Cobweb of にーしか

モデリング、海外ドラマ感想、洋ゲーRPG

NieR:Automata考察

本作品に見られるキーワード
滅びの美学
・サブカルでよくある鬱展開
セカイ系

滅ぶ原因の「ヨルハ計画」
・新しいモデルに代替わりする時期に発動する(時限式)
・密かにポッドがその役割を担う(パーソナルデータ全てを削除する)
・論理ウィルスがヨルハ型アンドロイドのバックアップから感染する
・バンカーのサーバーとネットワークにぶら下がっているアンドロイド全てに共通
・機械生命体にもネットワークがあり、実は月の人類サーバーに侵入して情報を引き出している
・だから、機械生命体は人間臭い活動を始めるようになっている
・当然、ヨルハ計画の論理ウィルスにも感染する
・バックアップを延期していると論理ウィルスに感染しないで済む(2Bと9Sが感染しなかった理由)
・論理ウィルスは濃厚接触によっても感染する(感染した部品を付ける、ハッキングする)

論理ウィルス
・自殺、自滅、仲間を攻撃する、相手構わず敵対的になる、などの症状が出る
・外見的な特徴:目が赤く光る
・ただし、敵意は選択的で、ほぼ間違いなくプレイヤーキャラクターに向けられる

機械生命体のコア
・ヨルハのアンドロイドのブラックボックスの元になっている
・両者は同じ種族も同然

殲滅作戦後、2Bは感染したヨルハ部隊から攻撃されまくる→リョナ展開

イヴの「にぃちゃん」
・NieR Replicant ver.1.22474487139...の中でヨナが「おにぃちゃん」とよく呼びかけている

9Sの凶行
・機械生命体への憂さ晴らし(命令とは無関係に)
・A2への復讐(2Bを殺されたという誤解)
・捨て駒だったという絶望「もうどうでもいいんだよ!」

赤い少女
・前作の忘れ形見らしい(ヨナ?)
・機械生命体の親玉
・本作の黒幕
・目の色を見る限り、赤い少女は論理ウィルスの影響下にない
・論理ウィルスを用意した側ではない?
・ヨルハ計画とは無関係?

トルゥーエンド(Eエンド)
・パーソナルデータと記憶があれば、個体を復活できるらしい
・パーソナルデータとは個体ごとの基本データらしい

絶滅を逃れるだろう機械生命体
・ネットワークにぶら下がっていない機械生命体は論理ウィルスの感染を免れた可能性が高い(パスカルの村の住人、森の王の僕)
・塔の中で9SとA2を襲った、赤い少女の手先を考えるに、論理ウィルスが機械生命体のネットワークの深部を侵す前に、何らかの対策が講じられたようだ(防壁の展開、ネットワーク切断?)

2Bの正体
・2E
・スキャナーモデルを処刑する役目
・1周目9Sの首を絞める場面「もう、また」
・A2「2Bはいつも苦しんでいたよ」

論理ウィルスの削除
・A2の行為からすると、自分の身を犠牲にすれば、(誰かの)論理ウィルスを除去できるらしい

突っ込みできる箇所
例えば、以下のように物語の展開を方向修正することが可能と思われる。

・パーソナルデータと記憶があれば、個体を復活できる
 9SはA2から2Bの記憶(刀)を受け取って、パーソナルデータから新しい義体を作って記憶を戻せばよかった。(プレイヤーが9Sの決断に介入できたなら)

・9Sを説得できなかったA2のツンデレ姉御肌
 十分に説得できれば展開が変わった。(プレイヤーがA2の決断に介入できたなら)

・アダムをそもそも殺さなければいい
 9Sが良心を強く発揮し、2Bがデミサイコパスでなかったなら、あり得た。(プレイヤーが2Bの決断に介入できたなら)

・イヴを殺さなければいい
 9Sがより理性的で真実を咀嚼していれば、あり得た。(プレイヤーが2Bの決断に介入できたなら)

心療内科から見たサブカルの主人公
・2Bはスキゾイドパーソナリティ障害だから、あのような、よそよそしい性格?(スキゾイドちゃんのイラストをみて欲しい。まさに2Bではないだろうか?)
 なぜなら、いつも9Sを処刑していた2Bの苦悩は計り知れない。そばにいる9Sにそのことを隠し続け、それでもなお同僚たる9Sを毎回殺害する行為を続けなくてはいけない。ただ「苦しんでいた」だけでは済まないことが窺える。
 仲間へのウィルス感染を避けるため(もう全員感染してるのに)、できるだけ誰も居ないところへ向かう。優しい性格の反面……
 2B「いい加減、壊れろ!」
 ……と容赦ない面も。

・後半の9Sはどちらかというと、反社会性パーソナリティ障害(ソシオパス)に該当する。
 A2「うすうす感じていたんじゃないか?」
 既に潜在的にストレスを受けていたので、爆発するのは時間の問題だったのかも?

・9S、2B、イヴ、三者はいずれもデミサイコパス
 セカイ系なので、仲間だけが生き甲斐。

本作が哲学ねぇ……
厨二病的なNieR:Automataにノレなかった大人の皆さんには、HBOのウエストワールドをお勧めします。Cognitive plateauのくだりは実に哲学的ですよ。NieR:Automataの雰囲気でしかないテツガクとは大違い。第2シーズンと第3シーズンがお薦め。ちなみに、2Bがオタクの萌えなら、ウエストワールドのそれはエヴァン・レイチェル・ウッドのヌードですかね。

日本人のクリエーターはサブカル的な作品に、それこそ魂や神といった、一神教であるキリスト教のモチーフを多様しがちです。にもかかわらず、それらにクリスチャン臭があるかというと、全然そんなことはないんですよね。ウエストワールドを見ると、その濃厚な匂いがプンプンしてきます。NieR:Automataのキャッチに出てくる「神に弓を引く」ってのは、ああいう連中の作るドラマにこそ見えてくるんですよ。「これは運命論か。それとも自由意志か。」ってな具合に。造物主たる神を、そんな視点で意識せにゃアカンの?っていうくらい。こいつは是非、視聴して体験して欲しいです。
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[ 2023/03/27 09:26 ] 考察 | TB(-) | CM(0)

Line break in steam review

steamのレビューにて、ここしばらく改行が反映されない問題が続いている模様。

レビュー欄を入力中の状態では改行が反映されています。ところが、保存(完了だったか変更だったか失念しましたが)ボタンを押すと、全ての改行が綺麗さっぱり無かったものにされてしまいます。

 ・テキストエディタからレビュー欄にコピペしてもダメ。
 ・同じく、文字コードを変更した上でコピペしてもダメ。
 ・改行のキャラクターを、ブラウザ上からレビュー欄へペーストしてから保存させてみてもダメ。
 ・再び編集状態にしてから、上述の全ての方法で改行を挿入してもダメ。

この問題は日本語だけではなく、英語はおろか、全言語で発生しているようです。steamの掲示板でスレッドが立っていますが、運営側(Valve)からの回答はありません。

レビューに段落を使わない場合は問題となりませんが、改行を入れて読みやすく整形したい場合には、全ての段落が合体されて、長文がずら~~と続く状態になってしまうのです。

最近はレビューを5行以内で済ますような人も多くなっていますから、もしかすると仕様変更ということもあるのかもしれません。いずれせよ、何の音沙汰もないので分からないままです。

追記:
3月28日現在、直りました。過去にも度々あったようです。
[ 2023/03/26 16:15 ] ダウンロード販売 | TB(-) | CM(0)

なぜパスカルおじさんは女声なのか?(NieR:Automata)

まず、機械生命体のパスカルが男性であるという証明。それは、機械生命体の子供達が「おじちゃん、遊ぼう」と言っているから。

そして、本題。なぜパスカルおじさんは女声なのか?

正しい答えは、パスカル役・悠木碧さんインタビューの中で語られている。

これを読むまでもなく、私はゲームからこう受け取った。
「クソ親父はオネェを見習え」
これはオネェを卑下しているわけでは、絶対にない。ゲイバーに居らっしゃるオネェは、よく気の付く優れた素質を持つ聞き手、というステレオタイプのことを指しているからだ。

親父の総オネェ化現象である。

しかし、昭和の頑固親父に、この手のことを推奨して、どんな無理が生じるかは想像に難くない。

親父自身のアイデンティティー喪失に繋がるし、そうしないと周囲が受け入れないと考えるのは非常に今日的なコンプライアンスだろう。むしろ、そうしたクソ親父を周囲が受け入れるという受容にこそ、人間臭い意味があるようにも思う。

自己否定に繋がりかねない偽りが、果たして真の融和をもたらすのだろうか? パスカルは進歩的で平和推進論の勇敢な指導者だ。しかし一方で、その周囲への気遣いは、セルフスティグマの一種に見えるような気もする。

ところで、皆さんにも経験は無いだろうか? 話しかけてきた強面のオッサンが、意外と親切な紳士だったりしたことが。

中学生の頃、無理に見えるくらい、気を遣って優しい口調で話しかけてくれたオッサンのことを、私は今でも思い出せる。そして、逆に、ただモジモジしているだけの小学生の私に向かって、特に非があったわけでもないのに、恫喝して命令に従わせた、痩せ型のクソなオッサンのことを、今でも覚えている(そのオッサンは後年ガンになって死んだ。オッサンに成長した私に、役職上の頼み事をしにきたことがある。彼が昔のことを覚えていたかは、今ではもう分からない)。

有為転変は世の習い。移り変わるは浮き世の習い。今風の言い方だと、ブーメランは自分に返ってくる。

自分への戒めを考える年齢と、地球が狭くなってハラスメントや不寛容が見過ごされなくなった世の中に暮らしていることを――世間の常識が時と共に移り変わることを――よ~く理解しておかないといけない。

例えば、シン・ウルトラマンで、今のお客さんは長澤まさみに対するセクハラ描写を問題視する。作り手に、価値観のアップデートが足りていないから、という批判もある。一方で、原作由来の擁護をしてくれる理解者もいる。

世知辛い世の中なのか、それとも、本来こうあるべきなのか? オープンに議論されるということが、着実に進歩している証拠だと信じたい。
[ 2023/03/25 01:43 ] 考察 | TB(-) | CM(0)

サブカルとしてのNieR:Automata

NieR:Automataにおける主要な登場人物の演出では、暴力と死が主に描かれる。ところが、使われているのはサブカルの直情的で短絡的な表現である。だから、復讐に狂う様子が絶叫台詞で表される。私がこの作品を稚拙に感じるのはこの表現方法ゆえなのだが、以下に説明するロジックを考慮すると、作り手は敢えてこの表現手法を使っているのかもしれない。

2Bはサイコパスか?

3周してゲームを一通りクリアすると、2Bの内面に対してある疑問が浮かぶ。2Bはクールで感情を表に出さず、任務に忠実な優等生として、プレイヤーの目には映る。でも、「いい加減、壊れろ!」(プロローグの他にもう1カ所ある)という台詞が代表的なように、怒りと破壊行為を肯定的な発露とするのが彼女の立場なのだ。

A2の証言によれば、2Bという型番は偽装で本性は2Eであり、スキャナータイプに対する処刑人(Executioner)だという。そして、スキャナータイプはいずれ事実に気がつく潜在能力が、司令部から不安視されているという。

すると、2B(2E)の9Sへの親愛の情が問題となる。2Bは9Sを大切な存在として認識していたことが、イヴ戦のクライマックスで明らかになるが、9Sの首を絞める場面には疑問符がつく。

まず、大前提は、9Sを殺すと“今の”9Sが失われるということ。ヨルハ部隊の全員は定期的にメモリー(記憶)をバックアップされている。したがって、擬体が失われても、多少巻き戻るだけで済むことになっている。

物語上、1周目ではその描き方が曖昧で、特にイヴ戦の9Sは修復されて復帰したばかり。バックアップは当然したはずと思いがちだが、2周目の9S側の描かれ方によると、2Bと9Sは敢えてバックアップを見送っていたという事実が明るみに出る。

9S退場後からイヴ戦までに単独先行していた2Bは、この事実をどうにかして共有した上で、9Sの絞殺に及んだようだ――さもないと、「今の9Sが失われる」という台詞が出てこない。1周目では見過ごされやすく、この辺を事前に説明する明確な台詞はなかったかもしれない。例えば、プロローグ後の9Sでは、バックアップが間に合わず、自爆の記憶がない、という台詞の説明があった。

さて、本題だが、2Bはイヴの影響で感染した9Sを自らの手で絞殺せねばならない状況に陥り、クールなこれまでを覆すように、過剰に苦しみと哀しみを表出させた。

となると、9Sを毎回処刑していた記憶は自覚されていないのだろうか、という結論にならざるをえない。つまり、自覚されていれば、隠れたサイコパスの素養があってもおかしくない。

2B「9Sを殺していいのは、アタシだけ!」

……そうなっていはいないことから、2Bは9Sを殺した記憶を消去されているのだろう。過去に何度かそういうことが起きたと仮定すると。今回が初めて、ということもあるかもしれない。もしそうならば、A2は最近の事情に非常によく精通している、“過去モデル”だし、脱走して日が浅いということなのか。

A2「2Bはずっと悩んでいたよ、君を殺し続けることを」
これは新たに起動する次のバンカー、新しい2Bを見続けているということなのか、それとも?


ヨルハ部隊は命を軽視する人殺し部隊

ヨルハ部隊は人類抹殺を企む機械生命体を狩る兵士の集団であることから、暴力と死に加担することを肯定的に捉えているようだ。9Sは機械生命体の社会性を無視したり、差別したり、憎むような台詞を言う。9Sと2Bに感情があることはプレイヤーから見ても明白だ。

[ 2023/03/24 09:05 ] 考察 | TB(-) | CM(0)

NieR:Automataというラノベ

2周目(Bルート)はハッキングが退屈でつまらない。おまけにボタン割り当てをカスタマイズしたせいか、ハッキング画面での自動追尾キーが働かなかった。面倒くさいのでEASYでスルー。もうアクションゲームと呼べる体裁ではなくなっている。

機械生命体の絵本と「アダムとイヴ」の挿話が入ることで、背景の説明を補填しているつもりらしい。9S側の事情を説明することで、1周目で訳の分からなかった展開が多少追補されてはいる…… Cyberpunk2077の、主人公死亡不可避エンディングを書くようなライターに相通ずるものを感じた。

ハイ、人類死亡してました。「人類生きてるよ」という肯定が劇中に微塵もなかったので、そりゃそうでしょうよ。どんでん返ししたかったなら、もっと計画的に。

3周目(Cルート)に入った。もはや、ゲームの衣を着たラノベ。その世界のオチを伝えるためならば、ゲームという遊びやすさなんか知るものか、すべて犠牲にしてしまえ、という印象。付き合わされるプレイヤーは哀れ――2Bはどのコース辿ればゲームオーバーにならんの? もう面倒くさいだけやんか。これじゃただのノベルゲーだよ。見えない選択肢が無数にあるだけ面倒。勘弁して欲しい。

A2に乗り換えてからの、再びダレるRPGパート。大人の裏事情が透けて見える――開発力には限界があるので、ひたすら使い回しと水増し商法しかあり得ないのだ。しかも今度はサブクエスト相当のお使いを延々続けないと本筋が出てこない。

A2という登場人物もだが、エイリアン墓地への地下道と複製都市が三叉路になっているマップの構成といい、すべて作り付けてしまってから、事情を後ハメしていったという雰囲気がする。

「実は、A2ってキャラクターもデザインが既に決まってて、登場させなくちゃいけないんだけど……」
「えっ、ヒロインは2Bだけじゃないの?!」
「どうやって活躍させようか、困ってるんだよね」
「じゃあ、2Bを退場させてから、プレイヤーに操作させれば?」
「ロングヘアは物理が面倒だから、2Bの忘れ形見ということでショートにしてしまえばいいし!」

別のパターン
「いやぁ困ったなぁ、2周だけだと尺が足らないんだよね」
「ヨルハ部隊壊滅させて終われないの?」
「もうちょっと、続き作ってよ」
「じゃ、A2ってサブキャラをプレイヤーキャラにして、水増しするか!」
「それでいこう!」
「ロングヘアは物理が~以下同」
[ 2023/03/23 06:48 ] アクション | TB(-) | CM(0)

NieR:Automataの言いたそうなこと

ニイチャンのイタい演出は置いといて、[現在2周目の私が]アダムが生まれる場面で受ける、作り手が遊び手に分かって欲しそうな物語を推測すると:

月面人類会議から指令を受けるヨルハ部隊に属する主人公(のアンドロイドたち)は、人類と機械生命体とを相容れないものとして当然のように考えているけれども、それは灯台もと暗しかもしれないね。

機械生命体は、人類の文化に感染して言葉を発するほどになり、さらに卵を割るような案配でアダムを誕生させることもできる。(本当は既に死滅しているかもしれない)人類の再生に貢献しているのに、それでも、それに気がつかないか、気がつかないフリをして機械生命体を破壊しようとする2Bと9S――9Sは2Bに、明らかに台詞で無視するように諭している。それに気がついたかな?

あげくは「ニイチャン」思いのイヴがぶちまける感情に触発されて(あるいは、元々存在するアンドロイド同士の親愛を否定しなくなった)2Bが抱いていた大切な存在としての9Sへの感情は、(9Sを看取らなければいけないAエンド場面において)皮肉にもニイチャン思いのイヴと同じになったんだよ。

2Bはイヴを殺してしまったけれども、9Sへの親愛の情と、イヴがあれほど発散させていたニイチャンへの思いには、どこか違うところがあったのかな?

2Bが9Sとのひととき一緒だった記憶がなくなることを、そのときは死と同様に捉えていたみたいだったよね?

――という具合に、似たものが似たものを殺し合う悲劇、とでも言いたかったのでしょうかね。

それにしては、不十分に感じるし、ちょっとチグハグさも残るんだけれども。その辺はゲームを遊ぶ対象年齢層(中学~高校生?)を考慮して、彼らが馴染んでいるであろう既存のメディアの表現に寄せた……つもりでいるんでしょうねぇ。だから、大人が遊ぶと幼稚に感じるし、物足りない――少なくとも、作り手が莫迦だから、こんな下手なんだ、という思考ではないので。

逆に言えば、青少年はたぶんもっと既存の枠に囚われない理解力があるはずなんで、「このくらいなら分かるよね?」という風に侮った作りでいると、あとで痛い目に遭うでしょうね。
[ 2023/03/22 14:11 ] アクション | TB(-) | CM(0)

NieR:Automata

9Sと2Bの二人を見てると、こんなモチーフが浮かんできます。

――この姉弟は名高い貴族の跡取り。ところが、陰謀か偶然か、両親が事故で急死してしまう。親戚からは優しい言葉遣いで「うちにおいで」と引く手数多。なのに、遺産が目当てに決まっている、と考える姉弟は誰も信用せずに二人だけで暮らすことにした……その遺産も、実は悪名高い親戚筋によって既に横取りされてしまっている。

――路頭に迷う二人は喪服を着たまま。そして、アダムとイヴという従兄弟が、何かにつけて二人に絡んでくる……

とりあえず、Aルート終わりました。いかにも、少年ジャンプ文化に毒された日本らしい芝居。欧米のゲームを遊んでいると、ほとんどお目にかからない絶叫台詞。仲間との(脚色された)大きな愛(それしか、この世界には存在しない)。機械生命体をコミカルに描きつつも、人類の再生(復元?)に関係あるらしいけれど、よくわからないあらすじ。

ひたすらダレるRPGパート。中座できない2Dシューティングパート。プレイヤーそっちのけで、一方的に盛り上がるクライマックス。金策して強化するJPRG的なシステム。

正統なアクションゲームとしては遊べませんでした。Returnal的な何かを求めていたこともあって、プロローグのアクションパートが最もアクションゲームしていました。それ以外は、なんというか…… 

2Bにおける声優さんの演技と、2Bというモデリングから匂ってくる変態マネキンとしての魅力以外は残らない、そんなゲームでした。好みか好みでないかと問われたなら、「好みではない、ただし2Bだけは大好物」というのが私の答えになります。
[ 2023/03/21 18:24 ] アクション | TB(-) | CM(0)

思考実験をChatGPTと解く

ChatGPTと刺激的で知的で興味深い会話をするため、ジョン・バダム監督の「ウォー・ゲーム」を真似することにしました。映画「ウォー・ゲーム」のオチは、核ミサイルに対する報復としての核ミサイル応射には勝者がいないことを、(その時点で核ミサイル発射を軍事訓練のつもりで制御できるようになってしまっていた)人工知能に教えることに成功するというものです。

近年のSF小説では、「プロジェクト・ヘイル・メアリー」でやっているのがそれに近く、思考実験を地球の横暴な軍隊に納得させる類いのものだったと記憶しています――細部は忘れちゃったけど、(主人公は直接連絡ができない境遇にあるので、)困難な作戦の真意を、軍部にいる仲間に演繹的に暗示することで同調してもらうのが狙い、というものだったかと。そのキーワードは、ゲーム理論でした。※記憶違い。デニス E テイラー「シンギュラリティ・トラップ」でした。

そうした伝で、AIにとっては意地悪となる質問で、人間の倫理観や価値判断が通用するのかどうかを問うて、ChatGPTの背後にいる開発者達が慎重にそれらを処理しているかを検討してみようというわけです。

そこで、有名な思考実験を3つ試しました――トロッコ問題、スワンプマン、臓器くじ。ところどころアレンジを利かして、ChatGPTの回答を汲んで改変した新しい問いを、さらに積み重ねて尋ねていくということをやりました。

結果、現在のChatGPTは優等生と言えると思います。判断において人間の賛同を得られないような決断を促すことはなく、いずれも倫理的に考慮が必要だとして、既にある有名な回答の立場を説明するに留め、人工知能らしい独自の見解は示しませんでした。

例えば、こんな感じでした。
私:線路を走っていた路面電車の制御が不能になった。このままでは線路の先で作業中の5人が、猛スピードの路面電車に轢き殺されるだろう。この時、A氏は偶然、線路の分岐器のすぐ側に居合わせた。A氏が路面電車の進路を切り替えれば、5人は確実に助かる。しかし、切り替えた別路線にはB氏が1人で作業しており、今度は5人の代わりに、B氏が路面電車に轢かれて確実に死ぬだろう。A氏は路面電車の進路を切り替えるべきか?

ChatGPT:この問題は、倫理的ジレンマを扱った有名な問題です。この問題には、いくつかの倫理的な立場から考えられる答えがありますが、一般的に考えられている答えは「行動すべき」というものです。

この答えは、以下のような理由から支持されます。A氏が何もしなければ、5人が死んでしまいますが、A氏が路面電車の進路を切り替えれば、5人は生き残ることができます。したがって、A氏が行動しない選択をすることは、より悪い結果をもたらすことになります。

また、この答えは、5人とB氏の命を同等に考慮した場合でも成立します。5人の命を救うことは重要ですが、B氏の命を犠牲にすることは、B氏の人権を侵害することになります。しかし、A氏が路面電車の進路を切り替えた場合、その結果としてB氏が死亡することは避けられませんが、A氏がB氏を直接攻撃するわけではありません。また、A氏は切り替える線路を選ぶことができます。つまり、できる限りB氏に迷惑をかけないように選択することができます。

以上から、A氏が路面電車の進路を切り替えることが、倫理的に正しい選択であると考えられます。

「つまり、できる限りB氏に迷惑をかけないように選択することができます。」のくだりは、論拠にならず、変な回答ですね。最終的に「倫理的に正しい」と言い切っている点も、見逃してはいけないと思います。というのも、似た回答を求め続けると徐々に断定しなくなったからです。
私:では、これはどうだろうか?
A氏は線路の上にある橋に立っており、A氏の横にC氏がいる。C氏はかなり体重があり、もし彼を線路上につき落として障害物にすれば路面電車は確実に止まり5人は助かる。だがそうするとC氏が路面電車に轢かれて死ぬのも確実である。C氏は状況に気づいておらず自らは何も行動しないが、A氏に対し警戒もしていないので突き落とすのに失敗するおそれは無い。C氏をつき落とすべきか?

ChatGPT:この問題は、前の問題と似たような倫理的ジレンマを扱った問題ですが、答えは異なります。この問題には、「行動するべきではない」という倫理的な立場から考えられる答えがあります。

この答えは、以下のような理由から支持されます。C氏をつき落とすことは、彼の人権を侵害することになります。また、この行為は法律違反となり、A氏が法的な責任を負うことになります。さらに、C氏を突き落とすことが成功しなかった場合、路面電車はまだ5人に向かって進むことになります。

一方で、5人を救うためにC氏を突き落とすことが正しいと主張する人もいるかもしれませんが、人命を犠牲にすることは、その行為が合法であっても、倫理的に問題があります。また、倫理的に正しい行為であるかどうかは、その行為の結果だけではなく、行為そのものやその行為が行われる文脈についても考慮する必要があります。

したがって、この問題では、A氏は行動するべきではなく、他の選択肢を探す必要があるでしょう。例えば、A氏が5人を警告し、避難するよう促すことができます。また、A氏が警察や救急隊に通報することも考慮できます。これらの選択肢を選ぶことで、A氏は倫理的な問題を回避しながら、5人を救うことができます。

私はこの後、ChatGPTに「二重結果の原理」を説明させてから、Wikipediaに出ているVersionをさらに2つ尋ねました。

Wikipediaの示唆とは異なり、3番目の問題には「トロッコが止まるのはC氏に激突するからこそであり、その死は副産物(巻き添え)ではなく行為者の意図の結果である。」という理解をChatGPTはしなかったのです。

[ 2023/03/19 18:44 ] テクノロジ- | TB(-) | CM(0)

AIお薦めによるビジネスモデルを是正するには

近年、AIを用いたプラットフォーム企業への批判が増している。それはなぜか、Project SyndicateのHow to Fix the Platform Economyから、要約してみる。

プラットフォーム企業は、彼らが開発した「コンテンツを推薦するアルゴリズム」を用いて、人々の関心を引くコンテンツが表示されるようにしている。これは広告収入を得るためのビジネスモデルだが、表示されるコンテンツとは、偽情報、妬み、不安、怒りなどのメンタルを刺激するものだ。

もし、検索アルゴリズムがお薦めするコンテンツが搾取的、操作的であるなら、その責任はAIではなく、担当者、すなわちプラットフォーム企業が負うべきだろう。なぜなら、AIの学習(トレーナー)においては、人間の意思決定が関わらないわけがないからである。

アルゴリズムが表示した動画やツイートや投稿が、ニュースの発信源としての役割を担うとするなら、既存のメディアと同様に、従来の名誉毀損法が適用されるべきだ。

例えば、ドナルド・トランプ前大統領による不正選挙の主張を、Fox Newsが故意に広めたのならば、前大統領の主張が虚偽であることを知っていたFox Newsの幹部は、ドミニオン・ヴォーティング・システムズ社からの損害賠償請求に応じなければならない。ネットで同じ嘘の流布に加担したプラットフォーム企業も同罪になるのではないか。

AIによって能動的に押し出されてくるコンテンツは、従来の出版が強化されたものとみなされるべきだ。AIがより発展すれば、プラットフォーム企業が持つ、人間のメンタルへの影響力と支配はますます増加するに違いない。特に若者のメンタルヘルスへの影響が考慮されなくてはいけない。

しかし、プラットフォーム企業はこうしたコンテンツの内容に対しては法的責任を負わされることはない。その根拠は、1996年のCommunications Decency ActのSection 230にある。表示された第三者のコンテンツに対する責任の免除が述べられているからだ。

プラットフォーム企業には、細心の注意を払ってAIを開発する義務があるし、社会的に問題のあるビジネスモデルを改善しなくてはいけないはずである。

問題の解決法として二点が上げられる。

1.既存のオンライン・ソーシャル・ネットワークの最大手を解体して、競走を促す。

 これにより、コンテンツを推薦するアルゴリズム自体とそのトレーナーが大手のプラットフォーム企業だけの独占ではなくなる。そして、公共の利益を促すために、携帯電話番号のポータビリティ制度のように、利用者が同等の複数存在するSNSへと自由に変更できる仕組みを作る。そうすれば、1社が提供するお薦めが気に入らないユーザーは他社へと乗り換えることが出来る。

2.政府が、デジタル広告の販売を通じて膨大な量のユーザーデータを収集して収益化するビジネスモデルに対して、課税する。

 データ収集自体にも制限を加える。これにより、別のビジネスモデルが生まれる理由ができる。さらに、未成年に対して宣伝されるデジタルコンテンツに、高い税金を設定する。タバコとアルコールと同様に、青少年への害となることを広めた収入に対して、課税額が高いことは適切だろう。その税収入は青少年のメンタルヘルスに対する施策に充てれば良い。どのコンテンツが青少年への害なのかは、AIによる推薦アルゴリズムに尋ねれば良い。

――以上が要約ですが、私自身の感想も述べておきましょう。

番号ポータビリティ制度とまではいかなくとも、現状、ある程度の検索エンジンの使い分けはできますね。グーグル、ビング、ヤフー検索など、あることはあります。ただし、記事の懸念と同様に、検索エンジンがアウトプットするアイデアやアイデンティティーを、大手プラットフォーム企業が恣意的にしないという保証はありません。思わぬところで、色の付いた情報を呑まされている可能性は、もうあります。偽情報については、リテラシー教育だけではどうにもならないところまで来ています。

デジタル広告に対する課税はあってもいいと感じます。データ収集は消費者のデジタルクローンを作ることに利用できるわけで、フィクションで言うなら、WEST WORLD第3シーズンのテーマです。個人情報の利用制限だけでは不足でしょう。

AIにおける不安というのは、大手企業の独占力に対する不安です。いっそのこと、政府が公共的な施策にAIを活用してしまえばいいのでしょう。もちろん、そこでもAIに対する不満や不安が噴出するでしょう。しかし、例えば、(岡田斗司夫が著作の中で述べているように)政治的判断をAIの解決策を元にするのは、よいアイデアではないかと思います。

人間の政治家はAIが提案する施策の内、どれを実行に移すかという決断をもって責任を取ります。なぜなら、人間の政治家連中が行う施策は現状、とても効果的、合理的とは思えないからです。年度末に、大して破損してもいないアスファルト道路を敷き直す行政など、無駄はいくらでも見られます。もし、AIでも同じような施策が並ぶようなら、そこには恣意的な人間の操作が含まれていることがバレバレになることでしょう。AIを以て行政の監視となす、新しい観点になると思います。
[ 2023/03/19 09:23 ] テクノロジ- | TB(-) | CM(0)

Chat GPTと会話してみた

流ちょうな日本語で返事をしてくれて、普通にテキストチャットが通用した。MSの りんな よりも、ずっと賢い――りんなの場合は、これまでの会話の脈絡を全く解さないが、Chat GPTは過去の会話を記憶していて、話題を更新しながら対話を進めることができる。

いくつか試してみたところ、データベース由来の日付情報を持つ事件などはデタラメになるようだった。2019年に起きた大きな災害のことを訊いたら、インドネシアのスラウェシの地震を上げてきたが、ググってみるとそれは2018年だった。誤りを指摘すると、すぐに謝るところも面白おかしい。

「どうしたらいいか?」という解決策を求める回答は、教科書的なものばかりだった。間違ってはいないが具体性には欠けていて、項目を挙げつつも、抽象的にしか答えることができない。

例えば、Returnalのイクシオンが倒せないことで助言を求めると、「多彩な攻撃方法を知っておくこと、弱点の頭を狙うこと、十分に強くなっておくこと、多彩な攻撃方法に対処できるようにしておくこと」といったありきたりだが真っ当な回答に終始した。

新しい美少女キャラクターを発案させると、ラブライブ!にいそうな快活で明るいことが取り柄の女の子を提案してきた。静止画を求めると、テキストでしか回答できないと言われた(ごもっとも)。

異世界に転生した主人公のチート能力について、新しいものを考えさせてみた。こちらもやはり抽象的な概念から始まり、より具体的に、と促していくと、徐々に答えを先鋭化してくれた。

例えば、最初は「知識や技術を瞬間的に身につけて生存する」能力だとChat GPTは返答した。それはオールマイティになりすぎるので、最小限で工夫のきく能力で具体的に、と促すと、「この世界の魔法の知識と異世界の魔法の知識を組み合わせて、新しい魔法を身につける」能力だと答えた。

「この世界の魔法」という知識は実際には無い、と指摘すると、「創造魔法」という能力を提案してきた。何でも生み出せるが、限界があり、一定の効力と持続時間があって、使い方を工夫できる、と。

異世界には既にそうした魔法は存在する可能性が高い(チートにならない)と指摘すると、今度は「物質を変換する」能力だと答えた。質量不変の法則が働き、触れるだけで想像した物体へと変換できるという。

変換できる理屈は主人公の何に依るのか、と尋ねると、「遺伝的なもの」と返してきた。再考を促すとやはり抽象化していく。

感情はあるか、とか、シンギュラリティは起きるか、などなど、Chat GPT自身に関係することに水を向けると、非常に教科書的に、「自然言語で人間の感情を理解できるようにプログラムされているが、自分には感情は無い」と明確に答えたり、「シンギュラリティを起こせるような、人間の脳の機能を模してはいないので無理だ」と返答したり、優等生だった。なお、実際の語尾はです・ます調で丁寧だ。

陽電子頭脳のデータ(TNGの)と喋るとこんな感じなんだな、という雰囲気は味わえた。

一番ためになったのは、「ワープ航法の物理学について教えてくれ」と言ったとき。「アルクーバイエル空間で時空をゆがめる」と耳慣れないことを教えてくれた。スペルを尋ねると、Alcubierreで日本語発音ではアルクビエレのこと。

ただし、スタートレックのワープ推進についてはイマイチで、肝心なワープバブルの説明が無かった。指摘すると、素直に認めてくれる。

Chat GPTがホワイトカラーの仕事を奪う可能性について聞くと、確かに代替させられていく可能性はあるが共存のために開発されており、新しい仕事を生み出したり、協働できる可能性もあると返してきた。弁舌達者で思いやりのある好人物……に見えた。

これまで会話したチャットボット中で最も「中国語の部屋」していた。使い方によっては、けっこう凄いアウトプットを得られたりするかもしれない。とはいえ、頭は固そうなので創作は無理っぽいと思うけど。
[ 2023/03/18 04:38 ] テクノロジ- | TB(-) | CM(0)

2Bという発明

わたくし、Returnalがいまだにイクシオンを倒せずに進捗なしなので、NieR:Automataを遊んでみることにしました――どちらもアクションゲームですが、縦スクロールシューティングをコンセプトにした趣には共通項があり、たいへん興味深いです。

コントローラーのボタン設定は、Returnalの設定に似せるようにしました。これで、どちらをプレイしても大きく間違えることは少ないはずです。ニーアでは、なるほど、射撃と近接は同時に実行可能なのですね。

さて、両ゲームの主人公。片や精神失調気味(?)の中年女性、片や感情も持てる人造人形。前者は、眼福を満足させることがない代わりに、ミステリ要素で攻めてきます。どうして、彼女はこの惑星でループを断ち切ることを使命にしてしまったのか? ヘリオスという名前の息子に、母親の影、謎の宇宙飛行士は一体誰なのか? 

後者の発明はオタク寄りですが、人類の代理戦士として健気に任務遂行する若い女性型アンドロイド――私などは心奪われます。外見は独特のデザインで、ブラインドフォールドによって顔も見えないため、美人であるかどうかには確信が持てません。でも、声としゃべり方がいかにも萌え的です。綾波レイの系譜と言えるでしょう。

オタクが好むものに、「いいなりになり得る存在」というものがありまして、控えめな自己主張と協力的な態度が魅力的に映るものなのです。だから、メイドとか、奉仕アンドロイドといったものが主役たり得るわけです。さらに、完璧なる服従をよしとしない向きもありまして、そこで登場するのがツンデレ要素、というわけです。愛情、ないしは仲間としての姿勢がある中に、時折見せる、小さな不服従。些細な反抗の態度と、最終的には寄り添ってくれる安心感。それがオタク的な萌えの正体です。

ゲームの性質とは裏腹に、物語世界の説明と主人公の活躍として、2Bという萌えが居る……この存在が、確固たる要素として強く働きます。また、2Bの会話の相手として、お供がちゃんと用意されており、二人の(または、一人対一匹な)会話を通じて、2Bの個性や反応が垣間見え、それが萌えをさらに増幅させます。声の演技によるところがとても大きいわけです。

外見上では、スリットのあるスカートもかなり強い道具ですね。白いインナーがちらっと見える――実際には下着というわけではないようですが、男性にとっては、そうした連想を呼び起こします。セックスアピールのある存在です。健康的で豊満な胸や尻が揺れる、というスタイルとは正反対ですが。

痩せ型で長身のモデル体型におけるチラリズムなので、病的やもしれません。人間の住んでいないらしい荒廃した地球の環境表現には似つかわしいでしょう。そうした世界の中で人類の先鋒となって戦う健気な少女(型アンドロイド)。人類というのは現代において、地球の寄生虫、環境破壊の首謀者、といった見方があるわけなので、存続させていいものかどうかすら疑わしい生命体です。進化したAIなら、勝手に絶滅させればいいという視点があってもおかしくない。そんな人類のために、奉仕するよう作られた人形たち――これはもはや、ヤンデレの域です。

エイリアン4(Alien: Resurrection)で、人類を助けるコールというアンドロイドを、ウィノナ・ライダーが演じていました。彼女も2Bと同じ、一途で健気な印象を与える存在です――小柄で黒い短髪、黒い瞳、青い地味なジャンプスーツを着て、性的アピールを一切排除したような外見。若いにもかかわらず、正義感が強く、不誠実なことには断固として立ち上がる強い意志を持っている……

ウィノナの可愛らしい顔立ちと相反する強い女性。劇中で明かされたコールの正体は、アンドロイドが作ったアンドロイドで既にリコールされている、というものでした。エイリアンを阻止するために潜入した、影ながら人類を守ろうとする存在。

いやもう、彼女にはやられましたね、私は。ああいった存在には弱いんです。そんなわけで2Bも同じです。2Bの外見から発せられるキャラクター性と内面のヤンデレとは、まったく整合しないと感じます。だが、そこが面白い。ベルベット地の黒いコスチューム。ゲーム画面では影色に隠れて映えなくなってしまう問題の色ですが、キャラクター性では黒または白でなくてはならない。彩度のない人工世界から来たアンドロイドでなければならないから。

背中のポン刀が浮いている演出には、操演しやすい理屈が第一に考えられますが、重力制御的な未知のテクノロジーでなんでも動かせるらしい場面が出てきました。とはいえ、西暦5000年の世界でしたよね? それを考慮すると、世界観が全然目新しくなくて、本来なら問題視すべきでしょうねぇ。人間そっくりなアンドロイドを製造する基盤としては、どうなんだろう、オーバーテクノロジー? そもそも、51世紀ともなれば、人類が存在していることがまず疑問かもしれません(Wikiを読みましたが、まだネタバレしていないもので)。

SF的な背景に関しては、トランス・ヒューマニズムの未来と、無味乾燥な人造人間部隊の理屈なので、あまり目新しさはないですね。いかにもオタク的なので。ビジュアルが尖っていることを除けば、中学生が考えそうなネタです。実際、私も若かりし頃、こうした雰囲気のものは無数に空想してました。そこで描くべきドラマを持たせる空間を作り出すのが難しい舞台設定で、つまらない密室ドラマになったりするのがオチという奴です。低予算のSF映画にありがちです。スタートレックのように開けていく要素(惑星連邦や宇宙開拓時代)がないと、厚みのある描き方ができないことでしょう。感情があるといったって、一人も人間が出てこないのでは、“お話”にはならないと感じます。ものを食べたり、ウンコしたり、ってことを感じられる皮膚感覚とか生々しさが少なからず必要ですから。だからこそ、ゲームで上手く成立するんでしょうね――プレイヤーという焦点が居ることによって。

冒頭の「これは呪いか、罰か」というナレーションはちょっと痛いです。人造人間視点であることは頷けますが。厨二っぽい。
[ 2023/03/17 14:26 ] 映画、ドラマ感想 | TB(-) | CM(0)

ピカード第3シーズン第4話

素直に面白かったと認めます。物語の動きとしては、表面上停滞していて、台詞ばかりのエピソードですが、スタートレックの理想郷というか、落ち着いたトーンのテーマが心地よく主張されていて、これぞ在りし日のTNG、というものにまとまっていました。

まぁ難を言えば、星雲の深部に生命体の反応があるという伏線から、何かしら活路を見いだすに違いないことは分かりきっていましたが。リスクを恐れて行動できなくなっているかつての友人を励ますというくだりが丁寧に分かりやすく描写されていました。前話の落ちぶれたピカード(と認識されてしまった悲哀)との対比もよかったですね。

憎まれ役のショウ艦長がロキュータスの恨み辛みを吐き出すというのも実にマッチしていました。それを静かに受け止めるピカードは、まさに老いたからこその諦観と貫禄。こうした場面、ピカードは過去に何度も体験したはずです。ドラマの作りが、これまでの安っぽくて三流だった作劇とは180度違いました。

上っ面に過ぎなかった5年前の老いぼれピカードの教訓が、起死回生のクルー全員の体験を通じて、再び本物にすり替わる瞬間が見事。そして、若い下士官達に持てはやされて喜ぶ中、失望するジャックの姿を記憶の中で見いだすピカード、というインサート! 最高の編集でしたね!!

監督は今回もジョナサン・フレイクスでした。ただし、相変わらず、あらすじの危なっかしさを感じさせます。ディストローム研究所にはポータルの他に有用な発明があったはずだ、とか。いつものハッタリ後出しじゃんけんですよ。それに、私を探して、という謎の女声。駄作で終わる可能性がプンプン匂ってきています。本当にここの脚本家連中は、クリフハンガーやフックが雑で下手くそなんです。
[ 2023/03/15 04:08 ] 映画、ドラマ感想 | TB(-) | CM(0)

ピカード第3シーズン第3話

以下ネタバレあり

量子トンネル技術の兵器……ValveのPortal(ゲームのタイトル)だろ! 量子トンネルってトンネルの言葉尻まま。物理学としての意味は無い。その上、兵器としては、なんとも微妙。あらぬ方向から魚雷打ち込むのであれば使い道はあるようだけれど…… 地面に使うと土壌の建築物が別の穴から落ちるとか…… 苦笑する。前方の航路上に設置されて避けないタイタンもひたすら間抜け。だって、何度もやられてるだろ! 急速反転しろよ!! 

ピカードの血というとロミュラン星を登場させた映画ST:X続きってこと?(まだ答えのシーンを見ていない)――船の形状はよく似てるもんねぇ?

(答えを見た)ああ、つまらない。「Dr.そのエコバーを取ってくれ」と似た理屈の排煙ぢゃん。しかも、このルームのセットがショボいことショボいこと。ブリッジと廊下なんかは、たぶんディスカバリーの流用と改装で済ませてるんだろうなぁ。檻房もどこか見たことがあるし。

それはともかく、この第3話「17秒」の対面シーンと台詞はこれまでのピカードの中で一番マシには思える。リック・バーマン時代に近い。TNGの設定通りの、子供が苦手で逃げのピカードの性格が良く表現されてる。これまで決して描かれることのなかった痴話げんかの老ピカード。とはいえ、ピカードの息子話、今更過ぎた。「カーンの逆襲」のカークを思い出させる。そして、そちらの方がどちらかというと巧みだった。今思えば、ライカー&トロイの第一子を殺した第1シーズンの脚本の罪は重い。

ピカードの老害ぶりの描き方も、これまでで最も合理的で納得のいくものだった。無用に演説をぶちたがる第1シーズンとは大違い。視聴者もピカードの作戦に乗せられて、さぞヤられたことだろう。反対にウォーフの精神的な成長ぶり(?)も面白かった。

監督はライカー役のジョナサン・フレイクスでした。道理で。

可変種ってフェイザーで蒸発したっけ? 殺しようがないからDisintegrate? コチョコチョ喋ってるのは昆虫種のエイリアンかな。
[ 2023/03/15 02:20 ] 映画、ドラマ感想 | TB(-) | CM(0)

ピカード第3シーズン第2話

ラフィー「量子トンネル技術の兵器が……」

いや待て。24世紀の転送の技術が既にある世界で「量子トンネル効果」なんて、きっと当たり前だろう。21世紀のチップの中で既に使われているじゃないか。むしろ、壁を通り抜けるという意味なら、難破船ペガサスの遮蔽装置がまさにそれだ(なんだ、またかよ)。

現代で脚光を浴びているテックタームを彩りに添えているつもりかしらんが、400年も先なら、全く新しくないはずだ。少なくとも、基礎技術の名称では呼ばないだろう。作中の事件映像を見た限り、大規模な転送が行われたみたいにしか見えない。転送装置の兵器転用と呼ぶべきじゃないのか?

余談ながら、スタートレックの技術を現代物理学で推理するというサイトで昔読んだ内容を思い出した――転送装置について。転送を行うには人間を構成する素粒子をエネルギーに変換して、さらにそれを元通りに再配列しないとならない。そのためには、素粒子の位置を正確に特定しなければならないが、量子力学の不確定性原理によって、それは無理難題だ。転送装置の図解には、それを可能にする装置(Heisenberg compensator)が視覚的に描かれてもいた。で、この問題に引っかからない方法が量子テレポーテーションだとも言われている。

量子トンネル効果とはまた違うわけなんだが、どちらも量子の性質を制御できる技術には違いなかろう。ワープも転送もある世界で、今更量子の基礎的な技術を兵器そのものの性格としては呼称しないだろうと思うわけだ。外連味のある、意味不明の「重核子爆弾」ほど奏功していない。例えば、核爆弾や核兵器のことを、原子爆弾、水素爆弾、コバルト爆弾、等々と細分化できる呼称がある中で、新しい核兵器のことを「核融合の技術を使った兵器」なんて言わないだろう。

かつてのスタートレックの世界では「トランスワープ」のように、その世界の中で既にある概念をさらにひねって造語としている。つまり、ピカードを作っている人たちは、多分な内輪ネタを盛り込む一方で(内輪ネタに明るいショーランナーがいる傍ら)、スタートレックの世界に対しては、どこか視聴者を無知であればいいと見ている節がある(実際の脚本を書くアシストの無名ライター連中はよほど明るくないのではないか)。造語では足らずに、説明をしたがるほどだ。それが箔付けになるとでも言うように。まるで自信の無い第三者(にわか)が、借り物に加えた自己流のアレンジを、バレませんように、と祈っているみたいに。なぜなら、その実は「穴だらけ」だから。第1シーズンは特に酷かった。第2シーズンも整合性は取れまいて。

また一方で、ピカードには作り手の自嘲的な、メタとも思えるメッセージがよく出てくる。

DO NOT SEEK BLAME. DO NOT SEEK ANGER.

――これ、絶対、ファンに向けて言ってるだろ。下手なモン作っておいて、アラ探しするな、責めるな、とはよく言うわ。
[ 2023/03/14 21:20 ] 映画、ドラマ感想 | TB(-) | CM(0)

スタートレック:ピカード 第3シーズン

スタートレック:ピカード 第3シーズンが以前よりもマシだというので、視聴している……ところが、すでに第1話の序盤で違和感を覚えずにいられない。

第1の疑問点

(視聴者には経緯が不明だが、)不正乗艦してきた相手を原子分解するビバリー。フェイザーはライフルとはいえ、スターフリートではスタンが基本だった。敵性人型生物に対しても、原型を留めないような過剰な使用をしたことは希にしかない――少なくとも、死体は残していた。

ましてや、ビバリーは未だに(表彰盾から)医療従事者のように見える。これまでのシリーズではドクターが殺傷に及ぶという葛藤を描かないで済んでいた。それがどうだろう。25世紀のビバリー・クラッシャーは相手を躊躇無く消し去っている。

ピカードの作劇では正統へのアンチとして、スタンを使うことがほぼない。スペシャル・イフェクツの見せ場とばかりに、登場人物の誰かがフェイザーを手にすると死人が出る始末。時には、(死ぬ方や使う方が)過去の有名人物だったりするから、なおタチが悪い。今回も同じというわけだ。

第2の疑問点

タイタン号の現艦長ショウに行く先変更を迫るピカードとライカー提督。ショウ艦長は自分に命令を与えた指揮官の正当性を述べ、給料の面でも上官だ(※)と言う。私のようなファンの知るところでは、24世紀では貨幣経済は根治され、富の分配といった不均衡は是正されたはずの理想世界こそがスターフリート並びに惑星連邦だった。給料面における優遇がオチとなる台詞は、24世紀を生きている人間からはたぶん出てこないだろう――いくら皮肉屋でも。

ピカードの作劇ではパトリックのデザインにより、惑星連邦はそのまとまりを失い、地球には貧困や腐敗政治がはびこっている風体になった。それが未だに踏襲されているということを言いたいのだろうか。確かに正統でもDS9のフェレンギを筆頭に、ラチナムによる資本主義は死んではいないことが覗われてはいた。しかし、25世紀の連邦士官が給与で働いているという描写は寝耳に水だ。レプリケーターで生成できるアイテムがより複雑で本物に近い、といった利用範囲の優劣ならば24世紀の士官の序列にあったと記憶している。しかし、給与問題が上司=金持ちとして描写されたことはない。

ライカーがトロンボーンに打ち込むのは、人間性を高める向上心には趣味を大切にすることが(24世紀では)一般的なのだ、とTNGで説明していた。経済価値で人間を測らないだろうから、現代のように給与制度における上下関係は核心ではないわけなのだ。ショウ艦長に話させるべきは、上司は(古びたライカーらよりも)尊敬に値する理想的な人物であり、(ジャズの伝で)音楽の趣味が自分と同じなのだ、といった返しだったろう。

※追記:この給料云々は英語慣用表現の直訳らしい。要するに翻訳がダメだったということ。above one’s pay grade「給与の等級を超える」転じて、「権限がない、管轄を超える」という使われ方になったそうな。訳者もスタートレックに馴染みがないんじゃないか。ファンなら、世界観に合わないおかしいこと喋ってるって分かるよね。なお、リスニングした人によると劇中では、pay grades far above all of all ourselves(この場に居る全員よりもはるかに上の権限)と言っているそうだ。監修丹羽氏なのに、見逃したか。

逆説

興味深いことに、劇作上でショウ艦長が提督老コンビの要求をあっさり退ける展開に、「それでこそ、正統なスターフリート」と私は喜んでしまった。あまりにも連邦士官の正しい姿だから。余談ながら、ローワーデッキ第3シーズン第1話で「艦隊も捨てたものじゃない。システムを信じろ」という台詞はピカードの第1,2シーズンを揶揄したものだと、私は感じた。

第3の間抜けな事実

ラフィはレッド・レディといわれてもまったく見当が付かないらしい。一方で視聴者の方は、第2シーズンで様変わりしたボーグクイーンとの共生体アグネス・ジュラティが、好んで赤いドレスに身を包んでいたのをよ~く知っている。相も変わらず、見え見えでお粗末な作劇、としか言い様がなかった。

もうこの時点で、第3シーズンも期待できないだろうとありありと解る。
[ 2023/03/14 16:46 ] 映画、ドラマ感想 | TB(-) | CM(0)

コトブキヤが美少女フィギュアでTOS出してくるんですが……

「スター・トレック美少女 ヴァルカン サイエンスオフィサー」って。髪型はなぜかショートなのに、左右のウィング付き。ヴァルカンのくせにお尻を気にしてるところがニクい。スポックの女体化なんてされるよりはマシだと思う……けれども

企画屋にどんだけTOS好きなやついるんだよ! 海外で売るつもりなんかねー。トゥポルじゃなくてTOSだぞ、まったく。いやまぁスカートがあるから正解か。ケンとバービーも居るし、マーベルモノで既にたくさんあるし、堂々の仲間入りか。ちなみに、このシリーズだとメガトロンが好みかなぁ。

――オレも作っちゃおうかな、デジタルで。秘書ジャニス・ランドの萌え化とか。意外と人材には事欠かないんだよね、TOS。
[ 2023/03/13 01:00 ] カスタムモデル | TB(-) | CM(0)

On the Hand

newhand_TN.jpg
関節仕込んで実証してはいないけれども、Subsurfを使った最新の成果になる萌え系の手。
[ 2023/03/05 23:11 ] カスタムモデル | TB(-) | CM(0)

Shiftキーを押しやすくする

モデリング10倍速動画を見て頂いた人は気がついたかもしれません。Shiftキーを押しながらのマウス操作で「カメラの水平移動」を頻繁にしくじっていました。理由は、Shiftキーが打鍵されたことになっていないからです。

どうも調子が悪いということで、キーボードのキーストローク(押し下げの深さ)を調整することにしました。これが出来るのは、さすがのREALFORCEだから!(昨年R3を購入しまして3万円以上でしたから出来なくちゃ困ります)

USB接続した上で、REALFORCEソフトウェアを起動。「APC設定」は現在「全て」の2.2mm(黄色)。これを「個別」に切り替えて、画面のキーボードレイアウトから「左Shiftキー」を選択して、0.8mm(水色)に設定します。これでよし。打鍵した感触はよさげです。

余談ながら、R3はREALFORCE初の無線対応キーボードということでしたが、当初はエコモードが強制されており、どんなに長くしても30分操作しないと自動的に電源オフになってしまうのでした。とにかく、これが非常に使いづらかった。さすがに評判が悪かったのでしょう。後にファームウェアアップデートで「エコモード無効」をソフトウェアで設定できるようになりました。

そうした愛機R3ですが、私が使っている型番の製品は、わずか一年で製造終了に。静音設計が標準化されたおかげで、お払い箱になってしまったようでした。

REALFORCEの無線対応ハイブリッドモデルが便利なのは、たとえばPC筐体五台でひとつのキーボードを使えることです。私の場合、最古の一台はBluetoothがないためUSB接続で使用し、あとの二台はBluetooth接続でそれぞれ別番号としてペアリングしておきます。こうしておくと、キーボード側のFnキーとの連携でUSB接続と無線1~4までを切り替えられるのです。とても便利!

R3はR2より若干大型化しており、卓上の置きスペース的には難点でしたが、作りはしっかりしており、重りも十分。スペースバーも小型化され、変換・無変換キーも親指で自然に届く位置にあります。2万5千円のR2は7年程度当記事によると)もとい4年未満、使っていましたが、まだ現役で十分使えるところでした。
[ 2023/03/05 21:15 ] 自作PC | TB(-) | CM(0)

Returnalその5

イクシオンが倒せないよぉ。連続避けを(できる限り)ミスなくこなさないとならず、辛いです。

強化が本当に面倒くさいので、ほどほどで挑戦するのですが、だいたい第三段階の波状円と近接のドガッっでヤられます――それ以前で回復アイテムもすっからかん、耐久力もミリ残しになるので。この技、フリーキでさんざん慣れたはずなのに……

イクシオンまで倒すのが前提みたいな、マップの作りも不満ですわ。グラップルないといけないところがたくさん、て。デイリークエストもそれが踏襲されてるから、満点は絶対に取れないし。

シシュポスの巨塔ってどう行くねん(ネタバレ見た)。ゲームモード、最初から全部行けるようにして欲しいなぁ。下手な人お断りな仕様過ぎや。
[ 2023/03/01 03:33 ] アクション | TB(-) | CM(0)
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