうわけです。せっかく作った表情が活用されにくい理由は、受け手依存だからでもあります。
MMDには画風――フィルタや、スクリーンスペース・アンビエントオクルージョン――の自由があります。ところが、興味深いことにSSAOがやたらと使われている印象です。そもそも、アニメっぽい二次元キャラクターモデルが欲しいのでトゥーン・シェーディングという組み合わせで発達してきたはず。そこへ、流行のSSAOが台頭するという本末転倒ぶりです。
作り手としてはセル画表現的なモデルを作ったはずが、SSAOで使われてしまう場合もあるわけです。結果の印象が増していれば、それもアリですが、往々にして「トゥーン表現の方がよかったのに」というパターンもよく見られます。ここも、受け手により運用法が千差万別だから、です。
まとめましょう。
・COM3D2では仕様上の制約が(キャラクターモデル作りの)大きな壁となる
MMDでは壁はない。代わりに:
・作り手の技巧が出来具合の精度(例えば、関節の綺麗な曲がり具合)に直結する
・複雑化させて高度に処理することは比較的容易
・高度なWYSIWYGツールが乏しいため、物理スカートの難易度が高い
MMDは利用者依存の文化
・テクニックなくして見応えのある動画は作りにくい
・作り手の意図しない運用をされる(セル画風モデルにSSAO、など)
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