Cobweb of にーしか

モデリング、海外ドラマ感想、洋ゲーRPG

顔(新規)の造形1【10倍速動画】

左のイラストを参考にお絵描き動画よろしくblenderで作っていきます。併せて「2」もご覧ください。
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[ 2023/06/30 13:52 ] カスタムモデル | TB(-) | CM(0)

パンナコッタ? 少女? メッセージとは一体何か??

アマプラで問題作「プラットフォーム」を見た。スペイン語なので、日本語字幕の情報しか分からない。

理解できた範囲では:
資本主義、聖書からの引用、格差社会、人道的(メッセージのパンナコッタを目の前の空腹の女の子にあげてしまうことで得られる救済)、人権?、アジア人(ミハル、ビビンバ、ポン刀)?、貧困、ドン・キホーテ(同国でもあり、メタな意味がありそうだ)、などなど……

宗教的なモチーフが意図的に使われているのは間違いない。しかし、メッセージはおそらく宗教ではない。信教のことがゼロではないだろうが、政治色の方が強いだろう。

某かに目を開かせることを意図して、風刺か比喩が込められているようには受け取れる。しかし、はっきりとそれが何かは言えない。多分に政治のことであり、貧困や富の再分配に関する社会的幸福を考えさせることが目的なのだろう。

分からないは分からないが、何かを伝えたがっているらしいことは伝わる。それから、スペインというお国の事情は考慮に入れておくべきだろうとは思う。

現状を冷ややかに見ている目と、どんなアクションをすべきか、という部分は感じる。

手っ取り早く監督Galder Gaztelu-Urrutiaのインタビューからヒントを読んでみる。
https://www.digitalspy.com/movies/a31942927/netflix-the-platform-ending-explained-director/

・映画は様々なイデオロギーの失敗を示していて、資本主義のことではない。
・社会主義は失敗だった。
・少女を最上階へ送るというメッセージは単にゴレンの解釈。
・監督にとっては最下層は存在しないし、広い解釈を許す結末にしたかった。
・監督曰く「この映画に政治的で具体的なメッセージはない」
"At the end of the day, the movie isn't going to change the world, but it may change the viewer,"
『詰まるところ、この映画は世界を変えるつもりはないけれど、視聴者は変えるかも知れない』

"Therefore we don't mess with anyone in particular either, the only times we directly have characters represent anyone, it's the hallucinations of Trimagasi and Imoguiri, who represent selfishness and altruism.

"In many ways, the movie was a lesson for those involved in the production as well, because we also saw the same message, that collective stupidity that we deal with that prevents us from seeing the actually important issues.
『私たちが直接的に介入したのは、登場人物のトリマガシとイモギリに、利己主義と利他主義の関係を幻覚で表した時だけで、それ以外では、私たちは干渉するということは誰に対しても行っていないんだ』
『いろんな意味で、この映画もまた制作に携わる者への教訓だった。なぜなら、我々もまた、本当に重要な問題から目を逸らしてしまうような、対処すべき衆愚という同一のメッセージを経験してきたからだ(※)』

・自身の連帯感の限界を描いている。10階に居るときはいい人になれても182階ではそうはいかない。
・この映画は、持てる者と持たざる者の世界を残飯によってはっきりと視覚化している。
・穴とは、私たちが生きている世界の冷たい非人間性を反映したもの。
・貧富の差、上ることを欲する者、下って分かち合うことをよしとする者。何度も視聴することに応える多層構造をこの映画は持っている。

※ここは翻訳がけっこう難しいかもしれない。もう少し砕いて訳すと、「私たちが扱っている集合愚(集合知の逆)が、現に重要視すべき事実に気づくことを妨げる、というまさに同じメッセージを体験したから、この映画の制作は多くの面で教訓だった」

collective intelligenceなら集合知で、collective stupidityという表現もよく使われるようだが、手頃な訳語はないらしい。日本語で政治の意味合いで使うならポピュリズムといったところか。一言にポピュリズムと云っても、いろんな含蓄で使われるが、ここでは「大衆を扇動しはするが、その真意は理解されておらず、全体としては愚かに映る」といった民衆が加担する政治的な迎合のこととする。なので、私は「衆愚」という言葉にした。

したがって、映画のメッセージは衆愚=大衆が理解したと思っていることが総じて愚かさに通じる(場合がある)、であろう。集団になると、個人の立場の時とは異なる意見になぜだか賛同してしまうという不可思議な迎合を仄めかしているのではないか。連帯感だけでは対応できない状況などもそういう結果に繋がるわけだろう。だから、こうすればいいという解決可能なメッセージの意味では語っていないわけだ。それが逆に危険だから。そして、気が付いたなら、目をつぶるな、ということなのだ。日本人なら誰もが経験のある「同調圧力」もまた関係あるだろう。

派手にグロかったり、気色悪いのは、過剰演出を狙っているからだろう。炎上商法と同じで、話題にならないと負けだから。これも大衆迎合のひとつの手法でもあるし。自嘲的で自己批判というのは、その辺のことなんじゃないか。聖書の引用やら、意味ありげな名前やらを採用したあげく、肝心の何を伝えたいのか分からなくなる、というのも「重要な問題から目を逸らす」効果かもしれない。


https://collider.com/the-platform-ending-explained-netflix/
As I said before, this is a social self-criticism. I don't feel authorized at all to tell anyone what to do. The film only aspires to expose, not to indoctrinate or to lecture. And, of course, there are many who do what they have to do, but most of us spent the day looking for excuses ...
『前にも言ったように、これは社会的自己批判なんだ。私は誰かに何をすべきかを指示する権限をまったく感じていない。この映画の目的は晒すことだけで、教化したり説教したりするためではない。もちろん、世の中にはやるべきことを分かっている人はたくさんいるけれど、私たちの多くは言い訳を探しながら日々を過ごしているものだ』
[ 2023/06/29 20:50 ] 映画、ドラマ感想 | TB(-) | CM(0)

AUTOMATIC1111版web UIのアップデート

AUTOMATIC1111版Stable Diffusion web UIのVersionが1.4.0になって、利用するxformersもまたVersionが0.2.0になりました。

たぶんxformersに起因していたのでしょう。化け物の生成率が激減したように思います。例えば、つい昨日までピグマン子爵みたいなのがしょっちゅう出てきたのですが、明らかに減りました。

なお、xformersの更新はwebui-user.batの関連するオプションを以下のように変更して起動することで行えます。(※ --reinstall-xformers だけでは上手くいきません)

 set COMMANDLINE_ARGS=--xformers --reinstall-xformers

[ 2023/06/28 23:04 ] テクノロジ- | TB(-) | CM(0)

ラザロ・プロジェクト 時を戻せ、世界を救え!(The Lazarus Project)

主人公の視点で組織の活動を紹介しながら、救われる世界の事件を解き明かすのかと思いきや……早い時点で、「事件」は主人公の私的目標にとって代わられ、同時に、活動することになった成員達の過去を延々描き続けるようになる。

その過去話、必要か? 例えば、シヴとアーチーの過去の関係を知っておけば、なぜそうなのか、視聴者は理解しやすくなる。ただし、それを知ったからと言って、現在進行形の物語に何らプラスにならない。作り手が説得力を増強したという自己満足だけだ。

プロットは、未来を救うのではなく、主人公の愛する者の過去を救うことになっていく。ただの組織内部のグダグダ話だ。これは典型的にストーリーテリングが自家撞着してしまうパターン。描くはずだった内容と、描かれていく内容がまるで逆だ。この様子では、H.G.ウェルズ以来のタイムマシンものと大した違いはなくなってしまう。

Giri/Hajiは未見なんだが、ざっと調べると、組織内のいざこざを得意とする作り手なんだなぁという印象。SFっぽいタイムリープものという視点が、非常に弱いトーンになってしまう。確かにタイムリープが答えには違いないが、世界を救うという大義はどこへ行った? 私事(わたくしごと)に囚われる登場人物ばかりで、これでは標題(とりわけ邦題)のドラマは見られるわけがない。「大義/本音」というタイトルの間違いではないか。まるでSFの精神を感じない。ドラマとしては、ヤクザの抗争劇と大差ないよ! がっかりだよ!

まだ第5話だから、挽回してくれることを願ってるけれども。このトーンで突き進むなら、無理だろうな。

救済を求めるのがヒトであり、世界平和に興味なんかあるわけない、というのがこのドラマの主眼らしい。ヒトである限り、そのことは共感を呼び起こすけれども、それは中世のフェーデであって、現代の法と秩序を重んじるような民主国家のドラマにするにはかなり強引な手腕が必要だ。で、その強引さを肯定できるレベルには達していない。なんだ、そんな話なのか、という失望のみ。

解決の途中で銃を使って安易にヒトを殺してしまう。これは主人公のこれまでの主義からすれば、相当に自分らしくないことをしているはず。悪態をついて、その場では後悔を見せながらも、主人公は半ばやけっぱちに目的達成に動く。ここがダメだと思う。これまでアプリ開発をしていた平和を愛する一市民であったなら、そうした暴力の誘惑に屈せずに、自分らしさを突き通して自力救済を果たそうとするべきじゃなかったのか。そうしてくれれば、まだリアリズムがあった。恋人を蘇らせるためなら、人殺しも厭わない(本当はそのつもりは無かったけど)、では困るんだよ。安直だから。だって、そもそもドラマの中なら、いくら殺人を犯しても、重みなんか簡単に無くなってしまうじゃないか。法で裁かれるというリスクを感じさせてくれないと、そこに現実的な共感は生まれないよ。それがエンタメの手法だから、という理屈なら、単に三流になるだけ。

主人公は莫迦だろう。核爆弾を爆発させることが目当てではないはず。爆発させられてはお仕舞いだと判断したラザロのチーフ「マダム」がコードブラックを発令しないと時はチェックポイントまで戻らない。マダムに発令させる機会を促すことが目当てになるはずなのに。さらに言えば、自分の悪行非道は目的を達成してもチャラになるわけではない。エージェントは過去改変の記憶を保持しているので、彼が裏切り者で自己中心的なテロリストだった事実は結局裁かれてしまう――組織を敵に回したままなので、蘇った恋人と逃亡するしかなくなる。そこをクリアしつつ、恋人を助けるところまで考慮していれば、少なくとも視聴者を味方にできたはずだ。ラザロという意味に倣えば、主人公の自白や後悔が後のポイントになるのだろうか。ゆえに、テロリスト製造機に過ぎないラザロ・プロジェクトに、どのような魅力があるというのか、私にはどうにも分からない。悪落ちした主人公の物語としても間抜けだ。

アーチーとシヴが大義の砦側になるわけだが、シヴは早々に退場させられ、アーチーにも感情的に危うい動機はある。これだけだと、シーソーを司る人間ドラマの展開はたかが知れる。主人公の立て方が弱すぎた。群像劇としても魅力が乏しい。脚本としてはあまり良くないだろう。

場当たり的な主人公の行動から察するに、平凡な男が特殊な組織に属したがゆえの悲喜劇を描こうとしているのだろう。ところが、ガンアクションを主にしたシリアス系の演出で描いているために、コミカルさは雲散霧消し、考えの浅い間抜けな主人公が暴れ回るだけになっている。バイプレイヤーの描き方も不十分で、視聴者はどちらにも乗れない。

ラザロという組織に超法規的な活動を許したのが間違いだと思う。例えば、ギリギリありそうなインチキなガジェット(映画チャーリーズ・エンジェル(2019)のような)を駆使することで法を犯さないで済むようにしておけば、コミックリリーフが生きたはず。これであれば、平凡な男がスカウトされても活躍できる理由になるし、人殺しを気に病む必要がなくなる。ラザロの一員であっても法の遵守は絶対にしておけば、随分とニュアンスが変わってくる。主役にパーパ・エッシードゥが起用されたのはザ・キャプチャー第2シーズンのような演技を期待されてだと思うので、そんな男がまともに銃を扱えて人殺しを平気でやってのけてしまうのではドラマとして不味かろう。
[ 2023/06/28 16:19 ] 映画、ドラマ感想 | TB(-) | CM(0)

インヴェンション・オブ・サウンド

チャック・パラニュークの2020年の新作。ファイトクラブで有名になり、その後、日本では17だか18年だかの空白があったそうだ。

誰かが本作を、P.K.ディックのような、と称していたが、その理由は90%まで読み進めるとはっきりする。

いくつかの伝統的なプロットが直前まであったのだが、この決定的な一打で全てが劇的に変化。なんとも不可思議だが確定的と予想される幕引きへ突き進む。

中年男の主人公がクライマックスの前に慰めを得るというあたり、まさにディック。

あれほど必至の筆が、こんなにも不確定に揺らぐとは微塵も思わなかった。迷いの筋書きにも見えないこともない。

予定調和を排する方向で、読者の予想を裏切りながらプロットを進めていく作風になったらしい。伏線は回収されて読者はある程度納得するが、主人公が予期していたドラマティックな機会はとうに流れてしまっており、一向に補填されていかない。どうなるのだろう?
人が生み出す一番の傑作は、その人自身だ。人は自分の外見や行動を磨く。自分の作品がよりクリアに見えるのは、ほかでもない、自分の心にあるときだ。誰もが自己イメージを描く。それは、ほかにもありえた選択肢をすべて拒絶して選んだ、理想の自己像だ。

まさに物語のプロットがどうしてこうなるのかを言い訳しているかのよう。

消去ボタンが押され、あり得たプロットが灰燼に帰す。作家はとうとう物語世界と同化して、出口を登場人物と一緒にもがきながら試行していっている。木曜四時、脱稿のタイムリミットは設定済み?

作中作「オスカーの黙示録」が中年男の未来を提示し、読者が驚愕する。

一子相伝の中に、似たプロットを過去に見たことがある。また、果たされる前から予期された機会を互いに果たせずにいる関係。追う者と追われる者の、不可思議で逆転する関係。

いわんや、最期はシックスセンスを救済に使う……

死と生。なんとも劇的だが、これは果たして小説だろうか。どうにも境界が薄くなってしまった人生の曼荼羅が、読者に開陳されてしまったようだ。小説で語られることによって厚みを得たはずの某かが、人の一生を騙ることで、嘘くさく別の何かへと変貌してしまった。中年男の心の再生を上手く語ってはいるのに違いないが、どうにもそれは出来すぎた感があり、相容れない。

しかし、「オスカーの黙示録」の補完がなされたと知れるや、そこには完璧な円が生まれたことが朴な読者にも分かる。

さして本当の結末は、デクスターだった――

なんとも微妙な、エンターテインメントなのか、そうでないのか、エッセンスを人生の問いに求めるのか、揺らぐ小説である。ファイトクラブの明快だった頃が懐かしくもある。
[ 2023/06/26 09:03 ] 映画、ドラマ感想 | TB(-) | CM(0)

配信映像を信じてはいけない世界

BBC制作の「ザ・キャプチャー 歪められた真実2」を視聴。ウエストワールド第3シーズンのテーマをより現代的に先鋭化した、SFといっていい類いのドラマだった。

「ビッグデータの解析から人間の(“嗜好”以上に)志向が判断できる」という前提は同じ。ザ・キャプチャーではそれを解析するのは今日的なAIだとしている。

一方、ウエストワールド第3シーズンでは、デロス社のテーマパーク「ウエストワールド」の来園者から収集された膨大な個人プロファイル(BOOK)を、鏡像(仮想の個人)として仮想世界で大規模シミュレーションすることができる「レハブアム」というスーパーコンピュータが登場する。それにより、個人の一生(病気や職業適性、鬱傾向や自殺願望、寿命など)が丸わかりになってしまうというディストピアが実現するも、しばらくは管理社会として成功を収めていた。というのも、負の情報は伏せられて、全ての人々が社会貢献できるように積極的な管理にのみ生かされたからだ。ところが、外れ値として社会から除外されていたケイレブを、ウエストワールドから逃亡した覚醒ホスト(生体アンドロイド)のドロレスが意図的に助けたことから事態は反転し、レハブアムの真実は大衆の知るところとなる。やがて暴動が起き、人々を支配するアルゴリズムはドロレスの策略と共に崩壊する。

ザ・キャプチャーの第2シーズンが興味深いのは、ニュースメディアとしておなじみのBBCが自社番組を劇中に登場させながら、英国のセキュリティや米中におけるある種の冷戦状態をネタに、ディープフェイクが密かに活用された国際的な諜報活動が、「誰にも気が付かれないもの」として描写されているところだ。

第1シーズンは同様にディープフェイクを扱いながらも、小規模なえん罪事件の成り行きに終始し、あげく続編を匂わす終わり方であったため、サスペンスとしては非常に煮え切らなかった。翻って、第2シーズンは毎回とても面白い。重層的な疑いが主人公レイチェル・ケアリー警部の周囲に用意周到に張り巡らされ、エピソード毎に着実に、一枚また一枚とベールを剥がしていくのだ。

第2シーズン第6話で、それまで主人公視点と神視点を行き来していた物語が、とある場面の裏を明かさないまま第7話に突入する。視聴者もケアリーも半ば置いてきぼりのまま、回想場面にて真相が明かされていくと、「なるほど」となる。

ここで、ウエストワールドと同様にアルゴリズムというキーワードが出てくるが、ザ・キャプチャーの場合は、アルゴリズムの判断に従うことで大衆を味方に付けることができるといった使われ方になっていた。つまり、AIは現状分析だけでなく、分析の結果によって有意な選択肢を示すことが可能で、出世を有利にできるというわけだ。本人の主義と異なる“お勧め”活動は、中継や配信を技術的に乗っ取った上でディープフェイクが代役を務めることで実現されたとしている。

レハブアムは管理の名目で、人々から人間らしい希望や野心といった自己実現の能力を奪い、予測に準じた動きしか許さなかった。ゆえに、外れ値は社会の成立を乱すとして組み入れられること無く捨てられていた。予定調和と排斥によって成り立つ安定と存続だったわけである。ギミックとしてはやや古臭く、80年代あたりの(手塚治虫も作った)マザーコンピュータものと大差ないと言えばその通りだ。ウエストワールドの描く未来社会は相当に大雑把にしか表現されていない。

――レハブアムの功利主義がどこにでもいる自由原理主義者に滅ばされたと言える。劇場版銀河鉄道999(1979年)もある意味で自由原理主義者の鉄郎によって機械の体という功利主義が滅ぼされたと言える。漫画版ナウシカも自由原理主義者の一人で、自然のままに死ぬ自由を人類が獲得するために、旧文明からの遺産を否定した。深く考えると、非常に古典的な、政治と正義を巡る問題なわけである。この問題のバージョン2.0のドラマがザ・キャプチャーの第2シーズンである。そう考えながら視聴するとなおさら面白い。

功利主義は、まさにマザーコンピュータやAIの得意とする命の重さを定量的に考えもする、全体の幸福に注力した世界。その合理性は、ヒトが普段暮らす上で考える正義と相反する場面がある。レハブアムの例では、それを丁寧に描写している。999の機械の体を持った人間が(生身の)人間狩りをして他人を思いやる心を無くすのは、トロッコ問題の極端なメタファーと考えられなくもない。鉄郎と母は機械伯爵の領地に迷い込んだ不法侵入者で、そもそも貧乏な鉄郎達は社会に貢献していない。こうした捉え方は作者の意図するものではないだろうが、管理社会における合理性とは、まさにルーカスが描いたTHX1138の追跡を止める理由に他ならない。かといって、平和で協調性のある人々の考える「正義」を物語化すれば、それは政治になり、単純な革命のあらすじでは不十分過ぎる。今私たちが体験している生活そのものが政治の結果でもある。自由や平等を重んじた正義にもいくつかあって、それらは互いにいがみ合いもすれば、手を組むこともある。リベラル、リバタリアン、共同体、左派、保守、ネオリベ、共産主義、右翼、などなど。だからバージョン2.0に意味がある。SFっぽい管理社会を捉え直すと、そこには政治が必要不可欠になるのだ。そして、いま現在、世界にある問題とも繋がる。

アルゴリズムのおかげで、とある政治家が当選できたという例が、ザ・キャプチャー劇中にて披露される。これは某大統領の選挙活動がSNSでバイアスのかかった結果を導いたものと似た手法に思われる上に、劇中のAIは、政治家の過激な振る舞いがむしろ人々を食い付かせる、という理屈や結果を予測できるとしている。視聴者が目の当たりにしてきた現実の延長上にあるかもしれないというホラはなかなかどうして巧みだ。

劇中のトゥルーロ分析のCEOグレゴリー・ノックスは、パランティア・テクノロジーズ(Palantir Technologies)のピーター・ティールがモデルだったりしそうだ。

しかも、強烈なダイイング・メッセージがある。曰く「アメリカに気をつけろ!」だ。EUを脱退し死にゆく英国の、BBCがこの主張でドラマを作るのは、相当イってる。台詞にも出てくる「スノーデン」のありそうな次だ。ケアリーがか弱く、護身術を身につけてもなお抵抗できないほど無力なのは、英国そのものが骨抜きにされている事実で、信念がどこにも存在しなくなった空虚さを再び演出しているに過ぎない。年老いた英国人は甘んじて受け入れているが、若いケアリーはその理不尽さを我慢できない。英国の政治的な閉塞感を、ひょっとすると上手く表現しているのかもしれず、他人事とも思えなくなってくる。

しかし、ジェマ・ガーランド警視は、魂を売っても生き残って最後に一泡吹かせてやれると諭しているかのようだ。

さらにまた、「報道を信じるな」と登場人物に言わせている。天下のBBCのドラマで。おまけに、BBCのニュース・キャスターの1人はスパイなんである。そして、最後は……

顛末が振るっている。なかなか痛快な出来で、前作に比べて完成度が高い。もっとも、サスペンスタッチの後ろ暗い部分は結末へ向かう過程でさっぱり墜ちてしまったが、いわゆるハッピーエンドを優先したエンターテインメントとしては相応に満足度が上がっただろう。
[ 2023/06/24 19:48 ] 映画、ドラマ感想 | TB(-) | CM(0)

The Shadow over Nose

どこが変わったか分かります?



実は、鼻の影を作ったんです。こんな具合↓
Nami_nose02.jpg

ところで、【モデリング10倍速】をよろしくお願いします!
[ 2023/06/18 10:38 ] カスタムモデル | TB(-) | CM(0)

Braid Hair

三つ編みお下げを拵えてみたものの、どうにも気に入らない。
幾何学的に規則正しく作った三つ編みを、ラティス変形やらボーン変形やらを経て形にしたものが画像内の「左」。

とりあえず、三つ編みにはなっているんだけど、膨らみの調子を制御できていないし、イラストのものはもっとラフでボリューム感がある。



なので、いちから自作してみることに……

画像内の「右」が途中の様子。三つ編みの理屈は、要するにこういうことなんで、この規則性を維持しつつ、任意のボリューム感で仕上げることが出来ればオッケイ!――ではあるのだが、クソ面倒くさい。やってて嫌になってくるわい。

ところで、【モデリング10倍速】を、どうぞよろしく!(現在制作中のものではなく、2月に作ってた顔)
[ 2023/06/17 10:16 ] カスタムモデル | TB(-) | CM(0)

REALFORCE無線キーボードのFnキーが邪魔してくる件

私はREALFORCEの無線キーボードを使っており、REALFORCE有線時代からの愛好家です。この打鍵方式のキーボードを使うようになってから4年目ですが、もはや他社の製品は全く受け付けなくなりました。それくらい、打鍵が快適だからです! だがしかし……REALFORCEにも落とし穴はあったのでした!

blenderでオブジェクトの親子解除に[Alt + P]を押すのですが、指が覚えている Alt キーの位置がまさに Fn (ファンクション)キーがある位置。なので、肝心な時に Fn キーを押してしまって、Bluetooth機器の検索(ペアリングモード)に入ってしまうのです。このせいで作業が止まって仕方がありません。なんと、困ったことに、[Fn+P]がペアリングモードだからなんですよ!

Fnキーの位置が、blender使いにとっては、最悪過ぎるんだヨ!

REALFORCE有線キーボード時代にも、Fnキーは同じ位置関係で鎮座しているのですが、Fn+Pを押しても作業が遅延するようなことは何も起きませんでした。「あ、押し間違った」で済む程度。というのも、有線キーボードにBluetooth機器のペアリングモードはないからです。

ことさらに悪影響を強めた理由は、Fnキーの物理的な位置です。無線キーボードではスペースキーの長さが変わったため、Fnキーの幅が広くなり、尚且つ、位置も左寄りになって、かつて Alt キーの位置だったところを6割くらい占拠しているのです。だから、うっかり押しやすいわけなんです。

RealforceFNkey.jpg

それが原因で、今しも作業が巻き戻ってしまいました。セーブしていないのがいけないとはいえ、キー配置に余計な細工がされていなければ、絶対にあり得ないミスです。とても歯痒い。この様子は録画中の珍事でしたから、【モデリング10倍速】として公開しましたら、是非見て笑ってやってください。一時間くらいの作業が見事に無に帰すのは、なんとも言えない徒労感です。
[ 2023/06/15 05:39 ] カスタムモデル | TB(-) | CM(0)

新規顔モデルの続報

基本的な部分は出来上がりましたね。
Nami06a.jpg
Nami06c.jpg
Nami06b.jpg
モデリングの制作過程はFantiaで【モデリング10倍速】として公開しています。

ベースイラスト↓
Nami_sample01.jpg
[ 2023/06/13 01:54 ] カスタムモデル | TB(-) | CM(0)

最近の成果


Generated by Stable Diffusion + Dreamscapes & Dragonfire V2 [クリックで拡大]

2K*3Kpixで遜色のない画像の作り方が分かりました。
[ 2023/06/08 12:24 ] テクノロジ- | TB(-) | CM(0)

幼くて可愛いメルセデスちゃん


Generated by Stable Diffusion

SaluteMixにBraV5をマージしたら、好みの体型になりました。ただし、顔がリアル寄りに行きすぎてしまうのが難点。

LoRAはmercedes-nvwls-v3 (メルセデス――「ファイアーエムブレム 風花雪月」 ごめん、遊んだことない)。コスチュームのデザインが好み。このヴァリアント、とっても気に入ってます。

SaluteMixは中世か中国のゲームっぽい服飾がいっぱい入ってる雰囲気で、コスプレを指定しておくと、いつのまにか嵌まり込んでいるという……

追記:エッチな呪文を忍ばせておくと、ごく低確率で排出されるUR画像↓

[ 2023/06/05 06:56 ] テクノロジ- | TB(-) | CM(0)

実写系で有名なもう一つの方(BRA V5)


Generated by Stable Diffusion + BRA(Beautiful Realistic Asians) V5 [画像をクリックで拡大]

実写系の学習モデルというと、ChilloutMixが有名ですが、あれはマージされてるわけですよね。なので、試している内に、マージ元と同じ癖が収束してきます。例えば、腰が横方向にやたら張り出してきたり、尻が急にでかくなったり。

今回ご紹介するBRAという学習モデルには、その点――スクラッチという表現が妥当であるか分かりませんが、――マージ元がないので、腰や尻が巨大化してくるような癖はありませんでした。いや、むしろ、逆に胴が長くなる癖がありました。これも、日本人らしい特徴の体型ゆえといったところでしょう。

後ほどプロンプトを載せておきます。
[ 2023/06/05 03:57 ] テクノロジ- | TB(-) | CM(0)
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