The Phantom of Liberty (1974)実はビミョーに同名の映画が存在する→
https://en.wikipedia.org/wiki/The_Phantom_of_Liberty、
https://www.imdb.com/title/tt0071487/内容に関連はないようだ。
サンセット大通り監督はビリー・ワイルダー。アレックスが夢見た女優(グロリア・スワンソン)の役ノーマ・デズモンドが登場する。
肉体は己の社これが、Your body is a temple for your spirit. であるなら、アイメリク・カッセルはカソリック信者だ。同じ表現が「狼たちの午後(Dog Day Afternoon)」のサル(演ジョン・カザール。ゴッドファーザーのフレド)の台詞にも出てくる。彼はそれを理由に喫煙をしない。この返事に女性行員が「本当に信じているのね」と驚く。
ジョイントに火をつけて――マリファナ・シガレットのこと。セルピコでマリワナの別名を講義する場面がある。意外にも70年代のアメリカ映画にあるようなモチーフが小ネタとして(このゲームには)よく登場する。米国文化がベースだからとは言えるだろうが、ポーランドが制作国だから、専門家を雇っているかツウが居るんだろう。ソミの住処はなにせブルックリンだからナ。つまり、マラソンマンなんかの生活ぶりだよ。70年代のアメリカ映画に詳しいオタクが制作者の中にいるよ、絶対。
リードを信用してソミを追うルート斜めに下っていくリフトが出てくる。たぶん、AKIRAのオマージュだろうね。
あ~あ、またつまらない系か。順番に部屋を巡ってハックしてくやつだ。しかも追いかけっこでミニマップなし。どこから次へ向かうのか、すぐ分からなくなってしまうから勘弁して欲しい。まるでALIEN: Isolationだ。それとも、バイオRE:3のオマージュかな。
シエラからの出口が分からなくなった。ヴィクターへはどう行くんだ? あぁ、倉庫か。天井か。面倒くさいし、時間の無駄系だよなぁ。きっちり決まってる順路通りにしか攻略できないので、やらされてる感が強くなってしまうから、せっかくの盛り上がりが台無し。
ちっこいパネルを「押す」して逃げる。パネルが小せーんだよ!
ソミとのRelicリンクを通じて、ソミの過去が目の前に拡がって追体験するV。しかし、この場面、蛇足すぎるなぁ。これまで映画的に作戦を遂行して現実時間の処理で十分な理解を促していたのに、ここから急にゲーム的で、過去を見せておかないと通じないとばかりに「こんなことがあったんよ」のネタばらし。ジョニーのアラサカタワー襲撃(をプレイする)とは違って過剰演出だね。これまでの会話や台詞の証言だけでソミの過去はだいたい分かっていたよね。行間を読む的な面白さだったのに、これ見ないと皆さん莫迦だから分からないでしょ? と言われてるみたい。
そしてまたもや、コア停止に至るまで同じ体の処理。くどいし、つまらない。長すぎる。キメラ戦車に追われる場面を担当したチームが作ったのかな。あれはクソなQTEだったし、ここもクソで単調だよ。緩急がつくようにジャンル違いの要素を入れてくるのは理解できるけれども、やり方による。これは下手な方だろう。「解く」という1つの方向性しかないので、まるでつまらない。銃撃戦もなければ、得意のスキルを生かすわけでもない。せめて2つの方向性を満足させる作りにしてくれれば単調さもいくらかマシになるだろうに。フツーのFPSによくあるパズルで、何もサイパンでやるべきことじゃないね。プレイヤーが自キャラをどんな風に成長をさせているかに関わらない一面的な解法しかないのがダメ。サイドジョブ(お使いクエスト)に2つの解法(ないしは分岐)を持たせるくせに、どうしてここは単純極まりないのか。
「降りたシャッターに窓ガラスの破片」とヒントは出してくれるけどさ。そういうことじゃないのよ。探偵モードにするなら、もっと上手くやって欲しい。
Vが見るソミの過去は、ブラックウォールによって失われていった彼女の記憶だった――なるほどね。くどいけど、そういう意味でなら、ブルックリンの彼女の家の場面も理解はできる。ウォーキングシミュレーターだけど。
ソミを月に送るルートと合わせ、大まかに2つ見た。あと2つあるそうだけど、これはそれぞれの途中で逆の結果になることが予想できる選択肢を取ればいいのかな? だとすると、だいたい予想はつくね。
物語の結末は、ゲーム由来にしては複雑で考えさせられるものだった。どちらが良かったのか、リードと同じようにプレイヤーも悩んでしまう。ソミの意志を尊重してやることもひとつの答えだし、かといって、ソミの嘘や裏切りを正当化はできないだろうし、やり直せるのか、もう遅いのか、それこそソミ自身にかかっている。大統領の約束は信用できるのか、それをヤキモキするのはなんとも現実味があるように思う。何を確かと考えるか、まさに人それぞれ。ひとつしかないらしい神経マトリックスはソミ用か自分用か(月ルートだと一人分だと明かされる)。刹那の中において、利他主義(自己犠牲)か、それとも共助か。ジョニーか自分かの本編分岐に加えて、さらに迷いを生む分岐。正しいと感じられることって何だろう――信念? その気持ちを揺るがせる事件として計画された用意周到なエピソードだったわけである。
「諦めない」という言葉は周到に隠されている。「希望」という言葉はたくさん登場する。負けを認めたとしても、その先が絶望とは限らないだろう。
茶化して書いてもみたい。メンヘラ女をスパイに使っている新合衆国の間抜けという筋書きにも読めた。CIAともなれば、メンタルのベースラインチェック(ブレードランナー2049のように)でも課して、ソミは任務から早々に外されていたろう。だから、スパイスリラーというよりも、不倫をめぐってのメンヘラ女にかき回される人々というドラマに近い。さしずめ、リードは父親でマイヤーズは母親(毒親)。望まない結婚を強いられているのが娘であるソミだ。お相手は土地と財産を有する、母マイヤーズにとって大事な客の息子。そんなソミはハンセン大佐と不倫する。大佐は裏社会の悪人であるから、父母はソミと一緒にさせるわけにはいかないと考える。Vは元彼または義理の兄貴として、自己肯定感が低く自傷癖のあるソミを連れ戻すことが役目……オリジナルのジメジメギトギトした雰囲気はこういう背景に似ている。母マイヤーズは連れ戻したソミにロボトミー手術を受けさせて結婚生活を続けさせるつもりだが、ソミは自分でなくなるくらいなら尊厳死を望む。Vと父リードはどうしたものか、と悩む。