※以下ネタバレあり。
■アイアン・フィスト
語り口も軽妙で物語に入りやすいが、展開が致命的に遅い。時代は70年代回帰なのかなァと感じさせる。原作がそもそも、そういったカラーなのかもしれないが。
ノロノロしたプロットを追うのはとても辛い。二話の途中で脱落。
■メシア
宗教モチーフのドラマには気をつけるようにしている。劇中にあるように、宗教・文化の対立が現代の衝突の原因となっているのなら、ドラマ作りにはもっと細心の注意を払わなければならないだろう。視聴者もそうだ。
ダマスカスに現れたメシアは、女性軽視発言をする男に対し、毅然とした態度で批判的なセリフを言う。
監視するCIAのエヴァはユダヤ系であることがわかる。よきアメリカ人が好む、グレイターグッドの為にこうあるべき、という押しつけにならないことを願うばかりだ。
二話の途中で興味を失った。
「スタートレック:ディスカバリー」第2シーズンでは、“天使”により、第三次大戦中に救い出された人類の末裔が、全ての神を統合したという宗教の下、僻地の異星で共同体を営んでいるという描写が出てくる。そう簡単にいかないのが現実の宗教対立の難しいところであろう。理想に囚われると、こういった安直な発想だらけになってしまう。
■ラスト・キングダム
8世紀頃の統一されていないイングランドを舞台に、架空のヒーローを交えて描く歴史活劇モノ。BBC制作。
ゲーム・オブ・スローンズとはまた違った、ある意味“ベタ”なドラマ技法を感じ取れる。
第1シーズン前半くらいまでは視聴者に先読みを許す作り。なので、「はやく、そうなったところを見せろよ!」という、モタモタしてるなァ感と、じれったい気持ちで視聴することになる。
類型としては貴種流離譚のひとつなのだが、このヒーローが「ならず者」だというところが目新しい。当時のイングランドはキリスト教全盛の時代。襲撃者のデーン人(バイキング)はオーディンやトールをはじめとする北欧神話の神々を信じている。
主人公ウトレッドはサクソン人として生まれ、キリスト教の洗礼を二度も受けていながら、数奇な運命の果てにデーンの生き方を選ぶ。そこが軋轢の原因となって、ただ一つ残ったサクソンの王国ウェセックスのアルフレッド王から頻繁に頼りにされつつも、異教徒ゆえの矜持が信頼関係をこじらせる。
アルフレッド王は潔癖症とでもいった性格の持ち主で、息子の命を救って貰った経緯があるにもかかわらず、ウトレッドへの全幅の信頼をすぐに疑わしいものと考えてしまう。その理由は、異教徒であることを頑なに止めないウトレッドが、キリスト教のしきたりや役職にまるで敬意を払わないためだ。
型に縛られることを良しとしない「異端万歳!」な視聴者は、賢くていい奴だが時に怒りっぽくて後先を考えないワイルドなウトレッドをウェ~イと応援しながら見る、このドラマのファン層はおそらく、こういった図式。
そして、ドラマ中には、ウトレッドを貶めんとする敵(かたき)役が、手を変え品を変え、次から次へと登場してくる。
敵役の類型はかなりステレオタイプになっていて、裏切り上等が多い。それでも、主要人物には多少の幅が見られる。例えば、あの時は味方だったが今度は敵に回る、といった状況対応型だ。黒か白かでは判断できない人物もおり、時勢に合わせた動きをする。そうした登場人物の揺れ動きを眺めるのも、この歴史物フィクションの面白さの一つとなっている。
第2シーズンおしまいまで視聴した。
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