この物語の特徴として、甘くないというものがある。浮世の風は冷たいのだ。まさに『冬来たる』。暗澹たる先行きが垣間見えて、なんとも居心地が悪い。よき登場人物にはよき結末を望みたいじゃないか。
ロブ・スタークが父ネッドに代わって全軍を指揮すると、老練な旗主(ジョン・アンバー)がいちいち突っかかる。ここで意見を曲げないことこそ、当主の息子たる所以だ……。
ところで、こうした老人は世の中に必ず居る。愚直な反応をしてくる人物はずる賢くはないが、指揮系統にとっては混乱の元。ロブの立場であれば、取るべき対応はひとつしかない。しかし、我々のような社会に暮らす民草であれば、どうだろうか。
例えば、自分の意見が正しいことが周知だったとして、あなたは反りの合わない愚かな上司に敢えて挑むか? これは難しい。明日の生活を考えると、一時の勝負に出る気にはなかなかなれない。そこで勝ちを収めたとしても、まだ後が続くことに気をつけねばならない。さらに、大概においてこうした場ではそもそも優位にならない。それこそ周囲の力関係が自分に有利に働いている必要がある。適当に我慢して躱すのが世の習いではないか?
ヴァリスのセリフがこうした力構造を巧みに表現している。
「きみは誰の味方なんだ?」
「国家ですよ、もちろん」
ロブが敵の斥候を逃したのには他にもわけがあるのだろう。敵の判断に隙を作る結果となればよいが。
スターク家の末息子が久しぶりに登場。居たんだね。
ディナーリスがどんどん頭角を現し、ドラスクのしきたりにまで口を挟む。ドラスクの男にとってはさぞや生意気で邪魔なオンナだろう。カール・ドロゴの理解と愛情を笠に着やがって。虐げられてきた者が似た境遇の者に抱く同情こそ視聴者には伝わるけれども。
サムウェルが賢いことが徐々に披露されている。それに比してジョン・スノウはどうした? 叔父の行方不明、エダード王の謀反でどうにも落ち込まざるを得ない。ホワイト・ウォーカー(ないしはその攻撃を受けた者)はいわゆるゾンビの類らしいことが判明。まだこのままでは設定としてありきたりで弱い。昨今はゾンビブームだったから。もっと補強されることを望む。
ティリオンの色仕掛けならぬカネ仕掛けは、相手次第で大変良く通用する――人並みに知能のある相手なら。タイウィン・ラニスターとの面会は興味津々。互いに知恵ではいい勝負だろう。あのジェイミーですら半人前扱いをする父親だ。
サンサ・スタークは困ったお嬢さんだ。知恵は幼子から発せられるとはよく言ったもの。グランド・メイスター・バイセル、ちっとも耄碌してないな。初登場では今にも引退しそうなくらいだったのに。
バリスタン・セルミーとジョン・アンバー、この二人は年老いてもなお威勢のいい男として好対照だ。もっとも現実にバリスタンのように有能な好人物は少ないと思うのだが。彼はスターク軍に味方することになるのだろうか?
ブレーヴォス人のダンス教師に栄光あれ!

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